女帝・アーモンドアイやラッキーライラック、さらにフィエールマンなどG1戦線で活躍した名馬がターフを去った2021年シーズン。世代交代が進み一気に混とんと化した各路線であるが、短距離戦線も例外ではない。
昨年圧倒的なスピードで短距離戦線を平定したグランアレグリアが大阪杯出走を表明し、さらにG1馬のタワーオブロンドンが競走馬を引退。短距離戦線でも大きな変化が起きていることは間違いない。
高松宮記念まで1か月を切り、いよいよ東西でスプリントのトライアルがスタート。
先週の阪急杯に続き中山競馬場で行われたのは、オーシャンステークスであった。
レース概況
オーシャンステークスの出走馬はフルゲート16頭。
地方のナリタスターワンを含め、一言で言えば「大混戦」と言ってもよいメンバーだろう。
1番人気に推されたのはカレンモエ。
安定感ある走りから条件戦を突破し、初めて挑んだ重賞「京阪杯」で2着とオープンでも地力を証明。初重賞制覇に期待がかかった。
人気対抗格は内枠のアルピニズム。
ここまで連勝でオープン昇級を果たしている。しかもその2勝が今回と同コースである中山競馬場の1200mということでコース適性も買われた形だ。
重賞馬も出走する中ではあるがこの2頭に人気が集中し、単勝一桁台はこの2頭だけとなった。
15時45分ゲートオープン。
16頭ほぼそろったスタートを切った。
ダッシュをきかせて2枠の2頭──ビアンフェとカレンモエが前へと出る。
続けてカイザーミノルとコントラチェックの4枠2頭が追走。馬群は余り縦長になることなくよどみないペースで流れた。
2番人気のアルピニズムは中団から前を狙い、アウィルアウェイは後方からのレースを選択した。
迎えた4コーナー。
ハナを譲らなかったビアンフェが先頭で直線に向いた。
最内で粘り脚を発揮するビアンフェだが早々に番手からカレンモエが捕えて先頭に並びかける。内外離れた2枠同士の追い比べは残り200m地点でカレンモエが先頭に立つ。そのまま押し切りかと見えた矢先、3番手から追い込みをかけたコントラチェックが一気に前へと接近。カレンモエを強襲し、2頭並んだままゴールイン。
際どい1着争いとなったオーシャンステークスだが、ハナ差制したのは追い込んだコントラチェックだった。
コントラチェックにとって、中山競馬場での重賞はこれで3勝目。得意の競馬場で自身初のスプリント重賞を手にした。
各馬短評
1着 コントラチェック (丸山元気騎手 11人気)
コントラチェックが3番手から強襲して勝利をものにした。
先団を見る形でレースを行い、直線では外に持ち出して伸び脚に賭ける競馬。
先に抜け出したカレンモエを目標に伸び、最後はカレンモエと同体でゴール板に飛び込んだ。これで中山重賞3勝目とまさに「中山マイスター」。秋にはこの舞台でG1が行われるだけに、今年の短距離戦線で見逃せない1頭だ。
2着 カレンモエ (北村友一騎手 1人気)
惜しくも重賞制覇とはならなかったものの、やはり地力の高さを証明した。
道中は2番手を追走。スタートダッシュを利かせてビアンフェの番手を走り、直線に向くと早々に前を捕まえて先頭に立った。しかし坂を越えてコントラチェックの強襲に会い、僅差の2着となった。しかし条件問わず安定感ある走りを披露。
間違いなく重賞戦線で今後も期待できる1頭だ。
3着 ビアンフェ (藤岡佑介騎手 6人気)
明け4歳のスピードスターが、古馬になってもそのスピードをいかんなく発揮した。
スタートダッシュの早さは健在で、このレースも逃げの戦法を取る。直線ではカレンモエに捕まるも、その後は粘り脚を発揮。迫りくる後続を振り切って3着を死守した。
スピードあふれるビアンフェだが、兄弟には7歳でも活躍を見せるエントシャイデンが居る血統。
今後も長きにわたり、スピードスターの走りに期待だ。
総評
今年のオーシャンステークスは、先団を形成した3頭で決着。
馬場が固めに設定され話題となった中山競馬場であったが、その中でも力強いスプリントレースが展開された。地の利を生かしたコントラチェックはスプリント路線で開花。今後のG1でも期待がかかる。
さらにカレンモエやビアンフェも自分のレースが出来たことは収穫だろう。
混とん極める短距離戦線、ニューヒロインの誕生となるのだろうか。