初年度募集馬のキタノコマンドールが皐月賞5着から日本ダービーへ駒を進め、2年目のラヴズオンリーユーはオークスを制覇。
史上5頭目となる無敗での樫の女王誕生──さらにはそのオークス勝利がクラブの重賞初制覇というおまけつきだ。飛ぶ鳥を落とす勢いとはまさにこのことだろう。

バヌーシーことDMMドリームクラブは、今最もアツい一口クラブのひとつだと言える。

「感動の共有」をコンセプトに掲げ、低価格での一口馬主体験を現実のものとしたDMMドリームクラブ。

2年連続でクラシック級の活躍馬を輩出したバヌーシーが集めた「2019年2歳世代」には、来年のクラシックで活躍が見込まれる期待馬が勢揃いしている。

今回、DMMドリームクラブの椎名竜大氏にお話を伺うことが出来た。
その中から垣間見られる、バヌーシーの若駒たちが過ごす「今」をお届けしたい。


エブリワンブラック

父:ブラックタイド
母:シュガーハート
母の父:サクラバクシンオー

まず筆頭に挙げたいのは、エブリワンブラック。
父はブラックタイド、母はシュガーハート。

──そう。エブリワンブラックは、あのキタサンブラックの全弟なのだ。

キタサンブラックはGⅠを7勝、2度の年度代表馬に輝くなど、近年の競馬界を盛り上げてくれた名馬。
エブリワンブラックはそんなキタサンブラックの初の全兄弟だと言うのだから、否が応でも期待が高まる。
エブリワンブラックは4月18日に入厩済み。

ゲートに若干手間取っているため、まずはゲート試験合格を目指しているとのことで、デビューの見通しはそれからになるそうだ。
脚質はキタサンブラックのような逃げ……を期待したいところだが、そこについては現時点で何とも言えないとのこと。様々な可能性を視野に入れて育成を進めていく。

同じ母シュガーハートのショウナンバッハは現在8歳だが現役で活躍中。
エブリワンブラックにも、兄たちのような息の長い活躍を期待したい。

スターズプレミア

父:ロードカナロア
母:スターズインハーアイズ
母の父:Woodman

スターズプレミアは今注目のロードカナロア産駒。
ロードカナロアは、2018年の牝馬三冠を達成したアーモンドアイ、2019年に無敗で皐月賞を制しダービーでも1番人気に推されたサートゥルナーリアなどを輩出した新進気鋭の種牡馬だ。

その産駒として、気になるのは距離適性だろう。中長距離でチャンピオンホースを出したとは言え、ロードカナロアと言えば短距離のイメージがある。
しかし、池江泰寿調教師によればスターズプレミアは「距離が延びても対応出来そう」とのこと。
スピードがあり、マイル前後から問題なく対応出来るだろうとの現時点での見解だ。

更に、注目すべきは、スターズプレミアのその牝系。
母スターズインハーアイズの母、つまりスターズプレミアの祖母は、かのウインドインハーヘアなのである。
ウインドインハーヘアはディープインパクトの母で、数多くの名馬を輩出してきた名門牝系。

スターズプレミアは、そんな父と母系の良さが伝わっているという。
現時点では6月入厩を予定していて、ゲート合格後に池江調教師の判断でデビュー戦が決まるそうだ。

次世代のロードカナロア代表産駒候補として、見逃せない。

アイワナトラスト

父:ジャスタウェイ
母:ワナダンス
母の父:The Leopard

バヌーシーのアイドル的存在といえば、アイワナシーユー、アイワナビリーヴではないだろうか。ファンも多く、みんなから愛され応援されている姉妹だ。
そのアイワナ・ファミリーに、ついに牡馬が誕生した。

アイワナトラストと名付けられたその馬は、気の強い姉たちと比べると「控えめな性格」だ。
しかし、育成に入ってからかなり前向きな面が出てきているそうで、気持ちをコントロールしながら走れるように進めているのだとか。
飼葉食いも良好で、牡馬ということもあり馬格がある。

5月10日現在で514キロという雄大な馬体も、姉たちと異なる点だろう。
「夏の北海道でゲート試験を受けさせたい」との友道康夫調教師から提案があり、まずはゲート試験に合格して、そのままデビューするか、一度放牧に出るかという選択になりそうだ。

バヌーシーのアイドル3期生。
多くのファンが晴れやかなデビューを待ち望んでいる。

ヴィンクーロ

父:キズナ
母:ミッキーパール
母の父:タニノギムレット

ヴィンクーロは、ダービー馬・キズナの初年度産駒ということで私たち競馬ファンにとっては未知な部分が多い。
「キズナ産駒は立ち姿が整っているという評判を聞いており、この馬にもそれを感じています。シルエットのきれいな馬だと思います」とは、DMMドリームクラブの椎名氏談。

5月の遅生まれという点も尋ねると「成長はゆっくりだが段々と成長してきている」という。
実際にその走りを見るのが楽しみな1頭だ。

また、母の父はダービー馬タニノギムレットで、ダービー馬2頭の配合というのも魅力的だ。
しかも、牝系はカンパニーやトーセンジョーダンなど活躍馬を輩出してきたクラフティワイフ一族。
血統面から見ても非常に期待の持てる1頭ではないだろうか。

父と同じ「絆」という意味を持つその名を、クラシックの舞台で轟かせて欲しい。

キタノブルー

父:ディープインパクト
母:オールウェイズウィリング
母の父:Elusive Quality

バヌーシーと言えば、北野武氏の命名からはじまった「キタノ」馬をイメージする人も、少なくないだろう。
今年の「キタノ」はキタノブルー。
馬名意味は「北の空の色より」とある。

このキタノブルー、2歳GⅠ阪神ジュベナイルフィリーズを制したショウナンアデラの全弟にあたる。
だからこそ2歳戦からの活躍が見込んでいるのかと思いきや「2歳戦にはこだわらない」と椎名氏は言う。

「まだ線が細く体力不足の印象ですので、じっくりと成長を促したいと考えています」

まずは体力を強化して、入厩へ。
そんな切実な想いが伝わってきた。

今後も、国枝栄調教師の判断を仰ぎながら進めていく。

線のきれいな馬体や手先の軽さは父であるディープインパクトらしさがあり、芝向きだろうというキタノブルー。
まずは無事のデビューを目指し、今日も調整を進めている。

ダブルアンコール

父:ディープインパクト
母:ドナブリーニ
母の父:Bertolini

最後に紹介したいのが、秋元康氏が名付け親となった、ダブルアンコールだ。
今年1番の大物感がある2歳馬は……と尋ねた際に「ダブルアンコールのバネには非凡なものを感じる」との返答が。粒揃いのラインナップでもさらに輝く才能を持つ期待馬だ。

そんな彼女は、GⅠを7勝した名馬・ジェンティルドンナの全妹ということでも注目されている。
気性面では気難しい面はあるものの、ノーザンファームのスタッフが根気良く乗ってくれていることで、少しずつ成長してきているそうだ。

気になるのは、馬体重が430キロ台と現時点では少し軽めという点。
しかしそれについても「こればかりはこちらの思うようにはいきませんので、池江泰寿調教師がノーザンファームと連携を取りながら、成長曲線を見極めてくれています」と椎名氏は説明する。

まさにチーム一丸となり、大事に大事に育てられている印象を受けた。
2017年セレクトセールでは、牝馬最高額の4億円で落札された、期待の超良血馬。
ラヴズオンリーユーに続き、クラシック戦線でも期待の持てる1頭だろう。
ダービー馬ロジャーバローズもこの牝系出身で、さらに血統の勢いは増している。

はたしてこの血統は、バヌーシーでどんな活躍を見せてくれるのだろうか。


2019年、バヌーシーが送り出す2歳馬は全部で13頭。
上述した馬たちの他にも、オークス馬シンハライトの姪であるシンハリング(父:ダイワメジャー)母に重賞3勝馬デアリングハートを持つエターナルハート(父:キングカメハメハ)など期待馬が揃う。
「それぞれ見どころのある馬を選ぶようにしている」という椎名氏の言葉通り、個性豊かな2歳馬の構成となっている。

今年掲げる「変化したポイント」は、育成卒業をなるべく早めるようにしているということなのだという。
2019年もバヌーシーの2歳馬たちへの想いは、非常に熱い。ここ2年の活躍についても「本当に馬が頑張ってくれています」と椎名氏。

そこからは馬に対する尊敬と感謝の念が感じ取れる。
1年目はキタノコマンドール、2年目はラヴズオンリーユー。
さあ、設立3年目のバヌーシーは、一体どんな夢を現実にしてくれるのだろうか?

変わらず「感動の共有」で、競馬界をアツく盛り上げていって欲しい。

写真:DMMドリームクラブ

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