JBCシリーズってどんなレース?

1984年から開催されているアメリカのブリーダーズカップを参考に生産者が企画・運営するダート競馬の祭典として、2001年に創設されました。複数の統一Jpn1競走が原則として同一日(2006年の第6回のみ2日間)に施行されてます。

正式名称は「ジャパンブリーディングファームズカップ(Japan Breeding farms' Cup)」。Japanの「J」、Breeding farmsの「B」、Cupの「C」の頭文字から。JBC実行委員会では告知・宣伝など一貫して「JBC」と略してPRしています。

JBC創設当初はJBCクラシックとJBCスプリントの2つのみで施行。2011年よりダート牝馬路線の重賞競走としてJBCレディスクラシックが創設。さらに、今年からは従来の北海道2歳優駿を発展させたJBC2歳優駿(Jpn3)が行われます。

基本的にはアメリカのブリーダーズカップと同じく全国の競馬場(主に地方競馬)を毎年持ち回り開催とする方針のため、JBCクラシック、JBCスプリント、JBCレディスクラシックの施行条件が変わります。2006年のJBCスプリントはダート1600mのJBCマイルとして行われましたし、2018年にはJRAの京都競馬場で行われました。今年はJBCクラシック、JBCスプリント、JBCレディスクラシックは大井競馬場(東京都)で、JBC2歳優駿は門別競馬場(北海道)で行われます。

各レースの優勝馬の関係者には賞金とは別に種牡馬の種付け権利が付与されます。
今年はJBCクラシックの優勝馬にはブリーダーズカップ・ターフなどを制したブリックスアンドモルタル(2020年の種付け料600万円)、JBCスプリントの優勝馬にはモーニンやワイドファラオなどダートの短距離で好調な子供を出すヘニーヒューズ(2020年の種付け料400万円)、JBCレディスクラシックの優勝馬にはケンタッキーダービーやドバイワールドカップを制したカリフォルニアクローム(2020年の種付け料400万円)、JBC2歳優駿の優勝馬にはドバイワールドカップを連覇したサンダースノー(2020年の種付け料250万円)の種付け権利が付与されます。

JBCクラシックの見どころ クリソベリルVSオメガパフュームの一騎打ちか?

国内のダート競馬では7戦7勝と底を見せていないクリソベリル(牡4 栗東・音無厩舎 57Kg 川田騎手騎乗)と、大井競馬のダートでは5戦3勝2着2回と抜群の安定感を誇るオメガパフューム(牡5 栗東・安田翔厩舎 57Kg デムーロ騎手騎乗)。抜けた実績を持った2頭の激突に注目が集まります。

デビュー戦からダート1800m~ダート2000mを使ってきたクリソベリル。サウジアラビアで行われたサウジカップの6着以外は全てのレースで勝っています。大井競馬場・ダート2000mは帝王賞・ジャパンダートダービーを制し、2戦2勝の実績を持ちます。

一方のオメガパフューム。JBCの挑戦は3度目で、昨年は浦和競馬場でハナ差、一昨年は京都競馬場で0.1秒(3/4馬身)差の2着と、2年連続で惜敗しています。しかし、今回は東京大賞典連覇や昨年の帝王賞を制した大井競馬場・ダート2000mとオメガパフュームにとって最も得意とする場所。3度目の正直になれるのか、注目です。

一方、その2頭以外の馬ももちろん豪華絢爛。
昨年のこのレースの覇者のチュウワウィザード(牡5 栗東 大久保厩舎 ルメール騎手騎乗)の存在も侮れません。これまで16戦9勝、2・3着各3回と、3着以内を外したのは昨年のチャンピオンズカップ(4着)のみと安定した実績を残しています。大井競馬場・ダート2000mは昨年の帝王賞で2着、今年の帝王賞で3着と勝ち星はありませんが、安定した成績を残しています。打倒クリソベリル、オメガパフュームの筆頭はこの馬でしょう。

地方競馬勢の筆頭はJRA時代にフェブラリーステークスなどを制したノンコノユメ(せん8 大井・荒山厩舎 57Kg 笹川騎手騎乗)が挙げられます。大井競馬転厩後は昨年の東京大賞典で勝ったオメガパフュームとは0.2秒(1馬身)差の2着に入るなど、南関東の強豪馬として安定した実績を残しています。その他では、JRA時代にチャンピオンズカップを制したサウンドトゥルー(せん10 船橋・佐藤裕厩舎 57Kg 森泰斗騎手騎乗)が有力視されています。

JRA勢からは今年のジャパンダートダービーを制したダノンファラオ(牡3  栗東・矢作厩舎 55Kg 坂井騎手騎乗)。ダート重賞レースで安定した実績を持つデルマルーヴル(牡4 美浦・戸田厩舎 57Kg 戸崎騎手騎乗)などが出走します。

JBCスプリントの見どころ ジャスティンが得意の大井で初のJpn1レース制覇なるか?

大井競馬場・ダート1200mで行われた東京スプリント、東京盃を制したジャスティン(牡4 栗東・矢作厩舎 57Kg 戸崎騎手騎乗)。得意のコースでJpn1レース初制覇を狙います。

今年1月に3勝クラスを優勝し、オープン入りを果たしたジャスティン。
オープン昇格後2戦目の千葉ステークスを制し、東京スプリントで統一重賞を初制覇しました。続くさきたま杯ではスタートで躓いた事もあって5着に敗れましたが、東京盃では五分のスタートを切ると、すんなりと3番手に付ける競馬を披露。最後はブルドックボス、コパノキッキングの猛追を交わして先頭でゴールしています。
時々スタートの出が悪い馬ですが、すんなりとスタートを切って先団に取り付く競馬ができれば、2戦2勝の大井競馬場・ダート1200mの舞台ですので、一気にJpn1レース制覇を狙えるところです。

JRA勢では藤田菜七子騎手とのコンビで悲願のJpn1レース制覇を目指すコパノキッキング(せん5 栗東・村山厩舎 57Kg 藤田騎手騎乗)。ダート1200m、1400mで日本レコードをもつマテラスカイ(牡6 栗東・森厩舎 57Kg 武豊騎手騎乗)。芝1200mのG1レース・高松宮記念を制したモズスーパーフレア(牝5 栗東・音無厩舎 55Kg 松若騎手騎乗)などが出走します。

地方競馬代表として、昨年のこのレースを制し、東京盃でジャスティンとタイム差無しの2着に入ったブルドックボス(牡8 浦和・小久保厩舎 57Kg 御神本騎手騎乗)。一昨年、昨年のテレ玉杯オーバルスプリントを制し、今年の習志野きらっとスプリントを制したノブワイルド(牡8 浦和・小久保厩舎 57Kg 左海騎手騎乗)。全11勝中10勝が大井競馬場・ダート1200mとベストの舞台でJpn1レースに挑むサブノジュニア(牡6 大井・堀厩舎 57Kg 矢野騎手騎乗)。今年の北海道スプリントカップでマテラスカイを負かしたメイショウアイアン(牡10 北海道・田中淳厩舎 57Kg 落合騎手騎乗)などが出走します。

JBCレディスクラシックの見どころ マルシュロレーヌが一気に頂点まで登りつめるのか?

ダート戦に転向してから2連勝中のマルシュロレーヌ(牝4 栗東・矢作厩舎 55Kg 川田騎手騎乗)。勢いのままに、Jpn1レース初制覇を狙います。

芝の3勝クラスで善戦していたマルシュロレーヌ。
芝2000mの博多ステークス2着の後、陣営が選んだのは、今まで未経験のダートでの競馬でした。
3勝クラスの桜島ステークス(小倉・ダート1700m)では、4コーナーで8番手を進んでいたマルシュロレーヌ。直線の短い小倉競馬場のダートを一気の末脚で2着の馬に0.2秒(1馬身1/4)差を付ける圧勝を演じます。
続くレディスプレリュード(大井・ダート1800m)は桜島ステークスとは対照的に水の浮く不良馬場で行われましたが、ラスト600mのタイムがメンバー中最速の36.8秒を披露(2番目に速い馬は37.7秒)。
2着のマドラスチェックに0.6秒(3馬身)差を付ける圧勝劇を演じました。
今回の出走馬の多くはレディースプレリュードの出走馬。一度勝った相手ではありますから、一気にJpn1レース制覇を期待する声も大きいです。

JRA勢ではレディースプレリュード2着で同条件にて行われた1月のTCK女王盃を制したマドラスチェック(牝4 美浦・斎藤誠厩舎 55Kg 森泰斗騎手騎乗)。統一ダート重賞を4勝挙げているプリンシアコメータ(牝7 美浦・矢野英厩舎 55Kg 岩田康誠騎手騎乗)。JBCレディスクラシックで2年連続の3着に入っているファッショニスタ(牝6 栗東・安田隆厩舎 55Kg 北村友一騎手騎乗)などが出走します。

地方競馬からは今年のマリーンカップを制したサルサディオーネ(牝6 大井・堀厩舎 55Kg 矢野騎手騎乗)が筆頭格です。その他では佐賀競馬、浦和競馬で11連勝を挙げたダノンレジーナ(牝4 浦和・小久保厩舎 55Kg 本橋騎手騎乗)。JRA時代にダート中距離戦で2勝しているサルサレイア(牝4 川崎・内田勝厩舎 55Kg 福永騎手騎乗)は今年コントレイルで牡馬三冠を達成した福永祐一騎手とのコンビで挑みます。

JBC2歳優駿の見どころ ホッカイドウ競馬期待の馬VS強豪JRA勢が激突!

地方競馬における2歳馬の特徴として、ホッカイドウ競馬所属の馬のレベルの高さが挙げられます。事実、昨年まで行われた北海道2歳優駿ではJRA勢への門戸が開かれた1997年以降の23回ではJRA所属の馬が12勝に対し、ホッカイドウ競馬所属の馬が11勝と昨今のダートグレード競走では珍しく地方競馬勢が奮闘しています。

今年もホッカイドウ競馬から楽しみな馬が出揃いました。シビックドライヴ(牡2 北海道・田中淳厩舎 55Kg 赤岡騎手騎乗)は同じ条件の門別競馬場・ダート1800mで行われたサンライズカップでは逃げたノートウォージーの2番手を追走し、直線で抜け出す競馬を披露しました。レースセンスの高さを見れば、この馬が主役の一角を担うのは明白です。

そのシビックドライヴを門別競馬場・ダート1700mで行われたサッポロクラシックカップで負かしたラッキードリーム(牡2 北海道・林和弘厩舎 55Kg 石川倭騎手騎乗)。門別競馬場・ダート1700m戦は2戦2勝と中距離の部門において結果を残しています。堅実に追い込んでくる馬なので、流れ次第では勝ちきれる能力は持っています。

未知の魅力といえば、7月のブリーダーズゴールドジュニアカップ(門別競馬場・ダート1700m)を逃げ切ったブライトフラッグ(牡2 北海道・角川厩舎 55Kg 桑村騎手騎乗)。1200mから1700mの距離延長にも対応し、現在3連勝中です。ブリーダーズゴールドジュニアカップ以来3か月ぶりの出走となりますが、すんなりと先頭に立てば、ブランクを感じさせない走りが期待できます。

JRA勢では新馬戦、プラタナス賞を連勝したタイセイアゲイン(牡2 栗東・松下厩舎 55Kg 吉田隼人騎手騎乗)に注目が集まります。プラタナス賞は直線に入ると、馬群の中から抜け出すなど勝負強い面があります。初めての右回りコースをこなせるようであれば、このレースを圧勝してもおかしくはないでしょう。

また、芝の函館2歳ステークスで2着に入ったルーチェドーロ(牡2 美浦・高橋裕厩舎 55Kg 横山武史騎手騎乗)はデビュー戦の函館ダート1000mで2歳レコードをマークするなどダート適性が高い馬です。函館2歳ステークス以来3か月の休養、距離が一気に500m伸びますが、これらのハンデを乗り越える力はあると思います。

その他では、4戦目の中京ダート1800mを2歳レコード(当時)で圧勝したレイニーデイ(牡2 美浦・矢野英厩舎 55Kg 岩田望来騎手騎乗)。3戦目の新潟ダート1800mを圧勝したカズカポレイ(牡2 栗東・安田隆厩舎 55Kg 菱田騎手騎乗)。プラタナス賞は9着に敗れたものの、3戦目の札幌ダート1700mで2着に3.1秒差の大差をつけて勝ったプライムデイ(牡2 美浦・加藤征厩舎 55Kg 内田博幸騎手騎乗)が出走します。また、南関東からは2戦2勝のカイカセンゲン(牝2 大井・藤田厩舎 54Kg 吉原騎手騎乗)も出走します。

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