桜花賞・皐月賞とクラシック連続開催が終わり、いよいよG1ウィークの本格化を感じた4月最終週。
G1中休みの今週は東西でG1前哨戦となる重賞競走が行われた。
関西では安田記念につながる重要なステップレースであるマイラーズカップが開催。
京都開催に替わり阪神競馬場で行われた今年のマイラーズカップは、いったいどのようなレースとなったのか。
レース概況
残念ながらこの日から再び無観客開催となった阪神競馬場。
静寂に包まれた芝コースに16頭が集結。注目を集めたのは2頭だ。
1番人気に支持されたのはエアロロノア。
ここまで3連勝で勝ち上がってきた「春の上り馬」。レコードタイムも飛び出す今の高速馬場にもしっかり対応して勝ち上がっただけに、いきなりの重賞挑戦でも期待が集まった。
そしてもう1頭の人気馬が、ケイデンスコール。
アドマイヤマーズと接戦を演じたNHKマイル以降は低迷していたが、2021年になって才能が開花した。京都金杯と中山記念でそれぞれ好走し、いよいよ本格化を感じさせるものとなった。直前に騎手交代というアクシデントもあったが、実績では抜けた存在と支持を集めた。
向こう正面でゲートオープン。
内枠から好スタートを切り、最内枠から昨年の2着馬ベステンダンクがハナを切る。
押して上がったボンセルヴィーソ、ダイワキャグニーなどが先行集団を形成する。ケイデンスコールは馬也で中団を追走。エアロロノアがその後ろを追走し、馬群はかなりの縦長となった。
完全にベステンダンクが単騎逃げ、独走で直線に向いた。
外から上昇していたフォックスクリークは2番手で苦しくなり、そのタイミングで後続が殺到。
ダイワキャグニー、ボンセルヴィーソ、カイザーミノルにザイツィンガーなどが広がってベステンダンクに襲い掛かる。連れてケイデンスコールは大外に持ち出す。
残り200m。
隊列はガラッと変わり、追い込んだ各馬が横一線で並んだ。
激戦の中、抜け出したのはケイデンスコール。
アルジャンナ、エアロロノアらが加わった大激戦の2着3着争いを尻目に、1馬身抜け出してのゴールイン。
進路を大外に求めても何のその。
直前のアクシデントも跳ね返し、見事重賞勝利となった。
各馬短評
1着 ケイデンスコール (古川吉洋騎手 2人気)
直線一気の脚は、まさに光速の脚であった。
道中は中団の追走。直線まで待って追い出し、進路が大外になりながらもしぶとく脚を伸ばしてトップ争いを競り勝った。
これが初騎乗であった古川騎手も特徴をとらえた見事なエスコート。
いよいよ本格化したケイデンスコールが、G1で2着だった若き頃のリベンジを、同じ東京の舞台で果たせるか。
2着 アルジャンナ (福永祐一騎手 3人気)
大激戦の2着争いを競り勝ったのは、アルジャンナであった。
道中はケイデンスコールよりも後方。直線でも中々前へと進めない中内へコースを求めた。そして進路が開くとグッと伸び最後に2着に滑り込んだ。
3歳のダービー以降、復帰2戦目のアルジャンナ。新天地のマイル路線で、新たな風となれるか。
3着 カイザーミノル (荻野極騎手 9人気)
2着争いと同様に大激戦であった3着争い。
結果的には粘り切った形でカイザーミノルが残った。
4番手で迎えた直線。ダイワキャグニーと共にベステンダンクに迫り、いったんは先頭に立ったものの強襲にはあったが3着を確保した。
スプリント路線からの転戦だったが、マイルで新たな能力証明となった。
総評
マイラーズカップはケイデンスコールの勝利で幕を閉じた。
これで今年2勝目を挙げたケイデンスコールは、いよいよ主役級の評価を得たままマイルG1へと駒を進めることとなった。静寂の中を切り裂いた光速の脚は、これからも上澄みを重ねていくだろう。