3着までに、皐月賞の優先出走権が与えられるスプリングステークス。
近年は、弥生賞組が本番でやや苦戦傾向にあるため、ホープフルステークスや共同通信杯から直行する馬と並び、このスプリングステークス組もより一層、本番で注目を集めている。

今年は15頭が顔を揃えたものの、2歳GⅠで実績を残した馬や、重賞勝ち馬が不在で混戦模様。

その中で1番人気に推されたのはボーデンだった。
未勝利戦を6馬身差で圧勝してここに挑んできたが、その勝ち時計が、1800mの未勝利戦では史上最速という超優秀な内容。いきなりの重賞制覇も十分に期待できるほどの逸材と目されていた。

2番人気に続いたのはランドオブリバティ。
2走前のホープフルステークスでは、4コーナーを曲がりきれず逸走して競走を中止。調教再審査を経て挑んだ前走のきさらぎ賞は3着と、まずまずの内容だった。今回は再度の中山競馬場で、レース運びも含め注目を集めた。

3番人気となったのは関西馬のヴィクティファルス。
こちらは、前走の共同通信杯で2着に好走。今回のメンバーでは唯一、重賞で連対実績があり、その点では一歩リードしていた。

そして、4番人気となったのは、2連勝中のロードトゥフェイム。前走は、同じコースで行われた1勝クラスの若竹賞を上がり最速の末脚で勝利。その際、道悪競馬も経験しており、今回の重馬場も向くのではと注目された。

レース概況

ゲートが開くと、目立った出遅れはなく、きれいなスタートが切られた。
内から、ワールドリバイバルが好スタートを切って先手を奪い、アールバロンとニシノオイカゼがそれを追って1コーナーへと進入。

続く、2コーナーから向正面に差し掛かるあたりで、ボーデンとイルーシヴパンサーがやや行きたがり、ニシノオイカゼを交わして3番手に上がった。その直後を、ランドオブリバティとアサマノイタズラが追走。ヴェイルネビュラを挟んで、ヴィクティファルスとロードトゥフェイムが続いた。

先頭から、やや離れた最後方を進むレインフロムヘヴンまでの差はおよそ15馬身。1000mの通過は1分2秒5で、この日の馬場を考えれば平均ペースで流れていた。

レースは3コーナーへと差し掛かるところで、今度はアールバロンが先頭に立ち、ランドオブリバティも3番手まで進出。さらに4コーナーでは、中団に構えていたアサマノイタズラが一気に先頭集団までとりつき、それを追うように、ロードトゥフェイムとヴィクティファルスも第二集団までポジションを上げ、4コーナーを回った。

迎えた直線。
逃げるワールドリバイバルを最初に捉えたのは、馬場の中央に進路を取ったアサマノイタズラ。それを、内からボーデンとランドオブリバティ、外からヴィクティファルスの3頭が追い、坂を駆け上がる。

そして、残り100mでランドオブリバティが脱落し、残り50mでボーデンもやや遅れて2頭のマッチレースとなり、ゴール寸前で、わずかにヴィクティファルスが差しきって1着でゴールイン。アタマ差の2着にアサマノイタズラ、3着にボーデンが入り、これら3頭が皐月賞の優先出走権を獲得した。

重馬場の勝ちタイムは、1分52秒0。騎乗した池添謙一騎手は、2011年のオルフェーヴル以来、10年ぶりのスプリングステークス制覇。また、管理する池添学調教師との、騎手・調教師が兄弟という間柄での重賞制覇は、史上初の出来事となった。

各馬短評

1着 ヴィクティファルス

前走から中4週で再び東上し快勝。
馬場の外側を通ったことも良かったが、母の父Galileoの血が、重馬場での底力勝負を後押ししたか。

共同通信杯の回顧で、本格化はまだ先なのではと書いたが、今回の勝利で既に世代上位の実力を持っていることが証明された。

皐月賞・ダービーと、この先、距離が伸びていくことは問題ないと思われる。むしろ、皐月賞へは中3週の間隔となり、今回も道悪での厳しいレースをしているため、短期間でどこまで回復できるかが問題になりそう。

2着 アサマノイタズラ

いかにも、非根幹距離に強いヴィクトワールピサ産駒らしいところを見せた。

デビュー11年目で初の重賞制覇が間近だった嶋田騎手にとっては、本当に悔しい結果となってしまったが、なんとも応援したいコンビである。

皐月賞も、道悪になればチャンスはあるかもしれないが、本当に狙いたいのは、7月のラジオNIKKEI賞に出走してきたときかもしれない。2月の地震の影響で、例年通り福島競馬場で行われるか微妙なところだが、間違いなく小回りの1800mは合うだろう。

3着 ボーデン

やや行きたがるところを見せながら、3着と好走。
1番人気ではあったが、前走の東京での未勝利戦からは何もかもが違う条件での挑戦だった。
それでも3着と好走したのは大健闘といえ、間違いなく能力は高い。

本番も、やはり折り合いがカギになるのではないだろうか。

レース総評

今週末に毎日杯が控えているものの、皐月賞に向けての前哨戦はほぼ終わり、ある程度の出走予定馬が固まってきた。今年は、牡馬も牝馬も大混戦で、本当に難解ではあるが、それだけに盛り上がる面もあるだろう。

筆者の皐月賞馬候補はエフフォーリアだが、その皐月賞では、これまでのトライアル上位組に加えて、共同通信杯からの巻き返しを狙うステラヴェローチェや、朝日杯フューチュリティステークスから直行予定のレッドベルオーブなど、多士済々のメンバーが揃うだろう。

気の早い話ではあるが、そこから1ヶ月半後のダービーは、またメンバーがある程度入れ替わると思われ、大混戦ゆえ非常に楽しみで、目が離せないレースが続いていく。

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