ゴールドシップ、メジロブライト、ビートブラック。星海社新書から振り返る天皇賞・春BEST3とは? - トークイベント『達人にきく! 競馬の見方が変わる競馬の深イイ話(5/18)』に寄せて

春の天皇賞・競馬ファンの魂を揺さぶる歴代ベスト3はこれだ!
3200mに刻まれた不滅の名勝負とドラマをふりかえる

5/18(日)19時〜新宿ロフトプラスワンでトークイベント『達人にきく! 競馬の見方が変わる競馬の深イイ話』が開催される。

小川隆行&ウマフリ「競馬新書シリーズ」(星海社)全12冊刊行記念として、競馬の奥底に潜む「深イイ話」をたっぷりと語るイベントに、治郎丸敬之(「ROUNDERS」編集長)、水上学(競馬ライター)、矢野吉彦(フリーアナウンサー)、小田哲也(スポニチ記者)といった豪華ゲストが集結する。

その開催記念として、今回は、星海社新書『競馬 伝説の名勝負 GⅠベストレース』(小川隆行+ウマフリ)で選出された春の天皇賞・歴代ベストレース3を振り返りながら、その魅力に迫ってみたい。

※本記事は、名馬たちのドラマをこよなく愛する執筆者たちが、GⅠレースごとにベストレースを選定した『競馬 伝説の名勝負 GⅠベストレース』(星海社新書)の記事を基に、再構成して紹介しています

第1位 2015年 ゴールドシップ - 気分屋ホースが刻んだ競馬史に残る一戦

2015年の天皇賞・春を制したゴールドシップは、競馬ファンの記憶に永遠に刻まれる「異端の名馬」だ。2012年の菊花賞と有馬記念を圧勝し、2013年の阪神大賞典も楽勝。天皇賞・春でも単勝1番人気に推されたゴールドシップは、多くのファンが「負けるはずがない」と確信した存在だった。しかし、結果は5着と敗北。この馬の真骨頂は「予想の常識」を軽々とぶち壊す破天荒な走りにあった。

ゴールドシップのレーススタイルは唯一無二。向正面からゴールまで約500mを突き進む「ロングスパート」は、常識外のマクリ戦法で観る者を圧倒した。

2015年・天皇賞春のゴールドシップはゲート入りを嫌がり、後ろ脚でラチを蹴るほどのテンション。スタート直後も最後方を進み、ファンの心臓を締め付けた。それでも、向正面で一気に捲ると、4コーナーで3番手へ。最後はフェイムゲームの猛追をクビ差で振り切り、6歳にして3度目の天皇賞挑戦で頂点に立った。

この勝利は、ゴールドシップの「いつ走るか分からない」気まぐれな魅力の集大成だった。筆者もこの馬に翻弄された一人。競馬雑誌の編集者として「ゴルシは買わない!」と宣言した直後に勝利され、予想を裏切られるたびに頭を抱えたという。それでも、ゴールドシップの走りは競馬の醍醐味そのもの。「競馬に絶対はない」と教えてくれたこのレースは、筆者にとって間違いなく歴代最高の一戦となったことだろう。

第2位 1998年 メジロブライト - 素質開花の瞬間、ファンを魅了した成長のドラマ

1998年の天皇賞・春を制したメジロブライトは、「人気先行馬」から「実力先行馬」へと進化した名馬。その過程で、競馬の奥深さと魅力をファンに教えてくれた。3歳時は皐月賞、ダービー、菊花賞で上位人気に推されながらも届かず、典型的な「過大評価馬」の烙印を押されていた。しかし、4歳での変貌ぶりは目を見張るものがあった。

菊花賞後に騎手を河内洋に変更し、ステイヤーズSで圧勝。続くアメリカジョッキークラブC、阪神大賞典と重賞3連勝を飾り、天皇賞・春へと駒を進めた。

そして1998年の天皇賞春では、同世代の有馬記念馬シルクジャスティスのマークを跳ね除け、4コーナーで先頭に立つと、2着ステイゴールドに2馬身差をつける圧勝。持てる素質が一気に花開いた瞬間だった。

メジロブライトの勝利は、競馬における「成長と開花」のドラマを象徴するのではないだろうか。人気に推されながら結果を出せなかった若駒が、経験と調教を経てGⅠの舞台で輝く。このレースは、競馬予想の難しさと、馬の可能性を信じる喜びを教えてくれる名勝負として、歴代2位として取り上げるにふさわしい。

第3位 2012年 ビートブラック - 忘れたころに炸裂した、大穴逃げの衝撃

2012年の天皇賞・春は、伏兵ビートブラックが歴史に名を刻んだレースだ。この年の主役は、3冠馬オルフェーヴル。前哨戦の阪神大賞典では3コーナーで逸走しながら2着に食い込む底力を見せ、ファンも関係者もその勝利を疑わなかった。しかし、競馬の神様は予想外の結末を用意していた。

レースはゴールデンハインドとビートブラックが後続を10馬身以上引き離す逃げの展開。3コーナーでビートブラックが先頭に立つと、オルフェーヴルとの差は30馬身以上に広がった。4コーナーでようやく追い上げたオルフェーヴルだったが、ビートブラックは遥か前方。結果、2着に4馬身差をつける圧倒的な逃げ切り勝利を収めた。

ビートブラックは、2年前の菊花賞で3着に入った実績こそあったが、重賞未勝利のノーマーク馬。京都競馬場では「こんな馬、出てたの?」との声が漏れたほどだ。伝統あるGⅠを大穴馬が制したこのレースは、長距離戦の醍醐味である「何が起こるか分からない」スリルを体現。歴代3位に選ばれるにふさわしい一戦だ。

天皇賞・春は、3200mの長丁場で繰り広げられるスタミナと戦略の戦い。その歴史の中で、ゴールドシップの気まぐれな魅力、メジロブライトの成長物語、ビートブラックの大穴劇は、競馬ファンの心を強く揺さぶった。

これらのレースは、競馬の予測不可能性とドラマ性を象徴する名勝負として、永遠に語り継がれるだろう。次回の天皇賞・春でも、新たな伝説が生まれることを期待したい。


星海社からのお知らせ

5/18(日)19時〜新宿ロフトプラスワンでトークイベント『達人にきく! 競馬の見方が変わる競馬の深イイ話』ご参加受付中です!

小川隆行&ウマフリ「競馬新書シリーズ」(星海社)全12冊刊行記念として、競馬評論家やスポーツ新聞記者、現役実況アナウンサーをゲストに迎え、競馬の奥底に潜む「深イイ話」をたっぷりと語っていただきます。

さらにイベント後半では開催直前のオークス(5月25日)と日本ダービー(6月1日)特別予想も披露します!

■出演者とトークテーマ

●特別ゲスト
治郎丸敬之(「ROUNDERS」編集長):パドックと返し馬、馬体の見方
水上学(競馬ライター):テイエムオペラオーとキタサンブラックから考える母父論
矢野吉彦(フリーアナウンサー):うまい競馬実況とは? 思い出の競馬実況および裏話
小田哲也(スポニチ記者):東京コースの穴ねらい術とは/距離別・条件別に考える

●司会進行
小川隆行(競馬ライター)
緒方きしん(ウマフリ代表)

日時:5月18日(日)OPEN 18:00 / START 19:00
場所:新宿ロフトプラスワン
料金:2800円(前売)/当日3200円 ※要ワンオーダー・飲食代別

※前売りチケットのお申し込みはこちらから
https://t.livepocket.jp/e/8cwob

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