上半期ダートグレードの大一番帝王賞の前哨戦、平安S。
ダート界のトップレベルへの挑戦に向け『新興勢力』同士の争いになる傾向があったレースだが、今年は春先のドバイミーティング中止の影響もあってか、オメガパフュームとゴールドドリームというGⅠ馬が名を連ねた。
ダートグレードや海外遠征など選択肢が多いダート界では、フェブラリーSとチャンピオンズC以外のJRA重賞にトップレベルが出走するのは斤量の問題などもありそれほど多いことではない。
ゴールドドリームがGⅠ以外のレースに出走するのは、約3年半ぶりだという。

これら2頭に挑むのはヴェンジェンス、ハヤヤッコ、スワーヴアラミスら重賞ウイナーと古豪・ミツバ。
そしてロードレガリス、ヒストリーメイカー、マグナレガーロら新興勢力だった。

スタートから押して先手を主張したのはスマハマ。
中京ダート1分47秒6で逃げ切ったスピード型だが、みやこSでインティらと超ハイペースを演出して以来、リズムを崩していた。4ヵ月の休養、転厩後の出走は変わらず逃げ戦法を選択。
すぐ外をスワーヴアラミスがスマハマの動きに合わせるように追う。さらに外からヴェンジェンス。
この3頭が先行集団を作る。

この3頭を見る形でゴールドドリーム、その背後にオメガパフュームが内から忍び寄り、マークする。
外にマグナレガーロ、ダンツゴウユウ、内にヒストリーメイカー、間にミツバが追い、ハヤヤッコ、ロードレガリスらは後方を追走。

コーナーで一旦ペースを落としたスマハマは以前と同じくさほどペースをあげない。
ゴールドドリームらが楽に追走するなか、ロードレガリスの手応えが次第に怪しくなる。

勝負所でスワーヴアラミスが動き、ヴェンジェンスがそれに呼応、スマハマに襲いかかる。そのスマハマはこの2頭に対抗できずに下がっていってしまう。

残り400~200m。

スマハマに先行勢が迫り、スワーヴアラミス、ヴェンジェンスが先頭に立った4角から直線残り200m地点のことだった。その区間のラップタイムは11秒7。
これは芝レースのペースアップと同等のタイム。
さすがのゴールドドリームも食い下がるのにやっとのなか、そのさらに外を回ったオメガパフュームは直線に入るまでほぼ馬なりの手応え。
いざ追い出されると一気にスワーヴアラミスとヴェンジェンスを飲み込み、先頭へ躍り出る。

11秒7が記録された地点で新興勢力は脱落、先行していたヴェンジェンスとゴールドドリームが追いすがるのみだった。
オメガパフュームの完勝だった。勝ち時計1分50秒6(良)。

各馬短評

1着オメガパフューム(3番人気)

完勝だった。
道中はゴールドドリームの直後のイン。
勝負所で安全な外に出し、大外をひとマクリ。最速の11秒7が記録された地点で他馬よりそとを回りつつ、手応えは馬なり。直線で追い出されると2着以下を突き放す。
昨年制した帝王賞の連覇へ、視界良好だ。

2着ヴェンジェンス(5番人気)

道中は先行集団の外目を追走。
先に動いたスワーヴアラミスに上手く反応した。
11秒7の最速ラップ区間は自ら一緒に動いて脚を使った地点。さすがに最後は脚が上がり気味で3着ゴールドドリームに詰められたが、自力で11秒7を乗り切ったあたり、力の証明だ。
若い頃は1400mを中心に使われ、内枠で揉まれると弱さを露呈していたが、その気性面が解消されたのか距離面の融通も出てきた。
7歳ながら、まだまだダートグレードなどで活躍が期待できそうだ。

3着ゴールドドリーム(2番人気)

敗れたとはいえ、新興勢力にはきっちり先着。
久々のGⅢ出走で格の違いを見せた。オメガパフュームとの差はやはり勝負所の11秒7で手応えを悪くし、見劣ってしまったところだろう。さすがに瞬発力勝負では限界がある。
それでも最後までしっかり駆け、脚があがったヴェンジェンスにゴール前で迫ったのはチャンピオンゆえの意地だろう。時計勝負では分が悪くとも地方競馬の深いダートであればまだまだやれそうだ。

総評

残り400~200mの11秒7。
ダート重賞ではしばしばこのぐらいの時計が記録される。平安Sでも過去に11秒台後半のラップはあった。
だが、それは勝負所より少し早め、逃げ馬が後続の動きを嫌ってペースアップしたときが多かった。
今回は逃げるスマハマをスワーヴアラミス、ヴェンジェンスが捕まえに動いた地点、それはゴールドドリームやオメガパフュームが追い上げた地点でのこのラップ。
ダート競馬ではこういった形で11秒台後半が記録されることは珍しい。
いわゆる瞬発力を求められるハイレベルな競馬だったと考えて良いだろう。
帝王賞が一層、楽しみになった。

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