鳴尾記念ってどんなレース?
鳴尾記念の「鳴尾」は、1907年に関西競馬倶楽部が兵庫県武庫郡鳴尾村(現在の西宮市)に建設した「鳴尾競馬場」に由来します。
鳴尾競馬場は1943年に太平洋戦争の激化に伴い閉鎖されましたが、現在も武庫川女子大学の浜甲子園キャンパス内にスタンドの一部が残っています。
1951年にハンデキャップの重賞として阪神競馬場の芝2400mで創設され、春(6月)と秋(12月)に年2回施行されていましたが、1954年より年1回の施行となりました。幾度かの開催時期の変更・距離の変更・負担重量の変更、さらにはG2からG3への格付け変更がありましたが、2012年に宝塚記念の前哨戦として現在の6月上旬に行われるようになりました。
鳴尾記念を制した馬達
天皇賞・春の前哨戦で行われていた時期にはテンポイント(1977年)が制しています。さらに、冬のG2ハンデ重賞時代にはタマモクロス(1987年)が、宝塚記念の前哨戦としてはバブルガムフェロー(1997年)が制するなど、トップクラスの馬達がこのレースを制しています。
また、昨年のこのレースを制したメールドグラースはオーストラリアのG1レース、コーフィールドカップ(芝2400m)を制しました。
宝塚記念の前哨戦として位置づけられてから、鳴尾記念→宝塚記念と連覇した馬は、ラブリーデイ(2015年)しかいません。
今年の主な出走馬
ラヴズオンリーユー(牝4 栗東・矢作厩舎 54Kg デムーロ騎手騎乗)
昨年のオークスを制したラヴズオンリーユー。
ヴィクトリアマイルは7着と敗れましたが、中2週のローテーションで鳴尾記念に出走します。
G1ホースの鳴尾記念参戦は2014年のトーセンジョーダン(8着)以来となります。
父はディープインパクト。母のラヴズオンリーミーはドバイターフを制したリアルスティールの母としても知られております。
半年ぶりの一戦となったヴィクトリアマイルは、中止となったドバイ遠征の疲れもあったのか、馬体重がマイナス6Kgの数字以上に馬体が寂しく見えました。1枠1番からのスタートで窮屈な競馬を強いられたのも敗因として挙げられるでしょう。馬体重が戻れば、得意の中距離で巻き返しを狙います。
サトノルークス(牡4 栗東・池江厩舎 56Kg 武豊騎手騎乗)
昨年の菊花賞2着馬のサトノルークス。
菊花賞後は休養に入りましたが、2020年の初戦を迎えます。
父はディープインパクト。母のリッスンはイギリスの2歳牝馬限定のG1レースフィリーズマイル(芝約1600m)を制しました。全姉のタッチングスピーチはローズステークスを制しています。
管理する池江泰寿調教師は鳴尾記念を5勝、2015年から2018年までは4連覇も達成した実績を持っています。
後方から追い込む競馬で開幕週の馬場、内回り芝2000mというコースが不安はあると思いますが、直線の短い中山コースのセントライト記念でも0.3秒差の2着と健闘した実績もあります。
武豊騎手を鞍上に配したことを考えても、いきなり走ってもおかしくはないと思います。
パフォーマプロミス(牡8 栗東・藤原英厩舎 56Kg 福永騎手騎乗)
昨年の天皇賞・春3着のパフォーマプロミス。
天皇賞・春の後は骨折のため休養に入りましたが、1年1ヶ月ぶりに復帰します。
父はステイゴールドです。母方の祖母であるバウンドトゥダンスは2000年のオークスを制したシルクプリマドンナの母として知られています。
天皇賞・春3着の実績を残していますが、別定戦のため、今回は56Kgでの出走。
ハンデが56Kg以下の場合、9戦6勝2着1回、3着1回と全て複勝圏内に入っています。長期休養明けの初戦というハンデはありますが、今まで戦ってきたメンバーのレベルの高さを考えると、いきなり通用する可能性があると思います。
ドミナートゥス(牡5 栗東・宮本厩舎 56Kg 松山騎手騎乗)
9戦4勝2着4回と安定した実績を残しているドミナートゥスが、初の重賞に挑みます。
父のルーラーシップは2010年の鳴尾記念を制しています。
母のデグラーティアは2008年の小倉2歳ステークスを制しました。
さらに、叔父のボールドライトニングは京王杯2歳ステークスを制していあす。
唯一大敗した白富士ステークス(11着)は、屈腱炎による1年4か月ぶりの出走で度外視してもいいと思います。前走の福島民報杯(芝2000m)は2着に敗れていますが、見せ場十分の内容でした。母のデグラーティアは宮本調教師にとって初の重賞タイトルをもたらせた馬。ゆかりの血統で重賞戦戦に挑みます。
エアウィンザー(牡6 栗東・角居厩舎 56Kg 川田騎手騎乗)
一昨年のチャレンジカップまで4連勝を挙げていたエアウィンザー。
休養明け初戦の新潟大賞典は9着に敗れましたが、巻き返しを狙います。
父はキングカメハメハ。母のエアメサイアは秋華賞を制した活躍馬です。本馬の全兄であるエアスピネルは、デイリー杯2歳ステークスなど重賞3勝を挙げています。
エアウィンザーにとって阪神コースに舞台を移すのは好材料のはず。
阪神・芝コースでは7戦4勝、2着2回。唯一惜敗したレースはG1の大阪杯の5着でした。それでも勝ったアルアインとは0.2秒差と接戦でした。得意の阪神・芝コースで巻き返しを狙います。
その他では全5勝中4勝を阪神・芝コースであげているレッドガラン(牡5 栗東・安田隆厩舎 56Kg 北村友騎手騎乗)、昨年の京都新聞杯を制したレッドジュニアル(牡4 栗東・高橋義厩舎 56Kg 酒井騎手騎乗)、3歳馬ながらも同じ条件の若葉ステークスにて1分58秒9で2着に入ったキメラヴェリテ(牡3 栗東・中竹厩舎 52Kg 岩田望騎手騎乗)が出走します。