今年、再びJBCを迎える金沢競馬。
それに向けて金沢競馬場は、冬休み期間中、馬場や設備を大改修した。
馬場は白っぽく、パドックは見るからに明るくなって、映像配信などにおける馬の画面映りがよくなったのではないだろうか。ネット投票の時代、その辺りも意識した改修だったのかもしれない。
しかし、見映えはよくなっても、実際にそこでレースに出ている方はどうなのか──。
そこで昨年度金沢競馬のリーディングジョッキーであり、今年通算1300勝を記録した藤田弘治騎手にお話を伺ってみた。
まずは競馬にとって一番重要な馬場。
従来は川砂だった物を山砂に変更。それに対して藤田騎手は
「砂は最高」
ときっぱり。どれくらい最高かと言えば、
「今までは地獄。地獄から天国くらいに変わった」
従来の金沢の砂は粒が荒く、騎手や馬にとって当たるとかなり痛い。
金沢を走った某外国人騎手など「世界で一番痛い競馬場」と言ったとか。
また乾燥すると砂が巻き上がって砂塵となり、視界不良となって危険とも言われていた。
それらが一気に解消となれば、乗っている人間は天国に思えるだろうし、馬も過度に怯む事無く力を発揮する事もできるだろう。
──しかし。
藤田騎手が今回の一連の改修で「いいなぁ」と思った場所はパドックだと言う。
今回の改修でパドックの中心部も含めて全面ウレタン舗装され、厩務員や騎手が躓きにくくなったように見えるが、
「厩務員さんが躓かないように、じゃなくて『馬』です。厩務員さんがあんなので躓きません」
と笑う。しかし、パドックで馬が躓くところなどあまり見たことはない。
実は躓く所は周回路ではなくて、
「真ん中の芝生が盛り上がっている所。角で躓いたり、引っかかったり。あれがよくなかった」
たしかに去年までのパドックを見ると、その内側は芝生になっていて、少し盛り上がっているのがわかる。
そして、その片隅や角がえぐれて土がむき出しになっているのも見える。それだけ数多の馬の蹄が当たっていた証でもある。
しかしながら、その段差は数センチ程度。馬の大きさからすれば僅かな段差にも見えるが、
「馬はちょっとした段差でつまずく。横に目があるから遠近感が掴みづらいのか、あれくらいの段差は絶対に躓く。それでそのあと暴れるんですよ」
パドックで暴れてしまった馬のレース結果は、よくなるはずもない。レース前にレースが終わってしまうことは、絶対に避けなければならない。
その為にもパドックのフルフラット化は、馬場の改良と並んで重要な改修点だったのだ。
「今は平らになって安全です」
と藤田騎手はにっこりと笑いながら太鼓判を押す。
安全なパドックに天国のような砂の馬場。
JBCに向けてのハード面の準備は整った。
秋の本番はもちろんだがこれからの本場開催でのレースも大いに楽しめそう。
とりあえず、スタンド総砂被り席にはならないようなので快適な現地観戦を味わおう。
今年最初の金沢競馬のフリーペーパー「遊駿+」45号発行されました。
金沢競馬場に配置してありますのでご来場の際にお手にしてください。
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