変則2場開催最終日は札幌、新潟で共にダートの重賞競走が組み込まれた。
北の大地札幌では暮れの中京を見据えた古馬戦線「エルムステークス」が開催。
過去にこの競走を制したことのある強豪や重賞戦線で勢いに乗る重賞馬も登場する中、一番注目を集めたのは新天地で復活をかけるG1馬であった。
2017年のホープフルステークス勝ち馬タイムフライヤーである。
ホープフルステークス勝利以降、中々勝利に手が届かなかったが、前走のマリーンステークスで約2年ぶりの勝利を挙げた。その勢いのままに、次なる目標である重賞制覇・そして連勝を目指して札幌に乗り込んだのだった。
1番人気に支持されたタイムフライヤー、果たして再び重賞の頂に立てたのだろうか。

レース概況

レース当日の札幌競馬場は、良馬場のコンディションで迎えた。
ゲートが開きレースが始まると、予想通りリアンヴェリテがハナを主張。
続いてアナザートゥルース、さらに2年前の覇者ハイランドピークが続いた。
中団5番手にこちらも芝で活躍を見せたエアスピネルが追走し、その後ろにタイムフライヤーが付けた。
2番人気に支持されたウェスタールンドは最後方からの競馬となった。

小回りのダート戦、3コーナーからレースは早くも動き始める。
最後方追走のウェスタールンドが一気に上昇。中団までポジションを押し上げた。
タイムフライヤーも、それに応える形でポジションをあげていく。
ごった返す先団の各馬も相まって、横一列ビッシリと並んで直線に入った。

直線に入って勢いが良いのは、まくり上げた同じ勝負服の2頭だった。
馬場の3分どころから追い出したタイムフライヤーが先頭に立つ。大外から追ったウェスタールンドが詰め寄ろうとするも追いつかせず、タイムフライヤーはむしろ突き放して独走状態となった。

混戦極める2,3番手争いを尻目に悠々のゴールイン。
場内には「輝きを取り戻してゴールイン!」と実況アナウンサーの力強い声が響いた。

各馬短評

1着 タイムフライヤー (C.ルメール騎手 1人気)

1番人気に応える見事な復活劇だった。道中は中団を追走し、後方からウェスタールンドが動くと見るや一気に上昇。最後は各馬を突き放す圧勝劇であった。

豪脚の直線番長ウェスタールンドを封じ込めた勝利はまさに「復活劇」。
新天地でのさらなるパワーアップを感じさせるものであった。

2着 ウェスタールンド (藤岡佑介騎手 2人気)

サンデーレーシングのワンツー決着となった。
道中はもはや指定席となった最後方を追走。3コーナー過ぎで加速をするとあっという間に進出。4コーナーでは先団につけ、直線での伸び比べに持ち込んだ。最終的にはタイムフライヤーに突き放されたものの、自分の競馬に徹しての2着は流石の一言。
直線の豪脚に安定感が加わったウェスタールンドは、悲願のG1制覇にまた一歩近づくレース運びを見せた。

3着 アナザートゥルース (大野拓弥 5人気)

3着には、こちらも重賞馬のアナザートゥルースが粘った。
このレースは1.2着は後方からまくり上げた馬だったが、先団を進んだ各馬も粘っていて、熾烈な3着争いを繰り広げていた。
2番手を追走していたアナザートゥルースは4コーナーで逃げるリアンヴェリテを捕まえる。その後勝ち馬と2着馬に差されるものの、ハイランドピークとの3着争いを制した。
結果は3着ではあるものの、激しい競り合いを制した勝負根性はいまだ健在。
今後もダート重賞戦線で盛り上げてくれる1頭だ。

総評

復活劇とするには、十分すぎるパフォーマンスであろう。

豪脚ウェスタールンドをも突き放し、悠々とゴール板に飛び込んだ姿はクラシック戦線を盛り上げたG1馬タイムフライヤー本来の姿だった。そしてカネヒキリやベルシャザールといった数々のダート馬を育て上げた松田国英厩舎から、また一頭、ダート戦線で楽しみな馬が誕生したこととなる。

重賞制覇を達成し、また一つ輝きを取り戻したタイムフライヤー。
次なる目標はもちろん、芝ダート両G1の二階級制覇だ。

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