ホースセラピー講習会の開催で得た手応え。

こんにちは。
一般社団法人『馬と歴史と未来の会』理事長の上田優子です。

11/21〜22日に、岩手の「馬っこパーク」にて、RDAジャパンのホースセラピー講習会が開催されました。私は実行委員長として講習会の運営などに携わりました。

この講習会は「馬に携わる人材を育成しよう」ということを目標として、JRAが助成金を出している事業です。
今回はコロナ禍でもあり14名と人数を絞っての講習会になりましたが、座学・実技・実践・テストと、内容の濃い2日間になりました。

岩手では始めての開催でしたが、「馬」が好きな人、一口馬主をやっている人、乗馬クラブの関係者、医療従事者……さまざまな方にご参加いただき、運営側としても大変良い勉強になりました。
「馬は好きだけど、馬を扱うのは未経験です」という方が大多数でしたが、2日間という短期間で、皆さんひと通り「馬の扱い」を身に付けられたように感じています。引き馬の際の注意事項や、セラピーの目指すものについても、レクチャー出来たのではないでしょうか。

ところで、皆さんは、ホースセラピーについて、どの程度ご存知でしょうか?

最近では「聞いたことはあるなぁ」という方も増えているかもしれません。
「乗馬をしていると身体に良いんでしょう?」というイメージを持っている方も、少なくないでしょう。

実は、馬に乗ることだけが「ホースセラピー」とは限りません。眺める、触る、お世話する、お散歩を手伝う……ホースセラピーの形は、様々です。馬の体温を感じることも、セラピーにおけるひとつの手法なんですよ。

そのためにも講習会では、馬房から馬を出して来る方法や馬の体調の見分け方を学び、ブラッシングの仕方、裏掘り、馬装までを1人でできるようにします。
乗馬クラブに行かないでもこれらを学べるのは、馬を扱うための人材育成として、本当に有意義なプログラムだと感じました。

人より少しだけ体温の高い馬は、その広い背中や肩で、私たちに安心感や安らぎを与えてくれます。
講習会では、みなに介助されながら普通に前向きに乗ること、途中で横座りになること、後ろ向きで座って歩かせることを実体験してもらいました。
とある乗馬未経験の参加者さんが、乗る前に「怖い、ドキドキする」と言いながらも、周回してくると「すごく楽しかった」と満面の笑顔を浮かべていたのが印象的です。

講習会の中では、実際に四肢麻痺のあるKちゃんのサポートも、みんなで交代しながら体験しました。
単純に人を馬に乗せるだけでは、セラピーとしては不十分です。しっかりとコミュニケーションを取り、その人その人に見合ったセラピーを目指す必要があります。
たとえばゲームをすることで、小さな成功体験をいくつも重ねてあげることは、ひとつの有効な手立てでしょう。

セラピー終了後、Kちゃんからの笑顔とハイタッチは、講習会に参加された方々の心にも、幸せな思いをもたらしたと思います。

ちょっとだけ臆病な馬たちは、信頼を寄せられる人だとわかれば、寄り添ってくれるようになります。利害や社会的な立場を一切考えずに心を通わせる存在は、私たちのささくれだった気持ちもなだめてくれるでしょう。

ホースセラピーが注目を集め、需要が増えれば、セラピー人材だけでなく、当然、セラピー馬の需要も高まります。

セラピー馬に向くのは、穏やかで懐っこい性格の10歳前後の馬だそうです。
そう、乗馬や競走馬を引退してリトレーニングをされた仔たちにピッタリなのです。

私たちが目指す人と馬の幸せな社会に、ホースセラピーは理想的な活動です。

ホースセラピーには、大まかにふたつのタイプがあります。ひとつは、障害者乗馬などのスポーツや身体機能に効果を期待するもの。そさてもうひとつは私たちのように、メンタルケアに役立てようとするもの。
その効用は、様々な可能性を秘めています。

医療法人ひまわりの上田均理事長は、ホースセラピーに薬の代替治療としての効果や、幸せホルモンの分泌、精神的な高揚感にとても期待を寄せていることから、本活動にもご協力いただいております。

ストレス社会と言われる現代において、このアニマルセラピーは、社会からさらに求められるであろう「治療ではなく予防」のスタイルに合致していると考えております。
なんとも素敵な可能性を秘めていると感じませんか?

今後も、ホースセラピーの発展のために努力を重ね、引き続き人材育成や情報発信をしていきたいと思います。

次回の講習会は12/5〜6になります。
こちらは、11月のものよりもさらにレベルアップした、難易度の高いコース。
引き続き、前向きな気持ちで取り組んでいきたいと思います。

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