[地方レース回顧]今年こそ女王になりたい!~2021年・ブリーダーズゴールドカップ~

秋のG1を見据えて走り出す夏競馬、門別ではブリーダーズゴールドカップが開催されました。
中央から5頭、地元北海道から5頭の10頭立てでの開催予定でしたが、レーヌブランシュが競走除外、サイファリスが出走取消したため、8頭立てでのレースになりました。
出走したメンバーの中ではマルシュロレーヌが57キロ、それ以外のメンバーが55キロの斤量を背負いました。

秋への飛躍を狙う牝馬たちが、夏の門別2000m戦に挑みます。

レース概況

大きく出遅れる馬もなく、最内から武豊騎手が促してリネンファッションが逃げを打ちます。
リネンファッションの外にアッシェンプッテルが2番手につけて、内にマリーンワンが続く展開に。
マルシュロレーヌは先行各馬を見る位置で進め、外枠スタートのメモリーコウは掛かりながら外目を進みます。

ネーロルチェンテが3馬身後方、更に後ろにクオリティスタートとストラールが位置して向こう正面へ。
向こう正面でも引き続き武豊騎手が淡々と逃げ、先行各馬が折り合いに気を付けながら追いかけます。
川田騎手や古川騎手は手綱を抑え気味に構え、勝負のタイミングをうかがう姿勢。

3コーナーに入るところで中央勢と門別勢に分かれてしまい、勝負所に入ります。
逃げきりを狙ってリネンファッションがスピードを上げ、アッシェンプッテルの藤岡佑介が追いかけます。マルシュロレーヌは内に押し込まれてしまい、メモリーコウは終始外から上がってきます。

直線に入ってリネンファッションがアッシェンプッテルを振り切り、勝ったかに見えたのもつかの間、鞭が入るリネンファッションの外から手ごたえ良くマルシュロレーヌが伸びてきます。

結局マルシュロレーヌには鞭が入ることなく、ゴール前できっちりリネンファッションを差し切って勝利しました。あと一歩で逃げ切れたリネンファッションが2着、アッシェンプッテルが3着、メモリーコウは最後伸びを欠き4着でした。門別勢では後方から最後に追い上げたネーロルチェンテが5着に入りました。

各馬短評

1着 マルシュロレーヌ

戦場をダートに移してからは大崩れするレースがほとんどなく、唯一掲示板を外したのは非常に強いメンバーが揃う帝王賞のみ。さすがに中央・地方のトップクラスが揃ったレースでしたから、8着でも善戦したと言えるでしょう。

昨年勝てなかったJBCレディスクラシックを優勝するために、夏はこのレースから始動しました。
他馬と2キロの斤量差がありましたが、実績はこのメンバーでは1枚以上は上ですし、しっかりスタートを決めて逃げるリネンファッションをマークできた走りは昨年以上の成長が伺えます。

牡馬相手でも互角に戦える馬なので、今年こそはJBCレディスクラシックに手が届く走りに期待したいところです。

2着 リネンファッション

前走スパーキングレディーカップでは快速牝馬サルサディオーネの逃げについていけずの2着敗戦でしたが、今回は自らペースを握ってのレースになりました。

やはり武豊騎手の逃げ・先行競馬はペース読みが絶妙で、最後こそマルシュロレーヌに差しきられてしまいましたが、リネンファッション自身も2番上がりの3F36.9秒でまとめているので、今回も相手が悪かった敗戦でした。

重賞挑戦はこれが2戦目なので、今後もレディースプレリュードなど更に経験を重ねれば、安定して上位に来る走りが出来るでしょう。

3着 アッシェンプッテル

前走は芝のマーメイドステークスを使いましたが、基本的にはダートのオープンクラスで走っている馬です。
船橋のクイーン賞では末脚を発揮しサルサディオーネの2着に入っているので、牝馬戦であれば十分戦える実力はありそうですね。

今回のレースでも藤岡佑介騎手がうまくマルシュロレーヌを内に押し込みながら上がっていきましたが、最後は末脚比べに屈してしまいました。

前を行くリネンファッションを見ながら末脚を使わなければいけない難しいレース展開でしたので、メンバーの更に多いレースの方が自らの末脚を繰り出すレースが出来そうですね。

4着 メモリーコウ

2020シーズンから牝馬交流重賞路線を中心に走っていて、勝てないまでも常に成績上位を維持しています。
今回は外枠発進で向こう正面に入る前に掛かって体力を消耗してしまいましたので、その分最後の末脚が鈍っての敗戦でした。外枠スタートゆえに他馬に比べてコースロスも多かったレースでした。

とはいえ、昨年2着のタイムと0.1しか違わず、万全の走りではなかったにせよ実力は存分に発揮していますので、ここを使っての巻き返しに期待したいですね。人気しなくてもしっかり走り切るのがこの馬の魅力です。

レース総評

昨年勝てなかったJBCレディスクラシックを勝つために、マルシュロレーヌは最高のスタートを切ったのではないでしょうか。斤量差が2キロあってもノーステッキで差し切ったところを見るとまさに完勝というほかないでしょう。

差し競馬なので展開に左右される面はありますが、今回のように逃げる馬をマークする戦術が可能になったのは大きな収穫でした。

このままマルシュロレーヌがJBCのタイトルを取るのか、それとも他の人馬が狙うのか、シーズン中も目の離せないレースが今後も続きます!

写真:かなポン

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