[今週の競馬]国内は各地で春の大舞台を見据える重賞が開催 エリキング、ヘデントールが激突

雪の影響で火曜日まで開催がずれ込んだ先週だったが、息をつく間もなく次の週末へ突入。日曜東京ではクラシック路線を目指す3歳馬にとっては重要な前哨戦である共同通信杯が、京都では国内外の中距離G1戦線を目指す馬たちにとってのプレップレースである京都記念が開催される。

加えて、土曜日は東京で3歳牝馬限定のG3・クイーンカップ、小倉で今年最初の障害重賞である小倉ジャンプステークスが開催と重賞レースが目白押し。この日の深夜は海外のサウジカップデーもあるため、競馬ファンにとっては寝不足と興奮が両立する週末となりそうだ。

○小倉ジャンプステークス 九州から中山へ!ホップ・ステップ・ジャンプを目指す優駿の戦い

小倉ジャンプステークス(J・G3)
土曜小倉8R 13:35発走
障害芝3390m(左→右)サラ系4歳以上 障害オープン 別定
本賞金 1着3000 2着1200 3着7500 4着4500 5着3000(万円)

■レースの歴史、位置付け

1999年、障害競走にグレード制が導入されたのに伴って、「ナツコク」を彩る小倉サマージャンプステークスとして創設。当初はハンデキャップ競走かつ3歳以上の条件で行われていたが、2009年に負担重量が別定に変更された。2011年から2014年にかけて、高田潤騎手が障害重賞では史上初となる同一重賞4連覇を達成している。

2025年、夏の小倉開催が短縮となるのに伴って開催時期が2月に移動し、名称も小倉ジャンプステークスに改称。出走条件も4歳以上となり、「フユコク」の新たな重賞レースとなった。

■前年のレース模様

ここまで3連勝を挙げて臨んできたスマイルスルーが1.6倍の断然人気。2,3番人気のアサクサゲンキ、ブラックボイスの2頭が6倍台のオッズだったことを考えても抜けた支持を集めていた。

レースはスタートから逃げを打ったスマイルスルーがマイペースで逃げ、サペラヴィ、サイードらを引き連れてレースを展開していく。軽快な飛越で次々障害を飛び越え、勝負所でもしっかり加速。最終障害を越えてもその勢いは鈍らず、内から追ってくるサイードを抑え込んでフィニッシュ。重賞は2連勝で新生・小倉ジャンプステークスの初代王者に輝いた。出走14頭中13頭が完走。

■今年の出走馬

想定時点では最大出走数の14頭を上回る15頭が登録されており、昨年に続くフルゲートでの開催となりそうだ。

2025年の障害界を盛り上げたジューンベロシティが年明け初戦にここを選択。昨年は障害重賞を2勝し、春秋の大一番にも本命候補として出走した実績はメンバー中の中でも上位と言えるだろう。小倉の障害コースは【1-2-0-0】と相性も良い。まずは始動戦を制し、悲願のG1制覇へ弾みをつけることはできるか。

また、京都ジャンプステークスを制したローディアマントや、昨年は英愛の障害競走への挑戦プランも出ていたオールザワールドもここを年明け初戦に選択。今年最初の障害重賞から、いきなりハイレベルな戦いが見られそうだ。

さらに、ゲーム「ダービースタリオン」でお馴染みの薗部博之氏が所有するヒットアンドロールも出走を表明。もしこの馬が小倉ジャンプステークスを制すると、薗部氏にとっては2009年の富士ステークスをアブソリュートで制して以来、実に17年ぶりにJRAの重賞制覇を飾ることとなる。かつては平地重賞を盛り上げた「海老、黒三本輪」の勝負服が、今度は障害界で輝くだろうか。

○デイリー杯クイーンカップ 府中から春の仁川へ続く桜道

デイリー杯クイーンカップ(G3)
土曜東京11R 15:45発走
芝1600m(左)サラ系3歳牝馬限定 オープン 定量
本賞金 1着3800 2着1500 3着950 4着570 5着380(万円)

■レースの歴史、位置付け

第1回が開催されたのは1966年。当初は中山芝1800mの条件で施行されていたが、1971年から芝1600mに短縮された。1976年にはこのレースから牝馬二冠を達成したテイタニヤを輩出しているように、当時から関東所属の3歳牝馬にとっては牝馬クラシック路線へ進む試金石と言える競走であった。

現行条件である東京芝1600mの開催となったのは1981年からだが、実は東京開催のクイーンカップをステップに桜花賞馬に輝いたのは2025年のエンブロイダリーが初。このレースと同じ距離のNHKマイルカップやヴィクトリアマイル、同じ競馬場で開催されオークスの勝ち馬は何頭も誕生しているだけに、なんとも不思議なジンクスが続いていたと言える。

■前年のレース模様

三冠牝馬のリバティアイランドを上に持ち、鞍上も姉と同じく川田将雅騎手を迎えたマディソンガールが抜けた1番人気。前年暮れの阪神ジュベナイルフィリーズで4着に好走したショウナンザナドゥ、東京の1勝クラスを勝ち上がってきたエンブロイダリーがそれに続いていた。

レースはダッシュ良くスタートを決めたロートホルンが飛び出し、それにエンブロイダリーが続く。先行有利の馬場傾向だったとはいえ、800m通過が45秒7というハイペースでは後方勢の勝負になるかと思われた。

だが、番手からエンブロイダリーが抜け出してからはワンサイドゲーム。追い上げてきたマピュース、エストゥペンダを寄せ付けず、レース史上最速の走破タイムとなる1分32秒2で勝ち切った。

同馬はこの後桜花賞、秋華賞を制し、テイタニヤ以来49年ぶりとなるクイーンカップからの牝馬二冠馬に輝いた。

■今年の出走馬

最大の注目馬は阪神ジュベナイルフィリーズ2着から転戦してくるギャラボーグだろう。前走は直線でややごちゃつきながらもしっかり脚を伸ばし、上り3ハロンはメンバー最速となる34秒3を記録した。未勝利戦を制した際にタイム差無しの好勝負を繰り広げたマテンロウゲイルが、1月の京成杯で2着と好走したことも実力の裏付けにもなりそうだ。

とはいえ、彼女を追う別路線組からも期待馬は多数。ノームコアの初仔でサフラン賞を制したドリームコアを筆頭に、赤松賞の勝ち馬ヒズマスターピース、白毛のマルガ、コントレイル産駒として初勝利を挙げたルージュボヤージュなどがスタンバイしており、桜花賞やNHKマイルカップを見据える上では見逃せない戦いとなりそうだ。

○共同通信杯 大出世レース 本番へ主役として名乗りをあげるのは

共同通信杯(トキノミノル記念)(G3)
日曜東京11R 15:45発走
芝1600m(左)サラ系3歳限定 オープン 定量
本賞金 1着4100 2着1600 3着1000 4着620 5着410(万円)

■レースの歴史、位置付け

1967年に創設された東京4歳ステークスが前身である。1969年に副題として幻の馬・トキノミノルの名を冠するようになり、1983年に共同通信杯4歳ステークスに改称。そして2001年、競走馬の歳が数え年から満年齢に変わるのに伴って「4歳ステークス」の部分が無くなり、現在の名称となった。

実は共同通信杯は過去に3度、ダートで開催されたことがある。そのうち1回は中山での施行で、この時の勝ち馬がタケシバオー。彼は古馬となってから同じ年に芝3200mの天皇賞(春)と芝1200mの英国フェア開催記念(この年のみスプリンターズステークスが同レース名に変更されていた)を制した名馬で、まさに条件不問のオールラウンダーであった。

■前年のレース模様

ホープフルステークスでは11着に敗れながら、共同通信杯と同距離であるアイビーステークスを制していたマスカレードボールが1番人気の支持を受けていた。僅差の2番人気に東京スポーツ杯2歳ステークスでクロワデュノールの3着と好走したレッドキングリーが推され、3番人気に函館2歳ステークスの勝ち馬であるサトノカルナバルと、上位3頭が拮抗したオッズ構成となっていた。

ゲートが開くとやや抑え切れない形でレッドキングリーがハナに立ち、それを見るような形でワンモアスマイルとマスカレードボールが追走。サトノカルナバルは少し間を置いた4番手から進め、3強のいずれもが好位番手からレースを進めて行く。直線、GOサインとともにマスカレードボールが抜けたところに、内からカラマティアノスが接近してきた。

一度はカラマティアノスがマスカレードボールを交わしたように映ったが、そこからマスカレードボールがもうひと伸び。最後は再びマスカレードボールが先頭に立ち、重賞初制覇を飾った。

■今年の出走馬

前年のホープフルステークスを制し、2歳G1馬となったロブチェンがクラシック路線に向けて始動。出走メンバー唯一のG1ホースとしてここを制し、本命の座を確約させられるかが最大の焦点となりそうだ。

しかし、今年はロブチェン以外にも新潟2歳ステークス馬のリアライズシリウス、クロノジェネシスの初仔ベレシートを筆頭に、新馬戦が好内容だったラヴェニュー、サウジアラビアロイヤルカップで2着に好走したガリレアなど、多くの有力馬が参戦。

さらに中山芝1800mの2歳レコードを樹立したサノノグレーターや、デビュー戦でのちのきさらぎ賞馬であるゾロアストロを下したディバインウインドなども出走を予定しており、皐月賞やダービーを前にして、早くも相当なポテンシャルを持つ馬が激突する大乱戦となりそうだ。

出走馬の甲乙が非常につけがたいレースとなるため、今年の共同通信杯を制した馬が牡馬クラシック路線では一歩抜け出した存在となる可能性は十分にある。また、出走馬の中には1勝馬もいるため、ここでの好走がレーティング・賞金面どちらの観点からもクラシックの出走へ有利に働くことは間違いない。

ダービーまではあと3か月ほどの時間はあるが、もうすでに今年の競馬の祭典はゲートインを見据える段階までやってきていると考えても良さそうだ。

○京都記念 見据える先はドバイか大阪杯か 京都芝2200mに実力馬集結

京都記念(G2)
日曜京都11R 15:30発走
芝2200m(右・外)サラ系4歳以上 オープン 別定
本賞金 1着6200 2着2500 3着1600 4着930 5着620(万円)

■レースの歴史、位置付け

第二次世界大戦の最中であった1942年に4歳以上のハンデキャップ競走として創設。当初は春秋2回開催されており、距離も芝3500mと日本最長だった。ほどなくしてレースは太平洋戦争の激化のため中止となり、終戦後の1948年に芝3000mで復活する。

以降、春のみ開催への変更や、施行距離の短縮、延長、ハンデ戦から別定戦への移行など紆余曲折あったが、1995年に現行の京都芝2200mで開催条件が固定された。

元々タニノチカラやテンポイントなどの実力馬もその年の始動戦として出走していたが、現在の条件となってからはG1でも好走するような活躍馬の参戦がさらに増加した。

そして2007年の勝ち馬であるアドマイヤムーンは、このレースをステップにドバイデューティーフリーを制覇。以降、ブエナビスタやクロノジェネシス、ラヴズオンリーユーと、国内のみならずドバイミーティングで好走する馬も数多く送り出している。

■前年のレース模様

2024年に牝馬二冠を制したチェルヴィニアと、2023年の皐月賞馬ソールオリエンスが激突。人気はチェルヴィニアが1倍台と断然の支持を集め、ソールオリエンスがそれに続く2番人気となっていた。

レースはテンからハナを主張したバビットが1000m62秒9という時計で逃げ、自身にとって有利な展開を作り出す。勝負所でもスローに持ち込んだことで先行勢の脚は鈍らず、中団以降からレースを進めた人気2頭にとっては厳しい形に。

最後は好位から突き抜けたヨーホーレイクが、同じく番手から脚を伸ばしたリビアングラスとマコトヴェリーキーを封じて勝利。2022年の日経新春杯、2024年の鳴尾記念に続く重賞3勝目を挙げた。

■今年の出走馬

2025年の天皇賞(春)を制したヘデントールが復帰。ここに同年の菊花賞で2着となったエリキングも参戦を表明し、いきなり今年の天皇賞(春)で主役級と目される2頭が激突する形となった。

共通点は両者とも菊花賞では惜敗に終わっていること。前年の盾の覇者が連覇を狙う舞台を見据えて順調なスタートダッシュを決めるのか、それともクラシックは惜しくも無冠に終わった素質馬が初のG1タイトル奪取に向けて好パフォーマンスを見せるのか、非常に楽しみな対決となる。

もちろん、彼ら以外にもこのレース連覇を目指すヨーホーレイクや、一昨年のエリザベス女王杯で2着に好走し、1年ぶりの復帰戦となるホールネスなどの実力馬も出走予定。決して2強だけの対決にはならなさそうな雰囲気もあり、昨年のような波乱があってもおかしくない。


先週は天災により代替開催も発生し、スケジュールのズレなども大量に発生した。改めて無事に競馬ができることと、関係者の皆様の尽力に心から感謝したい。

今週の中央競馬は重賞が4つ控えているが、海外G1のサウジカップもそれに匹敵する注目度を誇っているだろう。このレースには前年の覇者であるフォーエバーヤングを筆頭に、サンライズジパング、ルクソールカフェの3頭が出走を予定。またそれ以外にも、ネオムターフカップや1351ターフスプリント、レッドシーターフハンデキャップにサウジダービーといったアンダーカードにも日本馬は多数登録している。当日の夜は寝過ごすことなく人馬の応援を全力で行い、彼らの活躍を目に焼き付けたいところだ。

写真:INONECO、Koh、Horse Memorys、かず、ぼん(@Jordan_Jorvon)、すずメ、空白、@pfmpspsm

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