[アルゼンチン共和国杯・みやこS]今も駆ける スター"ウマ娘"の血を引く者たち〜日曜重賞編〜

巷で話題になっているゲームアプリ「ウマ娘 プリティーダービー」。

実際の競走馬をモデルにしたこのゲーム。登場するウマ娘たちの中に現役で走っている馬をモチーフとしたキャラクターはいませんが、子供、孫あるいは親戚にあたる馬が現役で駆けている例はたくさんあります。

そういった競走馬を「ウマ娘 プリティーダービー」から競馬を持った方々にも応援してもらいたい。そんな思いからこの「今も駆ける スターの血を引く者」では、ウマ娘にも登場するキャラクターのモデルとなった競走馬と血縁関係に当たる馬を、その週のビッグレースからピックアップして紹介していきたいと思います。

今週はアルゼンチン共和国杯・みやこSの2重賞からそれぞれ1頭ずつ紹介します。

アルゼンチン共和国杯 フライライクバード

3歳の青葉賞以来の重賞挑戦となるフライライクバード。この馬は祖父グラスワンダー、父スクリーンヒーローに続いての親子3代でのアルゼンチン共和国杯参戦となります。

祖父グラスワンダーは1998年のアルゼンチン共和国杯に参戦。前年の朝日杯3歳Sをレコードで制し「栗毛の怪物」として翌年の活躍が期待されていましたが、骨折により春は全休。秋は「史上最高のG2」と呼ばれる毎日王冠で復帰。「異次元の逃亡者」サイレンススズカと同世代で同じマル外、同じ無敗馬のエルコンドルパサーと対決し5着と敗れた後、このアルゼンチン共和国杯に出走しました。

単勝オッズ3.0倍の1番人気に支持され、誰もが「栗毛の怪物」の復活に期待していました。ところが、レースでは直線一度先頭に立ったものの、粘りを欠く走りで6着と敗れてしまいます。

この頃からグラスワンダーに対して「早熟だったのではないか」と言う疑義を持つ人も現れ始めました。エルコンドルパサーとグラスワンダーの主戦騎手だった的場均騎手が毎日王冠でグラスワンダーを選び、見捨てる形になったエルコンドルパサーがその後ジャパンカップを勝つことから「的場均騎手の選択ミス」と言う人も中にはいたように覚えています。

しかし、グラスワンダーは続く有馬記念でその疑義を払しょくする走りをします。その年の菊花賞馬セイウンスカイ、前年の年度代表馬エアグルーヴを相手にしながら、4コーナーで勝利を確信させるほどの抜群の手応えで周ってくると直線もしっかり伸びて完勝劇を見せ、的場均騎手の決断が間違っていなかったことを証明しました。

グラスワンダーにとってはこのアルゼンチン共和国杯と言うレースはあまり良い思い出がないレースでしょう。一方で、その息子スクリーンヒーローにとっては飛躍の一歩となるレースでした。

アルゼンチン共和国杯に出走した時のスクリーンヒーローはラジオNIKKEI杯2着やセントライト記念3着はあるもののまだ3勝クラスのレースに出走することが可能な条件馬でした。

しかし、レースでは前走オクトーバーSで敗れた相手、後に天皇賞春を勝つことになるジャガーメイル、前年の菊花賞2着馬アルナスラインを相手に好位から残り200mで大逃げからの粘り込みをはかるテイエムプリキュアを捕らえるとそのまま先頭を譲らず優勝。晴れて重賞勝ち馬となりました。

返す刀で参戦した次走ジャパンカップでは、天皇賞秋で激闘を演じたウオッカ、ディープスカイを破りG1制覇。11月頭の時点では条件馬だった馬がその月の末にはG1ホースになっているというシンデレラストーリーを完結させました。

スクリーンヒーローは種牡馬としても国際的なマイル王モーリスや有馬記念を勝ったゴールドアクターを輩出しています。もし、スクリーンヒーローがアルゼンチン共和国杯に敗れていたら、ジャパンカップへの参戦もなかったかもしれませんし、ジャパンカップを勝てていなければ種牡馬にもなれなかったかもしれません。そう考えると、スクリーンヒーローが勝ったアルゼンチン共和国杯は彼自身だけでなく競馬史をも変えることになる勝利と言えるかもしれません。

フライライクバードは3歳時から「ポテンシャルは重賞級」と言う評価を受けながら、なかなか条件戦を勝ちあがれない時期もありました。そんな彼が飛躍を期すには、父が飛躍を遂げたこのアルゼンチン共和国杯を目標にするのは当然の成り行きなのかもしれません。このレースを脚がかかりにその名の通り鳥のように大舞台に飛び立つことができるのか注目したいところです。

みやこS メイショウハリオ

ここ3戦、1着→2着→2着と安定した成績を誇るメイショウハリオ。母の父は育成ウマ娘としてゲームに実装されて日が浅いマンハッタンカフェです。

競馬において種牡馬と言うのは大きく分けて2つのタイプがおり、ひとつは「自身の特徴を最大限産駒に遺伝させる」タイプ、もうひとつは「母方の特徴を上手く産駒に遺伝させる」タイプ。その分け方をするならマンハッタンカフェはおそらく後者のタイプになるのではないでしょうか。と言うのもマンハッタンカフェ産駒には父の「ステイヤー」としての資質を受け継ぐタイプだけでなく様々なタイプの産駒がいるからです。

例えばグレープブランデー。彼は生涯を通じて芝のレースに1度しか走ったことがなく、現役生活を通じてほぼダートを走り続け、2013年のフェブラリーSを制しました。

例えばジョーカプチーノ。彼は父マンハッタンカフェとは正反対のスプリント~マイルで活躍した馬。前半の800mが45.5とハイペースになったNHKマイルカップを先行押し切りで勝利すると、その後はスプリント戦線に路線を移し2011年のシルクロードSを勝利するなど活躍しました。

彼らだけでなくマンハッタンカフェ産駒にはヒルノダムールのように天皇賞春を制したステイヤーもいれば、7歳の今も現役として活躍するCBC賞・北九州記念勝ち馬レッドアンシェルのようなスプリンターもおり多士済々様々な馬がいます。

母の父としても今年の帝王賞を制したテーオーケインズやキーンランドCを制したレイハリアなど様々なタイプの馬を出しているマンハッタンカフェ。そんな彼は様々なタイプの名馬を出したサンデーサイレンスの正統後継者の1頭と言えるのかもしれません。

開発:Cygames
ジャンル:育成シミュレーション
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