[フローラS]オークスのトライアルとして大注目の素質馬が大事集結! - 重賞プレビュー

桜花賞リバティアイランドの動向次第では一気に注目度UPのオークストライアル

今週から関東の主場は中山から東京に切り替わります。
オークスやダービーといった春競馬の大一番が行われる東京競馬場の開催。
好天の下で行われるG1レースは、これぞ競馬の醍醐味とも言える楽しさです。

そんな東京競馬場の開幕週の日曜メインは、オークストライアルのフローラS。
2着までにオークスへの優先出走権が与えられること、3歳牝馬の世代重賞でこれまでなかった2000Mの重賞であることから、桜花賞に出走しなかった、やや遅れて成長してきた馬、長めの距離に適性のある馬が出走する傾向にあります。このレースでオークスへの出走権を取った馬では、16年の勝ち馬チェッキーノ、17年の勝ち馬モズカッチャン、20年のウインマリリンらが、続くオークスで2着。また、21年で3着だったユーバーレーベンは出走権こそ取れませんでしたが、続くオークスで勝利。
今年もオークスで好走する馬が現れるか、注目です。

今年は桜花賞上位組の多くがオークスへの参戦を予定しています。勝ったリバティアイランドは次走を検討中ですが、2~5着馬がオークスに出走を予定しています。他にも新潟2歳S、フェアリーSを制した重賞2勝のキタウイング、フラワーカップを制したエミュー、札幌2歳Sを制したドゥーラなどが出走する予定です。

気になるのは桜花賞馬リバティアイランドの動向です。
桜花賞終了時点では、その強さが明らかに一枚も二枚も上の走りを見せつけての勝利でしたので『今年の3歳牡馬は手薄だから、ダービーに出ても勝てるんじゃないか?』という声も上がりました。ただ、皐月賞でソールオリエンスがかなり強い勝ち方をしたので、リバティアイランドのダービー行きは少し微妙になったとも言えます。現在は、リバティアイランドの次走は明言されていません。もし、ダービーへ出走となれば桜花賞馬不在のオークスは一気に混戦になるでしょう。オークスTRのフローラSは、一気に注目が集まります。特に2000M以上の距離適性が高い新星の出現を期待してもいいのではないでしょうか。

今年のフローラS出走馬の特徴としては、例年以上にキャリアが少ない馬が多いという事が挙げられます。
重賞出走馬が2頭のみと実績馬が少なく、1勝馬が中心のメンバー構成。その1勝馬も1戦1勝馬が3頭とまだ能力と適性の全てを見せていない馬が多いので、どんな馬が中心になるかは不明です。東京芝2000Mというコース、距離とも未経験の馬たちの真価を見極めるレースになると言えそうです。

フローラS 注目馬紹介

2戦のキャリアながら実績はトップクラスのイングランドアイズ 2000Mに戻れば地力上位

メンバーでもトップクラスの実績を持つのが、イングランドアイズです。

初戦は阪神の芝2000M戦で、道中は中団の外目を追走し、直線では横に広がった各馬の真ん中からしぶとく脚を使って競り勝ちました。

この時2着に負かしたのが、後にクイーンCを勝つハーパー。さらに3着のマテンロウアルテはフラワーカップ6着、忘れな草賞4着馬ですから、レベルが高い新馬戦だったと言えます。

2戦目のクイーンカップでは差の無い4着だったイングランドアイズ。2着は阪神JFで3着のドゥアイズ、3着が後のニュージーランドTで4着のモリアーナでした。5着のグランベルナデッドは忘れな草賞勝利、6着のウンブライルはニュージーランドトロフィーで2着と、今考えれば、こちらもかなりハイレベルなレースと言えます。そして勝ったハーパーが桜花賞4着だったことを考えれば、3歳牝馬世代でもトップクラスの実績を残していると言えます。

今回は2000Mに距離延長してのレースですが、初戦が2000Mだったので不安も少ないでしょう。母が14年のオークス馬ヌーヴォレコルトですから血統的な魅力も十分。母と同じくオークスへの出走を期待するファンも多いのではないでしょうか。

クイーンオブソウル - 桜花賞出走へは大きなハナ差。わずかに届かなかったG1出走へ、今度は届かせる。

まだキャリアが少ない3歳牝馬ですし、G1出走へ向けた激しい戦いが予想されるトライアルレースですので、ある意味ではトライアルレースこそ本番さながらに力を入れて走る陣営も少なくないでしょう。特に、あと一歩で桜花賞出走を逃したクイーンオブソウルはここが勝負レースと言えるのではないでしょうか。

初戦は中山芝の1600Mの新馬戦で逃げて2着に5馬身差の圧勝。
2戦目はハイレベルなエルフィンSに出走し4着と好走しています。
2着のコナコーストはチューリップ賞、桜花賞で2着と3歳牝馬戦線ではトップクラス。3着のシングザットソングも次走でフィリーズレビューを勝利と明らかにレベルの高いレースでした。

前走のアネモネSでは3~4コーナーで外を回って上がっていき、直線では大外からじりじりと伸びて、ゴール前で桜花賞出走の権利が取れる2番手に上がったのですが、さらに外から伸びてきたコンクシェルにクビ差競り負け、あと一歩で大舞台への挑戦権を失いました。非常に惜しい競馬でしたし、今回に向けてのモチベーションは十分でしょう。長くいい脚を使えるので2000Mに対応できれば互角以上に戦えるのではないでしょうか。

キミノナハマリア - 唯一の2勝馬の底力を披露したい。

このレースは出走馬のほとんどが1勝馬ですが、唯一の2勝馬となるのが、キミノナハマリアです。

初戦は函館の芝1800Mで勝利し、その後は中山芝2000Mの芙蓉Sで5着、阪神芝2000Mのエリカ賞で3着、中山芝2000Mの1勝クラスで2着と、1800M~2000Mのレースを使ってきました。そして前走の阪神芝1800Mで行われた君子蘭賞を勝って2勝目を挙げています。道中は3番手で進み、直線では2着に3馬身差をつけての快勝。牝馬限定戦だったとはいえ、1勝クラスでは力が上でした。

他の馬が1勝クラスの馬なので、2勝馬の同馬はメンバーでも上位の力があると言えますし、先行しつつ速い上りを使えるのは速い馬場の東京の馬場にピッタリと言えるのではないでしょうか。

ゴールデンハインド - スタミナ比べならゴールドシップの血が騒ぐか。きれいな馬場で見直したい。

オークスが芝2400Mのレースですので、スタミナがある馬・血統的にスタミナがありそうな馬は注目でしょう。

なかでも、戦績と血統からゴールデンハインドに注目します。
父ゴールドシップの同馬。未勝利戦を福島1800M戦で勝利した後は、芝1800M、2000Mのレースを使ってきました。前走のフラワーカップでは不良馬場でも道中4番手から直線の入口では先頭に立って見せ場を作っています。展開と馬場が厳しかったのでその後は苦しくなりましたが、きれいな馬場だったら勝ち負けも狙えたのではないでしょうか。

父がゴールドシップで馬主がラフィアンとなれば、21年のオークスを勝ったユーバーレーベンを彷彿とさせます。同馬はフラワーカップ、フローラSで3着を経てオークスを勝利しましたが、ゴールデンハインドにはどんな結果がまっているのでしょうか。注目です。

ドゥムーラン - 大外一気から感じる大物感は本物か。真価が問われる1戦1勝馬。

ここまでは比較的実績馬を挙げてきましたが、この時期の3歳馬には牡馬、牝馬関係なく『遅れてきた大物』に期待したくなるものでしょう。特にトライアルレースではレースぶりは不器用で粗削りな面が目立って『まともに走ればG1でも通用するのでは?』と思わせるような馬に期待したくなります。

その可能性を感じるのがドゥムーランです。
父サトノダイヤモンド、母アメリという血統で、初戦の中山芝2000Mの未勝利戦では出脚がつかず後方からの競馬。向正面でも後方を進み、残り800Mを切ってから大外を回って上がっていき、3~4コーナーでは一番外を回って直線に入りました。3~4コーナーで勢いよく外から位置を上げていったので、直線では失速してもおかしくなかったのですが、大外を回ってそのまま差し切って勝利と非常に強い内容で勝ち切っています。

かなり長くいい脚を使って差し切ったので、能力は相当です。
脚に不安なところがある馬ですので2戦目の反動が出るかもしれませんが、初戦の勝ちっぷりは能力の高さを見せました。レーン騎手騎乗で人気になると思いますが、人気に応えるだけの素質と能力があるのは確かです。2戦目で重賞制覇の可能性十分の素質馬の走りに注目しましょう。

ソーダズリング - 2戦目の初勝利は持ったままでの快勝! 血統的にも魅力十分の大物に期待。

1勝馬が中心のメンバー構成ですので、レース数を重ねてきた馬よりもキャリアが少ない馬に注目が集まります。ドゥムーランもそうですが、いきなり重賞好走できるような潜在能力が高そうな馬に期待したくなるのは競馬ファンの心理でしょう。

まだ未勝利を勝ったばかりですが、その勝ちっぷりからソーダズリングに期待します。
父ハーツクライ、母がソーマジック、兄にチャレンジカップを勝ったソーヴァリアントがいるという血統背景の同馬。初戦は経験馬を相手にハナ差の2着。2戦目は道中5,6番手を進んで外を回し、直線では持ったまま後続を2馬身半離しての勝利でした。

爪が弱くてデビューが遅れましたが、血統面から期待されていた同馬。兄のソーヴァリアントは3歳春時に失格などがあって出世が遅れてしまいましたが、能力の高さは世代でもトップクラスと言われていました。その妹に期待するところも大きいのではないでしょうか。

終ややメンバー的に手薄かと思われたフローラSですが、牝馬戦線でトップクラスの戦いをしてきた馬、1勝馬ながらも大物感を感じる勝ちっぷりをしてきた馬が集まったメンバー構成と言えるのではないでしょうか。その中から桜花賞組に対抗できる新星が出てくれば、オークスが盛り上がると言えますし、東京の馬場を確認するという意味でも注目のレースになるでしょう。この記事が皆さんの参考になれば幸いです。

写真:かぼす

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