[引退馬支援]再デビュー馬ナグラーダの、新しい挑戦。

こんにちは、馬と歴史と未来の会の上田です。
いつもナグラーダと当会を応援し、支えてくださりありがとうございます。

ご存知ない方に説明させていただくと、ナグラーダは『元引退馬』として、当会にてリトレーニングを行い、岩手競馬で再デビューした馬です。
引退馬の新しい選択肢に『再デビュー』が加わり、より豊かな引退後に向けて歩んでいけるよう、支援を続けてきました。

そのナグラーダが、レースの前日に出走を取りやめてから約半月となりました。

ナグラーダの状態ですが、現在は痛みのない脚の腫れがあるようです。
拠点となる牧場『馬っこパーク』に到着したばかりの時は過去最高の腫れでした。

「ふだんの脚がポッキーの太さとしたら、今はフランみたいな太さですね」
(ポッキーもフランもお菓子の名前です)
とパークの先生から連絡を受けた時は血の気が引く思いをしましたが、痛がる素振りもなく、食欲もあり元気そうだというのが救いでした。

専門家の診察を受けたところ、屈腱炎(中筋のところ)再発と骨膜炎ということでした。
腫れ自体は1ヶ月もしないで引くでしょうし、骨膜炎についてはショックウェーブの治療などが可能だそうです。

ただ、15-15の追い切りですぐに脚を痛めてしまう状況であれば、今後も再発を繰り返すことは必至であり、レース中に痛めれば取り返しのつかない故障となりかねません。

先日、そのリスクを負って現役続行にこだわるべきかについて、ナグラーダの復帰プロジェクトの立ち上げメンバーと話し合いをしました。
そこで、リスクと可能性、性格や素質を踏まえて、ナグラーダの未来のために新たなステージに向かうことに満場一致で決まりました。

今まで骨折引退からの復帰という夢を、一緒に応援してくださった方々には感謝でいっぱいですし、また、夢半ばで現役引退を決めたことを申し訳なくも感じております。
ナグラーダの勝利と活躍を信じて楽しみにしてくださった皆さま、申し訳ありませんでした。

ただ、もう脚を気にしながらのレースへと見送らなくていいことに、少しだけ、ホッとしたような安堵の気持ちがあるのも本心です。

実は、ナグラーダの復帰プロジェクトのチームでは、半年ほど前から、ナグラーダが次に引退した時のキャリアとして、セラピー馬へのリトレーニングに向かうための準備を、少しずつ回りで固めてきました。
ただ、思いのほか早く訪れた引退に、さすがに驚いております。

まずはしばらく脚の腫れを抑える療養期間を経て、去勢手術を行い、傷の治りを見ながらリトレーニングに入って行く予定です。

当会では現在、毎月、精神科デイケアにてホースセラピーを実施しています。
そのスタッフと共に、ナグラーダへの乗馬のリトレーニングとセラピー対応のリトレーニングを施します。そして、デイケアホースセラピーの時間やホースセラピー体験イベントやセラピーの講習会の中で実地訓練を少しずつ取り入れていく、そしていずれは『ナグラーダのセラピー』を一つのプログラムとして広く一般の方に受けていただけるようにしていくという方向性が決まりました。

有り難いことに、ホースセラピーの講師も、牧場スタッフもナグラーダの気質などから、セラピー馬としての素養にとても期待してくださっています。
リトレーニングには、それほど長い時間もかからないだろうとのことでした。

今後は、『ナグラーダのホースセラピー』を受けたいと言ってもらえるように、ナグラーダのため、人のために活動していきたいと思います。

前例のほとんどない取り組みに対し、これまで大いにご協力いただきまして、本当にありがとうございました。改めまして、この場をお借りして、御礼申し上げます。

これからも、どうぞ長く長く、ナグラーダの応援を宜しくお願いします。

一般社団法人馬と歴史と未来の会
上田優子

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