巷では、競馬を楽しむ女性のことを総称して「UMAJO(ウマジョ)」と言う。
キラキラしていて、華やかなイメージを抱かれることが多いUMAJOの実態とは、一体どんなものだろうか。
UMAJOって、どんな人?
どうして競馬を好きになったの?
競馬のことをどんな風に思っているの?
そんな疑問を解消すべく、4人のUMAJOによる座談会を開催した。
都内、某日某所。競馬が大好きな4名のUMAJOたちが縁あって集まった。
バリバリのデータ派から、占いで馬券を予想するUMAJO。
さらには恋人の影響で競馬の道を歩みはじめた人も!?
話の内容は、どれもリアルなものばかり。
UMAJOたちの赤裸々トーク、早速覗いてみよう。
座談会メンバー
右から
目黒貴子(競馬歴20年以上、競馬界でも活躍中のアナウンサー)
アミーピー(YouTuber。占い師でもあり、占いで競馬予想をすることも)
うま美(YouTuber。バリバリのデータ予想派)
笠原小百合(ライター。小学1年生からの競馬好き)
Q:『競馬を好きになったきっかけは?』
競馬の奥深さに気がついたから!
うま美
競馬をはじめた理由は「知人に誘われたから」というものなんですけど、本当に好きになったのは「奥深さ」に気づいたからです。私、ふだんは数字を見て今後を予測するデータアナリスト的な仕事をしていて。それもあってか、競馬の統計的な部分、血統とか騎手とかコースとか、そういうデータがレースに反映されるのが面白いなって思ったんです。そうしたところに魅力に感じますね。
笠原小百合
いわゆる「データ派」というワケですね! 数あるデータの中で、特に重視していることはありますか?
うま美
今はまだそこまでは……。初心者なので知らないことも多いので、今後は何に重みを付けていくべきか、勉強して経験を積んでいきたいと思っています。予想はまだまだではあるんですが、私、強いお馬さんと当たる馬券の組み合わせって「サイエンス」だと思うんです。そこを探っていくのが今後の目標ですね。
目黒貴子
素晴らしい! こんなにしっかりした競馬のきっかけ聞くのはじめてよ。
アミーピー
まってまって! このあとアミーピーが話しづらくなる!(笑)
うま美
ちゃんと話してね!(笑) あとは、仲間がいるのがすごく楽しいです。よく行くお寿司屋さんの大将が競馬が好きで話が盛り上がって、それも嬉しかったなぁ。競馬をはじめてから、友達が増えました。
部活みたいに「競馬YouTuber」を楽しめているから!
アミーピー
正直、最初は「YouTubeに出ればいいんでしょ?」くらいに思っていたところがあって。そこにアミーピーが居ることが重要とでも言うか……。
でもみんなの「競馬チャンネルでトップ獲るぞ」っていう勢いに、「あれ、ほんとにトップいくんじゃない?」と思って。天皇賞・秋の前日からTwitterをはじめたのね。そこからスイッチ入ったの。
6月に誘われて、8月に収録がはじまって、11月にスイッチ入るっていうね(笑)
うま美
でも、お馬さんは好きだったんだよね?
アミーピー
馬は昔から好きで、お尻とか筋肉質なところが格好良いなって。実家が笠松競馬場の近くだから、親しみもあったし。
うまく言えないけど、こういうのって知らない間に「好き!」ってなってるじゃない? だから、好きになった理由っていうのは正直よくわからない。
競馬ビギナーズの仲間がいて、みんなで作り上げていくのが好きっていうのはわかってる。
うま美
仲間と楽しめるのは競馬のよいところだよね!
アミーピー
なんていうか、部活みたいなんだよね。
アミーピーは就職しなかったし、仲間って呼べる人が今までいなかったの。でも今はビギナーズのみんなといるのがすごく楽しい。競馬のお勉強すると褒めてくれるし(笑)
実は目立ちたがり屋の恥ずかしがり屋なんだけど、アミーピーがメインの時でもちゃんと両脇にいてくれたり、サポートがすごい。
そういうのも全部、青春って感じで好き。
だから、競馬も好きになったんじゃないかな。
笠原小百合
確かに、みなさんとっても仲が良くて楽しそうにされていて、羨ましいなと思います。
アミーピー
だから、きっかけは『みんな』なの。競馬ビギナーズがきっかけ!(照)
目黒貴子
素敵な話! やっぱりみんなで楽しむとまた違った魅力があるよね、競馬は。
付き合っていた彼の影響で!
目黒貴子
昔、ピザ屋でバイトしてたときに同い年の店長と付き合い始めたんだけど、彼が生粋のギャンブラーだったの。シフト入ってないときはスロット屋に並び、当たったら焼き肉食べに行って、そのまま麻雀打つとか(笑)
で、土日は暇だったら競馬場みたいなね。
うま美
すごい。ギャンブルの合間に仕事してる、みたいな感じですね。
目黒貴子
ホントそんな感じよ。で、スロット・麻雀・競馬の3つの中で、競馬だったらもしかしたら一緒に楽しめるかもしれない、と思って。
「絶対当たる馬券教えて」っ言ったのが、ライスシャワーの菊花賞で。
「枠の4-4しかない!」って彼が言うんだよね。言われるがままに1000円買ったら、それが見事的中して。
うま美&アミーピー
え~! すごい!
目黒貴子
馬券当たったのも嬉しかったんだけど、黒くて小さい馬──ライスシャワーが頑張って走ってる姿に感動しちゃって。ちょうど当時黒猫を飼ってたから「うちの子みたい!」っていうのもあってね(笑)
それからライスシャワーが出るレースは絶対見てたの。
うま美
それから競馬にハマったんですか?
目黒貴子
それがきっかけではあるけど、本格的に競馬にハマったのは競馬の仕事に就いてからかな。まあ、その彼とは競馬の仕事をはじめて1年で別れちゃったけど。
アミーピー
あらら、そうなんだ。
目黒貴子
でも、今の仕事に就いたのもその彼がいたから。彼がいたことで今があるんだって思うと、感謝だよね。
オグリキャップのラストランを見て!
笠原小百合
私の場合、元々、父が競馬好きで。休日は競馬中継がテレビで流れているような家庭で育ったんです。
アミーピー
すごい、英才教育!
笠原小百合
それまでなんとなく見ていた競馬を好き! と思ったのが、オグリキャップのラストランで──。
目黒貴子
あれ、めちゃくちゃ感動するよね。
笠原小百合
もう「オグリキャップは終わった」という人までいて、私もなんとなく「もう勝てないのかな」なんて思っていて。
でも、そんな想いを抱いたことを本当に申し訳なく思いました。
ラストランで、有馬記念で、復活Vで。
目黒貴子
当時、一般のニュース番組でもオグリキャップのラストランのことを取り上げていて。もう、オグリコールがすごいのよ。「こんなに大勢の人が馬のことで狂喜乱舞するわけ?」って驚いたのを覚えてる。
「もしかしたら今まで抱いていた競馬のイメージとは違うのかも?」とも思ったんだよね。
笠原小百合
オグリコール、すごかったですよね! 私も一番印象に残っているのは、実はレースよりもウイニングランなんです。西日をいっぱいに浴びたオグリキャップと武豊騎手が本当に格好良くて──小学生ながら感動したのを今でも鮮明に覚えています。
Q:『好きな馬はいますか?』
アミーピー「オグリキャップ」
アミーピー
そのオグリキャップがアミーピーの1番好きな馬かなあ。昔、オグリキャップのドラマがあって、そこにお姉ちゃんがこどもたちの中の1人として出たことがあって。だから昔から聞いたことのある名前だったし、やっぱり笠松競馬場近いから親近感あるし。そう考えると、もっとはやくから競馬を知っていれば笠松にたくさん行けたのになって思うことも多くて……。
目黒貴子
でも、競馬はいつからスタートしても間に合うよ!
アミーピー
そうだよね! 同じ地元のオグリキャップが中央で活躍したみたいに、アミーピーも地方から出てきて頑張って、応援してもらえるような存在になりたいなって思ってる。目標は、占い師として競馬のお仕事をもらうこと! せっかくだから、得意なことは活かしていかないとね。
うま美
アミーピー、占いで競馬予想してるんだよね。
アミーピー
普通に人を占ってもつまんないんだよね。
騎手と馬の相性を見て、占いで予想するのが楽しいし、TwitterのDMで「20年以上馬券買ってるけど面白いね」とか言ってもらえてホントに嬉しいんだ。
目黒貴子
ちょっと今までにない予想の仕方だし、面白いよね。
よくぞやってくれた! って思うもん。
うま美「ディープインパクト」
うま美
好きな馬って言われてもあまりピンと来なかったんだけど、きっと好きって無理やりなるものじゃないよなって思って。お正月になんとなく描いてた絵がディープインパクトで。だから、ディープインパクトなのかな?
うま美
ビギナーズではじめて出演した動画がディープインパクトの回だったっていうのもあるかも。収録の時、みんながやさしくて、わいわい楽しく過ごせたことにも感動したからその印象もあって。
アミーピー
最初って緊張するよね。うま美ちゃん、あの動画で目が泳いでたね(笑)
うま美
やめて~!(笑) やっぱりディープインパクトは有名で、初心者の入り口っていう感じもするし。事前の予習で若駒ステークスの映像を見たんだけど、こんなにスピードの加速がつく馬がいるんだ! って驚いたのをすごく覚えてるな。
笠原小百合
ディープインパクトは本当に強かったですよね。異次元の脚で。それに加えて頭も良いんだろうなって。
アミーピー
こうしたらお客さん喜ぶだろうな、とか絶対シナリオわかってるよね。
目黒貴子
あれはもうしょうがないよね、だって本当に強いんだもん。
目黒&笠原「ステイゴールド」
目黒貴子
私はね、ステイゴールド!
笠原小百合
え! 被りました!(笑)
目黒貴子
ホント?(笑) そうそう、ステイゴールド好きな女子ってね、多いのよ。
アミーピー
あれだけ色んな馬がいるのに、被るとは!
目黒貴子
ステイゴールドって、なかなか勝たないの。2、3着が多くてシルバーコレクターなんて呼ばれたりしてね。ホントに勝たない。ずっと熊沢騎手が乗っていたんだけどね、調教師の池江先生は苦渋の決断をするのよ。熊沢騎手に替わって、鞍上・武豊騎手って。その武豊騎手がはじめてステイゴールドに騎乗したレース、土曜日で雨が降っていて不良馬場で──それがなんと、勝つんですよ。
そのレースの名前、知ってる?
うま美
え、なんだろう。
アミーピー
わかんない。
笠原小百合
(笑)
目黒貴子
それはね──目黒記念。
うま美&アミーピー
おお~!! 目黒さんだ!
目黒貴子
目黒記念はG2のレースなんだけど、ステイゴールドが勝ったときはG1レースみたいに歓声が上がったの。
笠原小百合
2年8ヶ月ぶりの勝利で、小さい体で頑張って走って……ホント感動ですよね。
目黒貴子
だよね。でも私的ベストレースを挙げるとするなら、やっぱり香港ヴァーズになるんだよね。
笠原小百合
ラストランですね。あれは本当に素晴らしかった。最後のゴール前の走りは本当に飛んでいるようでしたね。
目黒貴子
香港ヴァーズの直後、栗東でうどん食べてたの。そしたらお店のおばちゃんが「お金はいいよ」って言うのよ。聞いたら「さっき武さんからもらったから」って。私、びっくりしちゃって。すぐに武豊騎手にお礼を言いに行ったのね。そしたら「だって目黒さんステイゴールド好きだったでしょ、お祝い」って言うのよ。
そういう所も『レジェント武豊』だなあって、そのとき思ったよね。
笠原小百合
そんなことがあったんですか! さすが武豊騎手……!
目黒貴子
あと、ステイのすごいところは、自分の戦績よりも産駒の戦績がよいところ。種牡馬になるって聞いたときは正直不安だったんだよね。あまりにも強力なライバルが多くて。でも蓋をあけてみれば、ね。
笠原小百合
三冠馬までいますからね!
目黒貴子
本当にそう。こんなにいい馬たちを出すなんて、本当にすごいよね。
うま美&アミーピー
奥深い話題でついていけない……。将来、私たちもこういう感じになるのかもね(笑)
まだまだ話は尽きないUMAJOたち。
競馬のことならいくらでも話せる!と、まるで「恋バナ」をしているかのような盛り上がりをみせた座談会だった。
そう、UMAJOは競馬に恋をしている。
好きになったきっかけも、好きな馬も、予想の方法も、競馬場での過ごし方も、何もかも違うけれど。
みんな、それぞれがそれぞれの想いのもと、競馬を愛してる。
UMAJOという括りはわかりやすくはあるが「それぞれ、1人の競馬ファンとして見てほしい」というのも、UMAJO側からの想いだったりもする。
一言でUMAJOと言っても十人十色。
色々なUMAJOが存在しており、それは男性のファンたちと何ら変わりはないことが、この座談会を通して少しでも伝わったのならば嬉しい限りである。
競馬デビューしたばかりのUMAJOも、ガチで競馬に恋をしているUMAJOも。
願わくば1人でも多くのUMAJOの競馬への恋が、それぞれに1番良い形で末永く続きますように。
写真:s.taka