今年のクラシック戦線も、一口クラブ勢の躍進がとまりません。

そんな中で赤い勝負服の東京サラブレッドクラブは毎年のようにクラシック戦線にクラブ馬を送り込み、非常に堅実にPOG期間に勝ち星をあげてきたクラブです。

桜花賞終了時点でのデータになりますが、2010年生産から2017年生産までの間で、春のクラシック出走を果たした東京サラブレッドクラブ馬は延べ10頭。ノーザンファーム生産が5頭、社台ファーム生産が3頭、海外馬と富田牧場生産が各1頭です。

2010年生産
  • レッドレイヴン(ダービー12着)父スマートストライク/母11歳時の産駒/海外産
  • レッドオーヴァル(桜花賞2着・オークス17着)父ディープインパクト/母12歳時の産駒/社台ファーム生産
  • レッドルーラー(皐月賞18着)父キングカメハメハ/母16歳時の産駒/ノーザンファーム生産
2011年生産
  • レッドリヴェール(桜花賞2着・ダービー12着※阪神ジュベナイルフィリーズ1着)父ステイゴールド/母20歳時の産駒/社台ファーム生産
2013年生産
  • レッドアヴァンセ(桜花賞7着・オークス7着)父ディープインパクト/母15歳時の産駒/ノーザンファーム生産
  • レッドエルディスト(ダービー9着)父ゼンノロブロイ/母14歳時の産駒/ノーザンファーム生産
2014年生産
  • レッドコルディス(オークス15着)父ハーツクライ/母6歳時の産駒/富田牧場生産
2015年生産
  • レッドサクヤ(桜花賞7着・オークス4着)父ディープインパクト/母18歳時の産駒/社台ファーム生産
  • レッドレグナント(桜花賞15着)父ロードカナロア/母11歳時の産駒/ノーザンファーム生産
2016年生産
  • レッドアステル(桜花賞14着)父ディープインパクト/母6歳時の産駒/ノーザンファーム生産

列挙してみますと、巷で言われている「若母産駒のほうが成績が良い」という説が必ずしも正解ではないということが感じられます。

東京サラブレッドクラブはいわゆるバイヤー系クラブですので、動きや馬体で判断して、走りそうな良い馬を募集していることがこのような結果になったのではないかと思います。

さて、2019年のデビュー馬(2017年生産)に目を向けてみると、会員である私自身もワクワクするラインナップとなっています。

早速ご紹介していきましょう!


①レッドベルジュール

牡馬 2017年4月6日生まれ
募集額:7,000万円
父:ディープインパクト
母:レッドファンタジア(7歳時出産・3連産目)
母父:Unbridled's Song(アンブライドルズソング)
厩舎:栗東・藤原英昭厩舎
生産提供:ノーザンファーム
育成牧場:ノーザンファーム空港

主な兄弟:

  • レッドベルローズ(全姉・初仔)POG期間5戦2勝
  • レッドベルディエス(全姉・2番仔)POG期間3戦1勝

この血統は、正直走ってもらわなければ困ってしまう!というほどの血統です。
父ディープインパクト×母父Unbridled's Songは、デビュー16頭中13頭が勝ち上がっている名血統。代表産駒は朝日杯FSの勝ち馬ダノンプラチナです。

馬体を見ても体調面での問題は育成の段階ではほぼ無く、早い段階で仕上げすぎないように配慮するくらい順調の一途を辿っています。

すでにノーザンファームしがらきへ移動済み。しがらきでしっかりと調整しゲート試験を終えた後にデビューを計画できるものと思います。

管理する藤原英昭調教師×ノーザンファーム×東京サラブレッドクラブの組み合わせは過去に3頭いますが、

  • レッドオルガ(13戦5勝)
  • レッドサクヤ(6戦2勝、オークス4着)
  • レッドアクトレス(2戦0勝も掲示板2回、ダービー2着のサトノラーゼンの半弟)

と、しっかりと結果を残しています。

アクトレスも未勝利ながら2戦とも内容は良く勝ち上がってくれると思っています。
血統面だけでなく、本馬に関しては馬体の良さ・調教の動きも典型的な良いディープインパクト産駒そのものだと感じます。

クラブ会員の皆様も同様のお考えのようで、昨年の出資ドラフトの際にはドラフト1位指名(出資最優先希望)でもかなりの倍率となり、多くの方が落選し涙をのんだ一頭でした。
クラブのコメントをそのまま信じて『解答はダービーの直線で証明する』を期待しています。

 ②レッドラトゥール

牡馬 2017年4月8日生まれ
募集額:8,000万円
父:ディープインパクト
母:ディエンティ(10歳時出産・空胎明け)
母父:Storm Cat
厩舎:栗東・庄野靖志厩舎
生産提供:社台牧場
育成牧場:ノーザンファーム早来

主な兄弟:特になし

俗に言う「黄金の配合」の一つである血統の本馬。
父ディープインパクト×母父Storm Catと言えばキズナ、サトノアラジン、リアルスティール、ラキシス、エイシンヒカリ、アユサン、ヒラボクディープ、ダノンキングリー、ラングレー……あげていくときりが無いほどです。

ノーザンファーム育成の組み合わせに限ると、手元のデータでは10頭中9頭の勝ち上がりで6頭が獲得賞金1億円超えという成功配合です。

そう、この血統のポイントは「ノーザンファーム育成」であること。
本馬の場合、「社台牧場」生産ですが、ノーザンファーム育成なんです。
生産牧場はあくまで「社台牧場」です。

ノーザンファームでも社台ファームでもないんです。
ここが今回の募集での最大のポイントでした。

私がクラブ関係者へ取材した際、

「オーナーが購入してノーザンファームへ繁殖預託依頼をしたところ、繁殖馬房がすべて埋まっていたため、交流のある社台牧場で産んでもらいノーザンファームで育成している」

とのコメントが。
そこで私の中では「ノーザンファーム育成」という括りで捉えていく事にしました。
馬体へ目を移すと、重心のブレが極めて少なく、ディープ産駒としては筋肉質なイメージを受けます。
おそらくイメージするなれば、ナタの切れ味というイメージでしょうか。

管理する庄野靖志厩舎とクラブとの成績ですが、代表馬はレッドソロモン。菊花賞へも出走している活躍馬です。管理馬は2010年以降5頭で4頭が勝ち上がり、クラブとの相性も上々です。

2月までとにかく順調だったのですが、3月に放馬により外傷により縫合を行う頓挫がありました。
すでにコースへ復帰も果たしていますが、気になる方はクラブホームページ等でご確認をよろしくお願いいたします。

私事ですが、一口馬主として1口出資もしていて期待している一頭です。

③レッドライヤ

牝馬 2017年2月8日生まれ
募集額:2,000万円
父:ヴィクトワールピサ
母:レッドエルザ(7歳時出産・3連産目)
母父:Smart Strike
厩舎:栗東・大久保龍志厩舎
生産提供:ノーザンファーム
育成牧場:ノーザンファーム早来

主な兄弟:

  • レッドレオン(半兄ディープインパクト産駒 POG期間3戦1勝で現在5戦3勝)
  • レッドアステル(半姉ディープインパクト産駒 POG期間3戦1勝で先日の桜花賞へ出走)

個人的な話になりますが、本馬は様子見をしている最中に満口になってしまい、出資できなかった一頭です。なぜ様子見していたかと言いますと「とにかく兄姉が馬体重で苦労しているから」です。
兄姉がディーインパクト産駒で小柄な馬体で苦労した事もあり、父をヴィクトワールピサへ変えたのですが、やはり本馬もなかなか大きくなってきません。

年が明けた頃になってようやく大きくなってきただけに、ようやく一安心といった所でしょうか。
調教量と連戦や輸送に耐えるためにも、馬体重は個人的に気にしているファクターのひとつです。
しかし、父を変えても大きさが変わらなかったという事は、母であるレッドエルザの遺伝力が強力ということなのかもしれません。

兄姉はしっかりと活躍し長男のレッドレオンは底を見せない走りですし、姉も桜花賞へ出走してくれています。
父ヴィクトワールピサ×母父Smrat Strikeという産駒は過去にJRAに登録はないのですが、父の獲得賞金の上位3頭は牝馬ですし代表産駒はジュエラーという事を考えると、父変りも悪くないと思います。

強いて言えば、ヴィクトワールピサ産駒の育成は社台ファームが得意な印象がありますので、そこを気にするか、でしょうか。

本馬も兄姉と似ていますし、堅実な走りで桜の舞台にたてる事を期待しています。

④レッドブロンクス

牡馬 2017年4月19日生まれ
募集額:3,000万円
父:エピファネイア
母:レッドソンブレロ(5歳時出産・2連産目)
母父:キングカメハメハ
厩舎:栗東・石坂正厩舎
生産提供:ノーザンファーム
育成牧場:ノーザンファーム早来

主な兄弟:

レッドパラス(半姉クロフネ 初仔POG期間5戦1勝)

ここで、新種牡馬から1頭。
3月中にすでにノーザンファームしがらきで調整をし、4月後半には入厩した本馬です。
血統面で見ると、祖母が偉大なる繁殖牝馬スカーレットレディ。
産駒14頭で49勝。産駒4頭(ヴァーミリアン・サカラート・ソリタリーキング・キングスエンブレム)が重賞勝ちを果たし、代表馬はG1を9勝したヴァーミリアンという一族です。

父エピファネイア×母父キングカメハメハとみるとクラシック血統には見えますし、祖母の血を考えるとダートでも十分やれそうな血統です。
馬体や動きは新種牡馬のため過去の産駒と比較はできませんが、エピファネイアの形というよりも母父のキングカメハメハの形が良く出ている印象です。

募集開始から成長するたびに評価が高くなっていった本馬ですので、あとはどこまで切れ味が上がってくるかが焦点です。成長次第で、クラシックを十分に意識できる一頭になるのではないでしょうか。

⑤レッドアダン

牡馬 2017年3月23日生まれ
募集額:3,200万円
父:ルーラーシップ
母:レッドジゼル(7歳時出産・初仔)
母父:アグネスタキオン
厩舎:美浦・尾関知人厩舎
生産提供:ノーザンファーム
育成牧場:ノーザンファーム空港

東サラのカタログを開いた際に、綺麗な馬だと印象に残った一頭です。
いかにも欠点の少なそうな馬体で、コンスタントに活躍してくれそうな血統背景も魅力です。

母レッドジゼルは2歳10月から6歳2月まで、アグネスタキオン産駒ながら怪我もなく本当に懸命に走り、24戦3勝2着4回。掲示板は18戦という、まさに「無事是名馬」のお手本のようなクラブ馬でした。
初仔ということもあり馬体のサイズ感における不安もありましたが、杞憂に終わり現状450kgを超す馬体に成長しています。

父ルーラーシップ×母父アグネスタキオン×ノーザンファーム生産は過去に5頭いて、全馬勝ち上がりを果たしています。

尾関知人厩舎とクラブの相性は言わずと知れたレッドファルクスの管理調教師という事で問題もなく2010年以降6頭中4頭が勝ち上がり、現状未勝利のレッドクーゲルも5戦中4回は掲示板を確保しています。
すべての面において堅実な組み合わせである本馬に、期待せずにはいられません。

⑥レッドヴェイパー

牝馬 2017年4月19日生まれ
募集額:1,200万円
父:キンシャサノキセキ
母:レジェンドトレイル(14歳時出産・5連産目)
母父:フレンチデピュティ
厩舎:栗東・安田隆行厩舎
生産提供:ノーザンファーム
育成牧場:ノーザンファーム空港

主な兄弟:

アドマイヤジャガー(牡・父ネオユニヴァース中央4勝、中央地方で158戦11勝)

堅実な繁殖能力で産駒8頭中7頭が勝ち上がり兄姉で中央合計17勝。
最後にクラブ内で一番順調な1頭をご紹介します。
すでにノーザンファーム空港から直行で栗東へ入厩済みで、クラブを通して6月15日(土)函館5R芝1,000mに北村友一騎手で向かいたいと表明されている一頭です。

つまり「世代最初の新馬戦でデビュー」という事になります。

父キンシャサノキセキは短距離で面白い一頭ですし、祖母はシンコウラブリイをはじめとして数多くの活躍馬を輩出した、名牝ハッピートレイズ。さらには厩舎は短距離で抜群の安田隆行厩舎。
早めから動かしてPOG期間中に「数多く」かつ「芝短距離問わず」早々に2勝を目指すにはもってこいの一頭かと思います。


以上、高橋楓が選ぶ東京サラブレッドクラブからのPOGへ向けたご紹介馬になります。

東京サラブレッドクラブはノーザンファーム、社台ファームをはじめとしたバイヤー系のクラブで、毎年真っ赤な勝負服はクラシックで見る機会もあると思います。
直近5世代の勝ち上がり率はサンデーサラブレッドクラブ(55.1%)につぐ54.2%で、数あるクラブの中でも堂々の第2位です。
堅実に勝ち上がり複数の勝ち上がり、クラシック出走等POGにおいても目が離せないクラブかと思いますので、皆さんもぜひ募集馬を見渡してみてください。

※文中の写真に関しては東京サラブレッドクラブのご了承を得て掲載しております。転機はご遠慮ください。
※文中の情報は2019年4月21日15:00現在の情報になります。

写真:東京サラブレッドクラブ

あなたにおすすめの記事