[連載・クワイトファインプロジェクト]第39回 運命が決まる夏

まず始めに、今年は中央・地方問わず騎手や厩務員の業務中の死亡事故が相次いでおります。前回コラム公開日には藤岡康太騎手の訃報が伝えられましたし、先日も金沢競馬で若い厩務員の方が亡くなられました。謹んでお悔やみ申し上げます。

私も馬主の端くれとして、またプロジェクト主宰として、最近は調教師さんや育成牧場(コンサイナー含む)関係者の方々と会う機会が増えていますが、騎手や厩務員も含めた実際に日々馬と接している多くの皆様のお陰で、我々は安心して馬を所有することが出来ます。本当に頭が下がります。

そして、この7月から8月にかけて、プロジェクトにも大きな動きが続きます。

まず、7月10日に、クワイトファイン産駒「テイオーノユメ」号が門別4Rでデビュー戦を迎えました。正直、380キロ台の華奢な馬体や、調教の内容からも初戦が厳しいのはオーナー含めわかっていましたし、まずは無事に、という気持ちで見守りました。結果は最下位でしたが、タイムオーバーにはならず、今後、体力と気性が成長してくれれば…という希望が持てました。道営で今すぐに勝ち負け──というのも酷ですが、父クワイトファインも同じように道営在籍時の成績は惨憺たるもの。そして3歳の名古屋で、初勝利を挙げています。道営の坂路調教は必ずや今後のパワーアップにつながりますし、気性的な面もレースに慣れるごとに改善してくるでしょう。長い目で見守っていただければ幸いです。

そして、このレース、17時発走でしたが16時半くらいまで単勝1番人気の支持を受けていました。2年前のキセキノテイオー騒動(敢えてそう言います)の時は、陣営がさんざんマスコミを使って話題を盛り上げての初戦でしたが、今回は私ですら出馬表確定まで出走を知らなかったし、netkeibaさんが取り上げたくらいでマスコミの報道はほぼなかったにもかかわらず1番人気に支持されました。当事者の私が言うのもおかしいかも知れませんが、引退後30年を経過してもなお全く衰えぬトウカイテイオーの根強い人気と、マスコミの煽りが全くないにも関わらずこれだけの注目度を集めた、ということは、私にとっても驚き以外の何物でもありません。心ある競馬ファンが何を求め、何を期待しているのか、競馬サークルの皆様ももう少し真剣に受け止めていただきたいなと思います。

一部には、トウカイテイオー2×3という配合についての意見もありました。この馬は繁殖も含め高木オーナーのまったくの個人所有であり、2年続けてクワイトファインを種付(昨年は違う馬を種付け)したのもオーナーのご判断です。私は種付けオファーに応じるだけの立場でどうこう言える筋合いはありません。オーナーのお気持ちを察するなら、「敢えて濃いクロスというリスクを取らないとなかなか強い馬は出来ない」というお考えだろうかと思います。そして、現実問題として、現在のところクワイトファイン産駒の牡馬はこの馬の全弟「ドリームテイオー」しかいません。もし来年の産駒も牝馬しか産まれず、プロジェクトをこれ以上続けられない状況になったとしたら、サイヤーライン継続の望みは「ドリームテイオー」に託すしかないのです。その意味では、「テイオーノユメ」と「ドリームテイオー」姉弟および母「ママテイオーノユメ」には感謝してもしきれません。

ちなみに私の繁殖選びのこだわりは「トウショウボーイ(又はパーソロン)4×4クロス」プラス「牝馬の馬格があること」でした。シンボリルドルフやミスターシービーの3×4ではクロスの効果が期待できず、シンザンは年代が古すぎて4×5クロスしか出来ないので。その点、バトルクウは祖母が桜花賞馬シスタートウショウ(父トウショウボーイ)、現役時代の最高体重498kgでしたから求める条件にどんぴしゃりでした。正直、よくこの馬と巡り会えたものだと感じています。おそらく、あれから4年経った今に同じ条件で牝馬を探しても厳しいと思います。

そんなバトルクウの第1仔、クワイエットエニフ号ですが、実は昨日(7/16予定)、まだ場所および厩舎名は伏せますが、南関東のトレセンに入厩しました!!!

入厩のタイミングは想定より1カ月ほど早まりましたが、いまは馬房の空き待ちでどのオーナーさんも(もちろん馬房をやり繰りする調教師さんも)ご苦労されているのが現実です。今回の入厩は登録だけにとどめおそらく短期放牧に出すと思いますが、厩舎から近いところにいれば調教師もリアルタイムで馬の様子を把握できるので、かえって良かったかもしれないと思っています。

そして、その全妹バトルクウ2023は、サマーセールの2日目トップバッターでの上場が決まりました。

1歳時点の馬体は間違いなく姉より上ですし、でもその姉も(初仔でありながら)先週の時点で462kgまで成長していますので、妹はさらに立派な馬体になると思います。リザーブの価格はもちろん今は明かせませんが、正直「お手頃価格」だと思います。血統も馬体も地方競馬のヒロインになりうる可能性を高く秘めた馬ですので、フラットに馬をみてご購入をご検討いただければと思います。先の門別の馬券売り上げでもわかる通り、ファンの圧倒的支持は健在です。よって、地方枠のあるクラブ法人でご購入いただければ、クラブはすぐに完売でき、ファンの皆様も「出資」という形で応援することができ、地方主催者も新たなスター候補として受け入れられる…まさに、「一石三鳥」だと思います。もちろん、地方馬主会や個人オーナーさんも大歓迎です。グッズ販売などのビジネス的波及効果も含め、絶対に損はさせませんよ。

是非! ご購入を!

あなたにおすすめの記事