いわゆる「お正月競馬」が終わり、関東競馬の戦いの舞台は中山から東京へと移った。

東京競馬場最初の重賞競走は、伝統のダート重賞「根岸ステークス」だ。2月下旬に行われるフェブラリーステークスに向けた重要な前哨戦。過去にはノンコノユメなどが、このレースをステップとしてG1勝利をあげている。今年G1への切符をつかむのはどの馬か。

レース概況

今年は昨年のJBCスプリント覇者である大井のサブノジュニアを含めたフルゲート16頭で行われた。馬場状態はやや重でスピードが求められるコンディション。メンバーの中には芝のG1を制した馬も出走し、難解なレースメンバーと言えるだろう。

前へ行きたい馬も多いことから、先行争いも注目の的となっていた。
芝のマイル王ステルヴィオが収まってゲートインが完了。
向こう正面からのスタート。根岸ステークスの火ぶたが切られた。

まずは注文を付けてサクセスエナジーがハナを奪おうとするも、待ったをかけてメイショウテンスイとスマートセラヴィーが前へと迫って並びかける。第1集団はこの3頭となった。
その後ろにはヘリオス、テイエムサウスダン、ダイメイフジが追走。

3コーナーで馬群が固まり始め、G1馬アルクトスや人気のタイムフライヤー、レッドルゼルが押し上げていく。そして4コーナーでは、各馬が広がって直線へと向いた。

粘る先行勢を目掛けて後続が迫る。
内にコースを取ったアルクトス、さらに馬場の真ん中から赤い帽子のタイムフライヤーが一完歩ずつ前にとりつく。
残り200mで先頭に立ったタイムフライヤー。
そして内から抜け出したアルクトス。
レースは、この2頭の争いに見えた。

しかし外から矢のように突っ込んできた馬がいた。ワンダーリーデルとレッドルゼルだ。
大外からこの2頭が前へと迫るとタイムフライヤーを交わして並走のままゴールイン。
1着争いは大接戦となった。写真判定の末、ハナ差制したのはレッドルゼル。待望の重賞制覇となった。

各馬短評

1着 レッドルゼル (川田将雅騎手 1人気)

素質馬レッドルゼルが遂に重賞制覇となった。
道中は中団追走、ちょうどタイムフライヤーの後ろでレースを進めた。

直線では残り200mまではトップ争いから離されていたがそこから豪脚一閃。あっさりと前を捕まえてワンダーリーデルとのトップ争いに持ち込んだ。着差はわずかでも素質は抜群。今後につながる見事な勝利だった。

2着 ワンダーリーデル (田中勝春騎手 10人気)

人気を落としていた中でもこの馬らしい豪脚がさく裂した。

道中は指定席ともいえる最後方。直線の伸びに賭けた。最内枠ながら直線の進路は大外。その末脚は圧巻の一言だった。2着には敗れたもののそのレースっぷりはまるでノンコノユメのようであった。
まさに「東京マイスター」の力が際立ったレースであった。

3着 タイムフライヤー (C.ルメール騎手 2人気)

芝のG1ウィナーは初距離でも問題ないパフォーマンスを見せた。

道中は先団を見る位置での競馬。
人気各馬の中では前よりの位置で、直線でも早め先頭に立って押切を図った。最後は後方の2頭に差されたが、それでもアルクトスには差させない根性を見せた。2階級G1制覇に向けて万全なスタートを切った。

総評

レースは1番人気のレッドルゼルが勝利を収めた。
意外にも、このレースがロードカナロアにとってダート重賞初制覇となった。
また厩舎としては、安田親子でのワンツーとなった。

勝った者も負けたものも見据える先は変わらないのがトライアルの特徴。
本番での再戦はどのような結末となるのだろうか。

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