[重賞回顧]良血馬が翼を広げる〜2021年・阪神牝馬ステークス〜

桜花賞ウィークの阪神競馬場。

桜花賞と同じ舞台で行われる重賞が阪神牝馬ステークスだ。5月のG1ヴィクトリアマイルへの重要なステップレースであり、後々の秋のG1へも繋がる重要な一戦だ。

明るい日差しの仁川から女王への道を歩むのは果たしてどの馬か。

レース概況

阪神牝馬ステークスは出走馬12頭で行われた。

人気の中心は、昨年のクラシック戦線を盛り上げた4歳馬、同じ勝負服のマジックキャッスルとデゼルに集まった。デゼルは昨年のオークスで人気を集め、逆にマジックキャッスルは秋華賞で穴を開けた。対照的ながらも、クラシックを盛り上げた2頭。さらに、昨年のローズステークスを制するなど同世代でも存在感が際立つリアアメリアが続いた。

好天の阪神競馬場。

桜花賞と同じ芝1600mのスタート地点からレーススタート。

少しばらけつつ、全体的にまずまずのスタートを見せた。まずは前走京都牝馬ステークスを逃げ切ったイベリスが前へ行く。最内枠のドナウデルタ、続けて大外枠のエーポスがポジションを探り合う。さらにギルデッドミラー、メイショウグロッケが続き、人気の3頭は揃って後方という展開になった。

少頭数らしく各馬固まって、直線コースの攻防に移る。

先頭のイベリスが突き放しにかかるも、今回はそうはさせまいとエーポス・ドナウデルタが両脇から襲い掛かる。その後ろからはギルデッドミラーとプールヴィル──さらにマジックキャッスルとデゼルも先頭争いに加わっていく。

残り200mを切って最内からドナウデルタが1馬身抜け出すも、一気に襲い掛かったのが社台の2頭だった。

広がった攻防は、大外から追い込んだデゼルに軍配が上がった。
前走・初音Sから見事連勝で、重賞初制覇となった。

各馬短評

1着 デゼル (川田将雅騎手 1人気)

見事1番人気の支持に応えての完勝となった。

後方寄りの追走を選択したこのレースは直線で大外に持ち出して末脚を爆発。マジックキャッスルと併せる形で追い込み、最後のひと伸びで勝利をつかんだ。

良血アヴニールセルタンの子供がタイトルを持って、三冠牝馬へのリベンジに燃える。

2着 マジックキャッスル(大野拓弥騎手 2人気)

愛知杯からの重賞連勝を狙ったが、惜しくも届かなかった。

道中はデゼルとぴったり並んでレースを進めた。違いはコース取りだろう。

大外に向いたデゼルとは逆に、馬群の中を突いて伸びた。最後デゼルに交わされはしたがそれでも見せ場たっぷりのレースだった。こちらも三冠牝馬にあと一歩まで迫った馬。世代戦の頂点は譲っても、5月のビッグタイトルは譲れない。

3着 ドナウデルタ (和田竜二騎手 8人気)

最内枠を活かした走りで3着入線を果たした。

道中は経済コースを立ち回り、直線でもイベリスの内を突いて伸びたドナウデルタ。一旦は先頭に立つも人気2頭の強襲には敵わなかった。しかしながら重賞では初めての馬券圏内。ドナウブルーの血がここから覚醒するか。

総評

世代や血統面など見どころたっぷりだった阪神牝馬ステークス。

デゼルの初重賞制覇で幕を閉じたが、いずれやってくる三冠牝馬との対決は益々楽しみとなった。

世代ナンバー2とは言わせない走りを期待したい。

写真:だしまき

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