ウマフリ読者の皆さん、こんにちは。
元JRA調教師の角居勝彦です。
「東映エージエンシー×ホースコミュニティ」のクラウドファンディングにご協賛いただいた皆様、ありがとうございました。その返礼として、ウマフリにて6回にわたり思い出の馬を語っていこうと思います。
フィナーレを飾る今回は、ルーラーシップを取り上げます。
ルーラーシップ
父:キングカメハメハ
母:エアグルーヴ
獲得賞金:5億4,976万円
生年月日:2007年5月15日
ルーラーシップに関してはそもそも、エアグルーヴという日本を代表する名牝のお母さん、そして当時ディープと双璧だったキングカメハメハというお父さんと、競馬ファンなら誰もが知っているという配合の競走馬です。日本競馬の至宝で、宝物ですよね。
初めて会った時から、オーラを感じました。
もう「本当にこんないい馬がウチに来ていいのか!?」という風に感じたのを覚えています。
それほど、本当に素晴らしい良い馬でしたね。
調教やレース選択はオーナーサイドと逐一相談しながらでした。こちらのアイデアも何度か聞いていただけたとは思います。レース選択はスムーズでした。
ただ唯一、ゲートで立ち上がるという癖が途中から出てきて、そこで随分といろんなやりくりをしましたね。
色々悩んで、苦労した1頭ですけど、その中で一番印象に残っているのはやっぱり香港で勝ったクイーンエリザベスII世カップ。ゲートボーイと言ってゲートの中で立ち上がらないようにしてくれる競馬場だったので、 そこで勝ちたいと思っていたGIをようやく勝たせてあげることが出来たのはすごく嬉しかったです。
このレベルの血統馬ですから「ぜひとも、種牡馬にしなくてはいけない」という想いはありました。
ですから、ようやくちゃんとした勲章を付けてあげることが出来たなあと感じた一戦だったので、 すごくホッとした記憶があります。
血統も素晴らしいし、馬体も素晴らしい、成長過程も素晴らしい。使う脚も素晴らしい。
改めて振り返ると、ずっと素晴らしい馬だったなぁ、と思います。
今、種牡馬として牧場に戻っていますが、非常に良い子供を出してくれているので、これからも日本競馬界に貢献する血統になっていって欲しいですね。そして、皆さんの心だけじゃなくて本当に血統書の中にずっと残っていける馬になっていってくれると嬉しいなと思っています。
写真:Horse Memorys