[POG2022-2023]注目馬紹介~一口クラブ・ウインレーシング編~

2021年は、日経賞・オールカマーの勝ち馬ウインマリリン、目黒記念勝ち馬ウインキートスという2頭の牝馬が大活躍。さらに今年の3歳世代でもウインマーベルが重賞・葵Sを制するなど躍進の続くウインレーシングクラブ。

今回はそのウイン所属馬から、期待の2歳馬をご紹介していきます。

魅力のゴールドシップ産駒たち

ウインジュルネ

父:ゴールドシップ
母:ウインソワレ
性:牡 毛色:栗毛
所属:栗東・宮本博厩舎

母のウインソワレはスプリント戦線で活躍した実績馬。通算39戦5勝という戦績は、2歳シーズンにファンタジーSで3着に食い込みつつも6歳シーズンに連勝したという息の長い活躍があってこそでしょう。母父ダンスインザダークながら、短距離に高い適性を示した牝馬でした。

父ゴールドシップ×母父ロージズインメイの組み合わせといえば、2021年オークス馬ユーバーレーベンがあげられます。また、母母父ダンスインザダークの存在によりサンデーサイレンスの4×3が発生しているのも血統的な魅力を高めています。

5代母のバブルカンパニーは日本にも馴染みのある名牝。天皇賞・秋や朝日杯3歳Sを制したバブルガムフェロー、菊花賞馬ザッツザプレンティ、阪神JF勝ち馬ショウナンパントル、そしてダービー馬ディープブリランテなど、定期的に名馬を輩出してきた牝系ですから、大物としての期待も十分です。この牝系からは2002年小倉大賞典の2着馬ウインシュナイトも活躍していて、ウインにも所縁があると言えるのではないでしょうか。

ウインルーティン

父:ゴールドシップ
母:コスモマイルール
性:牡 毛色:芦毛
所属:栗東・長谷川浩大厩舎

母のコスモマイルールは中央で新馬勝ちを収めた馬で、現役時代にはほぼ一貫してスプリント戦を使われていた快速馬でした。繁殖入り後は一貫してゴールドシップとの配合がされていて、すでに全兄が2頭デビュー、1頭が中央で勝ち上がっています。どちらも中距離を使われていたことからも、本馬も中距離路線で走る可能性が高いのではないでしょうか。

ややマニアックな話になってしまいますが、この馬の牝系の祖であるシユリリー(1925年うまれ)は日本で一大牝系を築き上げているレジェンド。その子孫からはオグリキャップ&オグリローマン、リンデンリリー&ヤマカツリリー、キョウエイマーチ&マルシュロレーヌといった数々の名馬が輩出されています。ウインルーティンの祖母マイリリーも、エリザベス女王杯勝ち馬リンデンリリーの全妹という良血です。牝系に配合されてきたミルジョージ、キタノカチドキ、ガーサント、クモハタといった種牡馬たちの血が流れていることにもロマンを感じずにはいられません。

母父のルールオブローは英セントレジャー勝利・英ダービー2着といった戦績をあげたイギリスの馬で、その父は日本でも人気の名種牡馬Kingmamboです。日本では京阪杯・シルクロードS勝ち馬アンバルブライベン、ファンタジーSの4着馬ハピシンなどを輩出しています。母父としてはまだ大きな実績をあげられていませんが、現在唯一の中央勝ち馬がウインルーティンの全兄だけに、相性は悪くなさそうに感じられます。

父ゴールドシップ×母父Kingmamboの組み合わせからは、札幌2歳S勝ち馬ブラックホールが挙げられます。また、万葉S勝ち馬マカオンドールの母父であるDarshaanはMill Reef系の種牡馬。ウインルーティンの血統表に名を残す、同じくMill Reef系種牡馬ミルジョージの存在も、活躍に一役買うかもしれません。

ウインネモフィラ

父:ゴールドシップ
母:コスモネモシン
性:牝 毛色:芦毛
所属:美浦・奥平雅士厩舎

母のコスモネモシンは重賞2勝の活躍馬です。3歳1月にフェアリーSを制してから重賞戦線で活躍を続け、6歳9月に新潟記念を制覇。他にも重賞で4度の2着があるだけでなく、札幌記念ではネオヴァンドームら当時の一戦級の牡馬に先着する4着など、数々の名勝負を繰り広げてくれました。

引退後に送り出した仔は、父アイルハヴアナザー→父ジャスタウェイ→父アイルハヴアナザーと3年連続で中央未勝利馬(2022年5月現在)でしたが、4頭目のウインバグーズ(父モーリス)は中央の芝1800m戦で勝ち上がっています。また、上記4頭はいずれも牡馬でしたが、今回初の牝馬とあって、タイプに変化が起こるかにも注目です。

父ゴールドシップ×母父ゼンノロブロイという配合のため、サンデーサイレンスの3×3という強めのクロスが発生しています。ゴールドシップ産駒でサンデーサイレンスの3×3はまだまだ未知数なクロスであり、母父ゼンノロブロイとしては本馬が初の配合となります。さらに父ゴールドシップ×母父ディープインパクト・母父ハーツクライ・母父ダイワメジャーなどの組み合わせも未デビューもしくは未配合のため、まだプラス要素ともマイナス要素とも言えません。

ただ、母父ゼンノロブロイについては、2022年京都新聞杯勝ち馬アスクワイルドモア(父キズナ)、2020年東スポ杯2歳Sの3着馬ジュンブルースカイ(父ドゥラメンテ)など、サンデーサイレンスの3×3で実績を出しているので、このクロスに大きな不安はないのではないでしょうか。むしろ本馬の活躍により、ゴールドシップに新たな配合の可能性が広がれば面白いと思っています。

バラエティ豊富な大物候補たち

ウインオーディン

父:エピファネイア
母:ピエナビーナス
性:牡 毛色:黒鹿毛
所属:美浦・鹿戸雄一厩舎

母のピエナビーナスは重賞勝ちもある実績馬。クイーンSでは11番人気ながら上がり最速で、実力馬ザレマを相手に差し切り勝ちを見せました。28戦5勝という通算成績のうち、札幌で2勝・函館で3勝という『洋芝の鬼』でした。

父のエピファネイアは、そんな洋芝の得意な牝馬との配合でも活躍馬を輩出してきています。エフフォーリアの母は3勝のうち2勝が函館ですし、スカイグルーヴの母は5勝のうち3勝が札幌です。どちらも良血馬ではありますが、それでも傾向的には『洋芝が得意な方がプラス』と考えて良いでしょう。

ピエナビーナスは引退してから、ジャングルポケット、トビーズコーナー、アイルハヴアナザー、エイシンフラッシュなど非サンデー系の種牡馬と配合されてきました。今回は初のエピファネイアでサンデーサイレンスの4×3が実現しています。いま注目のクロスだけに、本馬の活躍も期待されます。

ウインフランシーズ

父:ドゥラメンテ
母:ウインリバティ
性:牝 毛色:栗毛
所属:栗東・飯田雄三厩舎

父のドゥラメンテは二冠を制した超良血馬で、早逝が悔やまれる1頭です。遺された産駒たちがその血を繋げていってくれることに期待が集まります。既にタイトルホルダー・スターズオンアースとGⅠを複数勝っている名馬を牡馬牝馬で輩出していることからも、そのポテンシャルの高さが窺えます。

ウインフランシーズは母父ダンスインザダークのため、サンデーサイレンスの3×3というやや濃いクロスが発生しています。ドゥラメンテ産駒はライバルのエピファネイア産駒とは異なり、どちらかと言えばクロスが濃くない方が活躍馬の多い傾向にあるようですが、牝馬のスターズオンアースはMr. Prospectorの4×3で桜花賞・オークスを制していますので、決して相性が悪いというわけでもないでしょう。エピファネイアやキズナに続きドゥラメンテからサンデーサイレンスのクロスを持つ大物が誕生する日も近いかもしれません。

本馬の母であるウインリバティは通算成績35戦5勝という実績馬で、エリザベス女王杯などにも出走しています。重賞での最高着順はチューリップ賞での5着になりますが、引退間際の愛知杯でも6歳ながら6着に食い込むなど息の長い活躍を見せました。ウインフランシーズの成長のピークは古馬になってからかもしれませんが、デビューから応援したい素質馬だと思います。

ウインエレナ

父:ロードカナロア
母:サマーエタニティ
性:牝 毛色:黒鹿毛
所属:美浦・畠山吉宏厩舎

ウインのファンにはお馴染みの名繁殖・サマーエタニティの仔です。サマーエタニティは、香港GⅠを2勝したウインブライト、阪神JFで2着のウインファビラスなどを輩出しています。上記2頭は父ステイゴールドです。2022年に3歳を迎えたウインエクレールは父がディープインパクトにかわりましたが、1月デビューで3戦2勝という戦績でリステッド競走のスイートピーSを制しています。

注目ポイントは、ここ数年とは異なり父が非サンデー系の種牡馬・ロードカナロアになったことでしょう。サマーエタニティと非サンデー系種牡馬との配合は、2012年うまれのウインフォーエバー(父コンデュイット)以来となります。ウインフォーエバーは芝1800m戦で3着などの戦績を残しつつ中央未勝利でした。ただ、ロードカナロアの種牡馬としての実力は皆さんもよくご存知の通りでしょうから、あまり気にし過ぎなくて良いデータかとは思います。

今回はサマーエタニティにとって初のMr. Prospector系種牡馬との配合でもあり未知数な部分が大きいのも確かではありますが、それよりも繁殖牝馬としての未来も含めたポテンシャルの高さに惹かれる1頭です。早期デビューでガンガン稼ぐというよりは、じっくり応援したいファン向けの牝馬かもしれません。

ウインフィエルテ

父:シャンハイボビー
母:ギガンティア
性:牝 毛色:青鹿毛
所属:栗東・加用正厩舎

新種牡馬シャンハイボビーの産駒で、北海道サマーセールで落札されてきました。母父Fusaichi Pegasus、母母父Storm Bootというアメリカンな血統が、この未知数な父のポテンシャルをどこまで引き出すでしょうか。

牝系は非常に優秀で、近親にはエリザベス女王杯の勝ち馬モズカッチャンや、札幌2歳Sの2着馬モズ、さらに遡れば南部杯勝ち馬ゴールドティアラなどを輩出している一族です。日本の馬場への適性が高いと言って良いでしょう。

近年、導入が進んでいるStorm Cat系の種牡馬たち。シャンハイボビーもその1頭になりますが、アメリカでの種牡馬時代に輩出したマリアズハートがオープン競走・韋駄天Sを制するなど、日本での実績はすでにあります。ウインフィエルテも、豊富なスピードを武器に、早い時期から活躍してくれるタイプではないでしょうか。


他にもウインエリタージュ(父キズナ)やウインエタンセル(父ビーチパトロール)など、活躍が楽しみな馬が多い、今年のウイン所属の2歳馬たち。ぜひ公式ホームページから、皆さんにとっての「これは!」という素質馬を見つけてください。

この記事が皆様のPOG戦略のお役に立てれば幸いです。

写真:ウインレーシングクラブさまHP

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