競馬の世界で、誰しもが順風満帆にいくわけではないのは当たり前のことです。
ゲームの世界ならば、血統表とにらめっこをしてスピードを上げ勝負根性を上げ、理想の競走馬を目指すことができます。
2019年5月3日現在、クラブ発足後いまだ勝ち星が上がらず、もがき続けるクラブがあります。

YGGオーナーズクラブです。

クラブ名を聞いてピンとこない方もいらっしゃると思います。

それもそのはず、2018年4月2日にブルーマネジメントから社名及び経営権が移行した、新鋭のクラブだからです。
そのYGGも発足後1年以上が経過し、いよいよ実績が求められるの2017年産駒のデビューを迎えます。

「1勝もしたことがないクラブを取り上げるのはPOG企画としてはどうなんだ?」とおっしゃる方もいらっしゃると思います。

ですが、代表取締役の福原聡さんとお会いした際に、クラブに対するアツすぎる想いを伺いました。
そして、このクラブは近年の間に大きくなるクラブだと確信をした次第です。
想いだけではどうにもならないのがホースマンの世界ですが、想いがなければ始まりもしないのがホースマンの世界です。

今回は先物買いと思い、記事をお読み頂けたら幸いです。
2019年デビュー組のラインナップは、なかなか面白いです。


プレシャスライン2017

牡馬 2017年3月29日生まれ
父:ジャスタウェイ
母:プレシャスライン(9歳時出産・3連産目)
母父:キングカメハメハ
厩舎:栗東・牧浦充徳厩舎
生産提供:下河辺牧場

主な兄弟:
半姉ノーブルエイム(2015産・牝・父ゼンノロブロイ)5戦1勝
半弟セブンマイル(2016産・牡・父ゼンノロブロイ)園田で3戦2勝

繁殖実績を見ても馬体を見ても血統を見ても、本馬が2017年募集の大将格と睨んでいます。
父ジャスタウェイ×母父キングカメハメハ産駒は2016年は二頭いて、うち一頭はJRA3戦2勝京王杯2歳ステークス2着のアウィルアウェイです。
血統的にクロスはありませんが、血統筋には叔母に桜花賞馬アユサン、春のクラシックで健闘を続けたマウレアがいて、POG向きの一族の血を受け継いでいると思います。
母のプレシャスラインは父親の形によく似た産駒をだす傾向にあるようで、本馬もジャスタウェイに似た芝向きの1頭です。

どちらの血が強いかにもよりますが、おそらく芝向きでPOG期間からしっかりと動けてくる馬だと思います。
管理する牧浦充徳調教師は年間15勝前後で推移してきましたが、2017年は29勝、2018年は19勝と勢いにのっています。
3月頭の段階で下河辺牧場にて坂路15-15の乗り込みを始めているようですし、丈夫な一面もクラブの公式ページの近況では伺えます。

頭の片隅に置いておいても面白い一頭だと思っています。

ミエノプリンプリン2017

牝馬 2017年3月18日生まれ
父:スウェプトオーヴァーボード
母:ミエノプリンプリン(9歳時出産・初仔)
母父:ハービンジャー
厩舎:栗東・大根田裕厩舎
生産提供:船越牧場

主な兄弟:初仔のため無し

本馬はYGGにて0円で提供されている無料馬です。
出来たばかりのクラブですから「気軽に一口馬主を始めてみましょう」というキャンペーンの対象として選ばれた1頭です。
既に亡くなってしまい、今や貴重な血となったスウェプトオーヴァーボードの産駒になります。
祖母が7勝馬クラウンプリンセス、曾祖母がリーチザクラウンの母クラウンピース。牝系からは活躍馬も出ていますし、血統表から見るにシアトルスルーやスペシャルウィークなど、きちんと考えられながら大事に結ばれてきた血です。

そもそも母ミエノプリンプリンも社台ファームの生産馬ですし、血統の良さはしっかりしています。
父のスウェプトオーヴァーボードは距離適性不問の偉大な種牡馬。
一方で、母父ハービンジャーはサンプルがほとんどなく、良くも悪くも一発を秘めている血統です。

馬体はすっきりとした芦毛でマイル前後の芝ダートどちらでも走れそうな印象です。

2018年の10月から日高ファンタストファームでじっくりと調整され、15-15で乗り込まれています。
クラブのキャンペーンを担っている事も考えると、逆に下手な馬は募集にかけられないと思いますし、血統的にも魅力的です。初仔の牝馬は走らない、というジンクスを打ち破り勝ち上がりを期待しています。

スカイトラベラー2017

牝馬 2017年1月14日生まれ
父:カジノドライヴ
母:スカイトラベラー(8歳時出産・空胎明け)
母父:ディープインパクト
厩舎:美浦・田中清隆厩舎
生産提供:社台コーポレーション白老ファーム

主な兄弟:特になし

YGG無料提供馬のもう一頭が、こちらのスカイトラベラー17。
祖母のスカイアライアンスはカナダのG3の勝ち馬で追分ファームの吉田晴哉代表がキーンランドセールにて55万ドルで落札し追分ファームに迎えた一頭です。
母スカイトラベラーはディープインパクト産駒。矢作厩舎からデビューし、能力の高さは示していましたが勝ち上がるには至らず、3歳未勝利戦終了とともに早々に追分ファームに戻ります。
そしてカジノドライヴを父に迎えて誕生したのが、本馬となります。

牝系もさることながら、追分ファーム生産・追分ファームリリーバレー育成で0円提供というのは、非常に豪華なキャンペーンと言えるでしょう。広告塔として、ある意味「走ってくれないと困る一頭」だと睨んでいます。

本馬はカジノドライヴ産駒ですから、マイルまでのダート馬と見るのが良いと思います。

育成段階を考えるとスピード優位に映ります。
父カジノドライヴ×母父ディープインパクトの産駒は意外に少なく、JRAデビューは1頭しかいません。
その1頭のアンダンテバイオは船橋に移籍し勝ち上がっていますし、JRA在籍時も2着1回、5着2回と善戦していました。

映像からは末脚は使えるタイプでしたので、クラブ側が公式で発言している「切れるダート馬」として成長してくれる可能性は十分にありそうです。
牝馬限定のダート戦で1勝を……という戦略的も、面白いと思います。

デルマオコマ2017

牝馬 2017年5月5日生まれ
父:ノボジャック
母:デルマオコマ(5歳時出産・初仔)
母父:ゴールドアリュール
厩舎:美浦・武井亮厩舎
生産提供:サンバマウンテンファーム
主な兄弟:初仔のため無し

ここで、大穴馬を一頭ご紹介します。
ノボジャック産駒です。POG企画ということを忘れているわけではありませんのでご安心ください。

ノボジャック産駒は、全中央デビュー馬の産駒において勝ち上がり率は81頭中35頭で43%というデータもある優良種牡馬。マイナー種牡馬だからといって侮ってはいけません。
本馬はダート1,400mまででPOG期間に2勝を目指すには、うってつけの存在と言えます。筋力に関してはバランスよく、トモは目を見張るものがあります。

現状は日高グリーンマイルトレーニングセンターにて育成が続いていて、写真更新の度に素晴らしい成長を遂げています。

下の写真は3月1日現在の馬体です。

生産のサンバマウンテンファームはノボジャック産駒、ノボトゥルー産駒を積極的に種付けしている牧場さんなので産駒の扱いも手馴れたものでしょう。

また、ノボジャック産駒の特長のひとつに、気性の良さがあげられると思っています。
何をもって気性の良さをあげるかは難しいところもあるのですが、牡馬産駒90頭中セン馬になったのは3頭しかいないことも、そうした私の考えをある程度裏付けるものになるのではないでしょうか。
体質の強化も見込んでセン馬にするケースは多いと伺っていますので、裏を返すと体質の強さもあるのかもしれません。

ノボジャック産駒の牝馬の代表格は一口クラブのユニオンで募集された、オールブランニューになるかと思います。
オールブランニューは通算46戦4勝で、POG期間だけで15戦も走ったタフネスホースでした。
管理する新鋭の武井亮調教師についても、毎年20勝をあげる手腕を発揮しています。

本馬はプランも適性もはっきりしていますので、頑張ってPOG期間での堅実な走りを期待しています。


以上YGGオーナーズクラブの募集馬16頭から4頭をピックアップしてみました。
書き出しにも綴りましたが、YGGオーナーズクラブはまだまだこれからのクラブになります。
POG期間においてはまず「勝ち上がりの1勝」を目指す戦いになるかもしれません。しかしその半面、ノーマークでもありますので、大活躍することがあれば間違いなく一人勝ちになるかと思います。

皆さんのPOGドラフト戦略において、例え上位でなくても、面白い隠し玉として心に留めておいて下さったら幸いです。

写真:YGGオーナーズクラブHP

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