さらばアーリントンカップ、世界のジャスタウェイを輩出した名レースよ!

2024年4月5日、チャーチルダウンズカップという重賞が初めて開催される。
この重賞はアーリントンカップが改名されたものである。
──というのも、名前の元であるアーリントンパーク競馬場が2021年7月30日をもって廃止されたのだ。代わりに阪神競馬場とチャーチルダウンズ競馬場の姉妹提携により改名された結果が、この重賞の名称だ。

開催時期も2週間繰り上げとなったが、阪神競馬場の芝1600mで行われるのNHKマイルのトライアルレースであることには変わりはない。

このレースの『これまで』

アーリントンカップの前身であるペガサスステークスは、アーリントンカップ同様に、阪神芝1600mの3歳馬(当時は4歳表記)のレースである。アーリントン競馬場との姉妹提携によりアーリントンカップに機能を移した結果、1987年から1991年のたった5回の開催となった。ただし、少ない開催ながら勝ち馬にはオグリキャップ等がおり、実はこの時点で出世レースの片鱗があったのかもしれない。

そして1992年から2024年までの計33回の開催となったアーリントンカップ。その中で11頭も勝ち馬がGⅠを勝利を上げている。古くは2000年のエイシンプレストン、更にそこからダンツフレームにタニノギムレットにウインクリューガーと4年連続でGⅠ馬を輩出。

近年でもそのままの勢いでNHKマイルを勝利したダノンスコーピオン、オーストラリアのローズヒルガーデンズ競馬場で開催されたザ・ゴールデンイーグルを勝ったオオバンブルマイ等、GⅠ馬や国際派の活躍馬を輩出している。NHKマイルの前哨戦としても海外競馬場との提携レースとしても存在感を示した。

海外競馬場との提携レースということで、その中でも海外GⅠを勝利したジャスタウェイの話を今回は書いていきたいと思う。

世界への道の第一歩 第21回アーリントンカップ

2012年の第21回アーリントンカップの覇者、それがジャスタウェイだ。
この時ジャスタウェイはGⅢ新潟2歳ステークス2着と2度のGⅢ4着が評価されての2番人気。
ただ、全体としての下馬評は13頭立てながらも5番人気までが1桁オッズの群雄割拠の様相だった。

大外13番ジャスタウェイが最後にゲートイン、そしてスタートが切られるとジャスタウェイは下がっていき最後方の位置取り。
この時は馬主の大和屋氏さえも「後ろ過ぎはないでしょうかね、福永さん」と不安を覚えたという。それほど極端な位置取りのまま4コーナーへ……。直線に入ると各馬がスパート、内を先行するオリービンがそのまま伸びてこのまま勝つかという雰囲気。

すると後方からぐんぐんと足を伸ばす馬がいる、ジャスタウェイだ。残り200m、ちょうど上り坂に入ると他馬が止まって見えるほどの速度で外から上がっていく。
最後は粘りこみを計ったオリービンを差しきりゴール!

まさにごぼう抜き! 豪快な勝利となった。

いかに凄まじい内容かは13頭立てのレースで12-12というコーナー通過順と上がり3ハロン34.2秒というデータが示しているだろう。
コーナー通過順が同じく12-12となる最後方であったヴェアデイロスは10着。同じ位置取りだった馬を完全に置いていく結果であった。オリービンが内から先行し3-4という通過順で2着に残した通り、差し有利の極端な馬場だったわけでもない。
上がり34.8は2位の35.0と0.8秒も差をつけている。この時の切れ味のすさまじさを示している数値と言えるだろう(先行して上がり2位2着のオリービンもこっちはこっちで凄いのだが)。

その後のジャスタウェイ

この勝利が評価されてかNHKマイルは4番人気、しかし結果は振るわず6着となったジャスタウェイ。前走で負かしたオリービンに先着を許すこととなってしまった。
更に馬主の強い意向で出走した日本ダービーは11着と、春のGⅠは残念な結果に終わった。

秋になると毎日王冠に参戦、再びNHKマイル覇者のカレンブラックヒルに敗れるも12番人気の低評価を覆し2着と激走。ただ、そのまま天皇賞秋を制覇......とはならなかった。天皇賞秋を勝利したのはこの翌年、この時は6着である。この時の勝ち馬はエイシンフラッシュであり、ミルコ・デムーロ騎手の最敬礼が印象的でこれも有名なレースであろう。

4歳シーズンはアーリントンカップの勝利や毎日王冠の激走の2着からか重賞で高人気に支持されるもなかなか勝ちきれないレースが続く。中山金杯3着、京都記念5着、中日新聞杯8着、エプソムカップ2着、関屋記念2着、毎日王冠で再びの2着……。

そして賞金順17番目とギリギリながら再びの天皇賞秋へ。元々は賞金順20番手だったところから、同厩舎のゴールドシップ等の回避馬が出た結果、何とか出走へ漕ぎつけた。

3番人気は去年の覇者で前走の毎日王冠の覇者エイシンフラッシュ、2番人気は重賞3連勝のトウケイヘイロー、そして1番人気は三冠牝馬ジェンティルドンナと強豪の揃いのメンバー。結果は、これら強豪を下しアーリントンカップ以来の勝利、初のGⅠ勝利となった。

その後は更に中山記念を完勝、ついにドバイデューティーフリー(現ドバイターフ)出走へ。
すると2着馬である6戦無敗のウェルキンゲトリクスに6馬身もの差をつけレコード勝利。

ついに世界に届いたのだった。

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