[角居勝彦ブログ]未完の大器ブルーイレヴンを振り返る

ウマフリ読者の皆さん、こんにちは。
元JRA調教師の角居勝彦です。
「東映エージエンシー×ホースコミュニティ」のクラウドファンディングにご協賛いただいた皆様、ありがとうございました。その返礼として、ウマフリにて6回にわたり思い出の馬を語っていこうと思います。

今回取り上げるのは、ブルーイレヴンです。

ブルーイレヴン
父:サッカーボーイ
母:ヘイアンリリー
獲得賞金:1億4,653万円
生年月日:2000年4月9日

開業後、すぐに出会った馬です。

ひだかトレーニングセールという、調教を見て馬を選んで買うセリにエントリーしていたのが、このブルーイレヴンでした。

見た目は、素晴らしい馬体をしていました。
セリの際に使っていたのは、左回りの調教場。もちろん、良い時計を出した方が高く売れる傾向にあります。

みんな良い時計を出すために内ラチ沿いを走っていたのですが、ブルーイレヴンは、口向きがちょっと良くなくて内ラチを走らず、大外を回って馬なりでぶっちぎりました。

最初の印象は「ちょっと扱いにくそうだけど走りそうだね」というもの。能力はありそうでしたので、セリ落としてもらった馬でした。セリ落としてから大変かもしれないなとは思いましたけど、その予感は的中します。

やっぱり調教で能力が高すぎて暴走、調教もオーバーワークになりそうだということで色々と乗るのは難しかったなと思っています。左回りがいいかなとか、レースの選択などで色々工夫したつもりでしたけど、難しかったです。特に武豊さんを乗せて暴走してしまったという京成杯……。

勝ったレースより暴走してしまったレースの方が印象に残っている馬ですね。

角居厩舎も開業当初で、まだ厩舎に力が無かった時だったから、ちゃんと育て上げられなかった怪物くんだと思っています。ですが、こういう馬が居たからこそ、その後の角居厩舎が出来上がったんだろうなと感じています。

晩年の角居厩舎で調教していたら、きっともっと良い馬になってたんだろうなと思いますし、武豊さんにもあのようなご迷惑をおかけしなかっただろうなと思います。

馬券を買ってくれていた方には申し訳ないですけど、スタッフを引き締めてくれた──もっともっといい調教をしてあげたいなと思わせてくれた 1 頭でした。


写真:富田直将

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