2000年代前半の競馬界は、後に伝説の名馬としてこの世に名を残す馬達が非常に多かったようにも感じられる。短距離界においてもそれは例外ではなく、キングヘイローにブラックホークといった実力馬から、ダイタクヤマトにカルストンライトオなど個性派も勢揃い。更に香港からの使者サイレントウィットネスや豪州の弾丸テイクオーバーターゲッ...
小早川 涼風
ペンネームは先頭を涼し気に走り続けるサイレンススズカの姿と名前から。
忘れられない思い出の馬はファストフォース。
小早川 涼風の記事一覧
2023年4月10日、午後7時49分。JRAで現役G1ジョッキーとして数々の好騎乗を披露してきた藤岡康太騎手がこの世を去った。35歳、まだまだこれからというタイミングでの、無念の訃報だった。 『笑顔はじける有望な若手』 ──私の中で、彼、藤岡康太騎手はずっとそんなイメージだった。それが近年、こんなイメージに変わっていた...
「おい! なに勝手にリモコンをいじっているんだ!」 家の中に怒号が響き渡る。まだ5歳だった自分に、祖父がものすごい剣幕で怒鳴りつけたのだった。普段は優しい祖父の豹変ぶりに驚いて、思わず号泣する。しかし祖父は構わず続けた。 「この映像は、とっても大事なものになるかもしれないんだ! もし録れていなかったらどうするんだ!」 ...
『牝馬の福永』。 かつて競馬ファンの間では、福永祐一騎手を語るうえでこんな単語が飛び交っていた。 騎手としての現役生活の終盤こそ、牝馬というよりは牡馬との活躍が目立つようになっていたものの、デビューしたての頃であった90年代後半から2000年代前半までは、99年のプリモディーネの桜花賞を皮切りにピースオブワールド(20...
2010年の牝馬クラシック。今になって振り返れば、アパパネがスティルインラブ以来となる牝馬三冠を達成した年だったと言える。 ──ところが、彼女がトライアルレースも圧倒的な実力で制したかと問われると、実はそうではない。 前年に阪神JFを制し仁川に帰ってきたチューリップ賞も、牝馬三冠に王手をかけて臨んだ秋初戦のローズSも、...
2015年クラシック世代。 今になって振り返れば、ドゥラメンテとキタサンブラックという2頭のスターホースが立ち並ぶ世代ということになるだろう。事実、この2頭が三冠を分け合い、その後ドゥラメンテがターフを去った後も、キタサンブラックが古馬戦線の主役として──そして日本屈指のスターホースとして、競馬界を牽引していった。 と...
将来を嘱望される多くの馬が、その未来を見据え、芝ダート問わず本格始動する秋。激化するクラシック路線や古馬路線の戦い──そして2歳路線もまた、翌年のスター候補が続々と姿を現し、師走の夢舞台への期待が大きく高まっていく時期である。 芝路線ではサウジアラビアRCを皮切りに、皐月賞や桜花賞、そしてその先の府中を目指し様々な重賞...
あの日、僕らは沈黙に包まれた。言いようのない感情に心が支配された。 1998年11月1日、1枠1番1番人気、サイレンススズカ。府中の魔物に飲み込まれ、スピードの向こう側へと駆けて逝った瞬間を陳腐な表現で語るなら、絶望、悲愴、喪失感。それまで彼の勝利を、活躍を願っていとわなかった我々の想いは、一瞬にして飲み込まれた。 そ...
「スピードだけでは乗り切れない、府中1マイルは真の試金石」そんな言葉を聞いたことがある。その舞台となる安田記念へのステップレースとして重要な1戦がこのマイラーズCでるが、マイルという距離自体がそもそもかなりのポテンシャルを求められる距離である。それはこの路線に集う馬たちが、短距離から中距離路線までの中間の距離としてぶつ...
1969年、かの名ジョッキー、レスター・ピゴットら海外騎手を招待し、東京競馬場と京都競馬場で英国騎手招待競走が行われた。その際、第18代ダービー卿、エドワード・ジョン・スタンリー伯爵からトロフィーの寄贈を受けたことを記念し、「ダービー卿チャレンジトロフィー」が創設。開催場所が中山競馬場に移り、1度の距離短縮を経て、20...
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語り継がれし「名馬」たち
レース回顧
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