こちらには初めて寄稿させていただきます、小田切ワオと申します。
2020年GI阪神ジュベナイルフィリーズには2頭の熊本産馬ヨカヨカとルクシオンが出走して大きな話題に。
九州産馬がGIに2頭以上出走するのは1998年阪神3歳Sのカシノリファールとコウエイロマン以来22年ぶり。
これまで九州産馬を応援してきた中でも忘れられない1年となりました。

さて今回は、ヨカヨカやルクシオンのようにオープン特別や重賞で好走する馬が今年も現れることを祈りつつ、
個人的に注目したい九州産2歳馬を何頭かピックアップしてご紹介させていただきたいと思います。

JRA育成馬

九州1歳市場に上場された九州産馬をJRAが購買して、宮崎育成牧場で育成。
翌年のブリーズアップセールに上場されて中央競馬の馬主さんが所有することの多い馬たちです。
昨年のヨカヨカを筆頭にミッキーコマンド、エリーバラード、コチョウジュニアなどが活躍しています。

ジュンオーズ

父ケイムホーム 母レディプリンセス(母父ブライアンズタイム)

熊本県・本田土寿牧場の生産。ブリーズアップセールでは税込935万円で落札されました。
曾祖母シンコウラブリイ、祖母レディミューズ、叔母シンメイフジという良血。
母はJRA未勝利ですが兄姉は3頭がJRAで勝ち上がっていて、繁殖としての能力は高いようです。
美浦の勢司和浩厩舎に入厩。

小倉で新馬におろすのか、あるいは他の競馬場でデビューするのか……? という点にも注目です。

ヒノクニ

父カレンブラックヒル 母トワイスアップ(母父Rock Hard Ten)

熊本県・本田土寿牧場の生産。ブリーズアップセールでは税込275万円で落札されました。
左前球節炎で調教進度が遅れているため騎乗供覧では流してのタイムとなっています。
母は未勝利ですがJRA通算4戦して3着3回、4着1回という成績でした。
祖母は不出走ながらその母や妹が米GⅠを勝っており活発な牝系と言えるでしょう。

こちらも美浦の深山雅史厩舎に入厩予定で、夏小倉の九州産限定戦を使うのかどうか気になります。

セールでの注目馬

コウユーキレカ

父ノヴェリスト 母ヴァルパライソ(母父サンデーサイレンス)

熊本県・ストームファームの生産。サマーセールにて627万円で落札されています。
いま日本で流行している南米牝系で、祖母はアルゼンチン古馬牝馬チャンピオン。
兄姉5頭がJRAダートで勝ち上がっていることからも、当馬もダート向きの可能性が高いように思われます。

セールに同行していた斉藤崇史調教師が「体高があってしっかりしているけど手先の軽そうな馬」と高評価。

ペールマスタード

父ダノンゴーゴー 母サルヴァドール(母父サンデーサイレンス)

熊本県・ストームファームの生産。
兄姉は準オープン勝利のオウロプレットを主としてJRAで4頭が勝ち上がっています。
セプテンバーセールで落札したのは今年急逝が伝えられた岡田繁幸氏。

ダノンゴーゴーのラストクロップを選んだ総帥の相馬眼に注目したいです。

フォーエバーソング

父アメリカンペイトリオット 母ヘヴンリーヴォイス(母父アグネスタキオン)

熊本県・ストームファームの生産。
ルクシオンの一つ下。オータムセールにおいて330万円で落札されました。
この直後にルクシオンが福島2歳Sを勝利しているので、非常に良いお買い物だったのではないでしょうか。

父は産駒が今年デビューの新種牡馬。仔はどんなタイプになるかも注目です。

ビヨンドザレシピ

父ディスクリートキャット 母モーントバーン(母父アドマイヤムーン)

熊本県・ストームファームの生産。
2020年度北海道オータムセールで4番目に高額となる1,045万円で落札された九州産馬です。
母の半姉メジャータイフーン、祖母の半弟エイシンフラッシュ。購買したのはコスモヴューファームでした。

コウエイヨカオゴ

父カンパニー 母ハニーダンサー(母父Danehill Dancer)

熊本県・本田土寿牧場の生産。ヨカヨカの一つ下にあたり2020年度九州1歳市場での最高価格550万円で落札されました。父は2018年に病死したためこの2歳世代がラストクロップ。
カンパニー産駒はほか母ロイヤルシフォンと母イサミステルスがデビューを控えています。

オセアプレシャス

父ディスクリートキャット 母ユニティ(母父ワイルドラッシュ)

熊本県・本田土寿牧場の生産。
半姉サムライドライブは、東海で多数の重賞を勝利するなど大活躍を収めました。
母自身もエーデルワイス賞で3着入線するなど地方のダート活躍馬です。

そうした血統が評価されて、サマーセールでは1,100万円で落札されています。

そのほか血統や牧場での注目馬

クリノゴーゴー(カーメリタの2019)/ベルスオパール(アドマイヤトパーズの2019)

新種牡馬サドンストーム産駒の2頭。

サドンストームはダーレージャパンの生産馬で父はストーミングホーム。
半兄は香港のラッキーナイン、全弟はティーハーフという血統が評価され、ストームファームが種牡馬として導入しました。

初年度は北海道で種付けし、2年目からは熊本に移動しています。
カーメリタは半妹ピンクカメオ、アドマイヤトパーズは祖母がアドマイヤラピスと、いずれも良血です。

イチザウイナー

父ヴァンセンヌ 母イチザラブ(母父タイムパラドックス)

熊本県の天草市で奈良崎獣医科病院の院長をされている馬主の奈良崎孝一郎さんが生産者。
生産地も同地となっているため非常に珍しい天草産馬ということになります。
母は佐賀で18戦8勝、2着7回、3着3回で一度も馬券圏外になったことがない、安定感抜群の走りをしていた馬です。

ミミグッド

父ロードバリオス 母テラノイロハ(母父ゼンノロブロイ)

九州1歳市場に上場されて鹿児島県の大崎町にある山下牧場で育成。
海岸調教で有名な場所で、あのトウカイテイオーやイクノディクタスも休養に来ていた牧場です。
馬名の命名者はお笑いコンビ『天竺鼠』の川原克己さん。由来は自身の一発ギャグから。
生まれ故郷大崎町の魅力を紹介する動画を撮影中に、山下牧場に立ち寄ったようです。

ミルキー(イイジャンの2019)/カシノコマンド(ミッキーコマンドの2019)

どちらも宮崎県・田上雄二牧場の生産。
父エーシンシャラクはエイシンヒカリの半兄で宮崎で種牡馬入り、今年初年度産駒がデビューを迎えます。
ミルキーの半兄ヒムカノロッキーは現役で前走未勝利4着。カシノコマンドの母ミッキーコマンドはひまわり賞馬です。

トーセンレインボーの2019

父パドトロワ 母トーセンレインボー(母父ダイワメジャー)

鹿児島県・釘田義美牧場の生産。
半兄のジョエルは船橋所属。川崎の重賞のクラウンCを勝ち東京ダービーの優先出走権を獲得、今年の南関東クラシック戦線で期待されている1頭です。祖母の半兄はジャパンCを制したアルカセット。

テイエムヨカオゴの2019

父テイエムオペラオー 母テイエムヨカオゴ(母父ヘネシー)

鹿児島県・テイエム牧場の生産。
偉大な父は2018年5月に急死しています。
数少ない種付けの中、唯一生まれた正真正銘たった1頭だけのラストクロップが同馬です。

奇跡を望むのは辛いかもしれないですが、活躍してくれることを祈るばかり。
まずは無事にデビューしてほしいところです。杉山晴紀厩舎に入厩予定。

カネクラグッドオー

父スクワートルスクワート 母ダイイチカネクラ(母父フォーティナイナー)

鹿児島県・服部文明牧場の生産。
マークキングオーを出した牝系で、母母母父グッドリーは鹿児島産で日経新春杯を制したケンセイグットの父になります。
母母父グランディは英ダービー馬として鳴り物入りで来日したものの日本には不向きな欧州血統で、北海道で失敗種牡馬の烙印を押され最後は九州に移動。彼の地でその生涯を終えました。

九州の牧場は近年かなりの繁殖牝馬の入れ替えが行われ流行の血統が多くなっていますが、この馬の牝系は逆に九州の歴史を感じさせる血統となっています。

皆さんも九州産2歳馬一覧の中から注目の馬を探して、追いかけてみてはいかがでしょうか。

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