![[重賞回顧]待ち焦がれた菊絵巻へ〜2022年•セントライト記念〜](https://uma-furi.com/wp-content/uploads/2021/03/image-324.png)
かつて日本競馬で初めて皐月、ダービー、菊の3歳物語を先頭で駆け抜けた名馬、セントライト。そんな戦前のスターホースを記念して行われる菊花賞トライアルのセントライト記念も、今年で76回目を数えた。
西の神戸新聞杯の方が有力馬を輩出している印象も強いかもしれないが、2015年にキタサンブラックがここの勝利から菊花賞を制し、そして更なる飛躍へと飛び立っていったように、春の実績馬が次なるステップへ進む試金石となっているレースなのは間違いない。また同時に、フェノーメノやジェネラーレウーノ、北海道から参戦したコスモバルクなど、春に悔し涙を飲んだ馬達が秋のリベンジを誓って輝く舞台でもある。
そんなセントライト記念、今年は上位4頭のオッズが抜け出していた
1番人気はアスクビクターモア。前走日本ダービーでは激しい叩き合いを演じたドウデュースとイクイノックスには及ばなかったものの、皐月賞馬ジオグリフとダノンベルーガには先着。4強と呼ばれていた彼らのいないこのレース、たとえ前哨戦であっても負けるわけにはいかない。そんな気概も見えた彼のオッズは堂々2.6倍で頭ひとつ抜け出していた。
2番人気に4月の山藤賞以来となるローシャムパーク。2着に7馬身差、それも翌日良馬場で行われた皐月賞と大差ない2分0秒3の走破タイムを稍重で叩き出し、飛躍を期待されていた。復帰戦となるここを鮮やかに走れるかどうかに注目が集まっていた。
差のない3番人気に、新馬戦でドウデュースとマッチレースを繰り広げたガイアフォースが推される。前走の国東特別で2着を7馬身も千切ったその実力は、春のクラシックに間に合わなかった鬱憤を晴らすには十分すぎるほどに感じられた。
そして4番人気は、冬の中山、京成杯を先頭で駆け抜け、春のクラシックも善戦したオニャンコポンが続き、上位4頭が群雄割拠の様相でセントライト記念は幕を開けた。
レース概況
菊を見据える13頭がスタートを切り、その中から青い帽子セイウンハーデスが抜けて好スタートを切った。それに続く形でショウナンマグマと横山武史騎手が前へ前へと出していく。その後ろに5枠の2頭、春の実績馬アスクビクターモアとオニャンコポンが続いていく。それを見る形で芦毛の馬体ガイアフォースが追走し、さらにその後ろ、3頭を見やるようにローシャムパークとC.ルメール騎手は構えていた。
その後ろに毎日杯でブービー人気ながら2着に突っ込んできたベジャール、昨年のホープフルSで3着に入ったラーグルフが続く。さらには前走ラジオNIKKEI賞6着のボーンディスウェイと、青葉賞以来2度目となる重賞挑戦のロンギングエーオと続いていき、キングズパレスとサイモンバロンがやや離れて後方を追走していた。
向正面、後方から松岡正海騎手とキングズパレスが捲るように進出を開始するが、中団までの進出で先団までは取り付かない。そのまま3、4コーナーの勝負所に突入すると、ここまでレースを引っ張ってきたセイウンハーデスとショウナンマグマに、楽な手応えでアスクビクターモアが並びかけにいく。そしてその外から、ここまで足を溜めてきたガイアフォースが鞍上、松山弘平騎手の激しい激励に応えるようにその脚を伸ばし始め、一気に先頭2頭を飲み込みに行った。静と動。真逆のアクションでGOサインが両馬に出され、それについていくかのようにローシャムパークとオニャンコポンも進出を開始し、直線へと向かう。
中山の直線は短い。両馬並んで向いた直線はまさに火の出るようなデッドヒート。ローシャムパークも脚を伸ばしてくるが、先頭2頭に追いつけるほどの脚はない。オニャンコポンは馬群後方から脚を伸ばせない。
鹿毛の馬体と芦毛の馬体、全く譲らない鍔迫り合いが坂を上り切っても続いたが、勝者は外、ガイアフォース。
昨年の小倉で今年のダービー馬に肉薄した実力を、この舞台で見事に見せつけた。
上位入線馬と注目馬短評
1着 ガイアフォース
春のクラシックには間に合わなかった同馬が、初となる重賞の舞台で実績馬を下した。
最後は競り合いに勝ったように、勝負根性はかなりのものがあるのは間違いない。父キタサンブラック譲りの負けん気の強さは健在。春に出走が叶わなかったクラシックの舞台で、父に続いて親子制覇は叶うか。
2着 アスクビクターモア
弥生賞以降、皐月賞、ダービーと善戦が続いていた同馬がまたしても惜敗。
それでも最後まで先頭を譲ろうとしなかった闘争心と、脚を余すことなく伸ばし切った実力は見せてくれた。昨秋のタイトルホルダーがそうだったように、春に勝ちきれなかった実績馬が菊の舞台で覚醒する可能性も大いにある。引き続き期待したい。
3着 ローシャムパーク
前の2頭からは3馬身離れた3着。後方から伸びてきたとは言え、前の2頭とは少し差があるように見えた。経験の面の差も出たかと思われるが、ハービンジャー産駒だけに今後の伸びしろはまだまだありそうで、次走以降も要注意。
7着 オニャンコポン
2着のアスクビクターモアとは対照的に、やや人気を裏切る結果になってしまった。
陣営のコメントからも、2200mはやや長い様子。放牧に出たことから今後はマイルから中距離路線を使われるのだろうか。距離が縮まった際、最後の末脚がしっかり伸びるかどうかに注視したい。
総評
前半1000mを1分0秒3で通過のゆったりした流れだったとはいえ、最後の2頭による熾烈な争いは目を見張るものがあった。特に春先クラシック戦線に参戦できなかったガイアフォースの成長には感服せざるを得ないだろう。また、2着に敗れたアスクビクターモアも、春の実績通りの走りであり、それ以上の成長も確かに見せてくれた。2頭とも秋の菊絵巻での活躍が今から楽しみである。
セントライト記念も終わり、神戸新聞杯も控える秋競馬。秋の大舞台の足音は、すぐそこまで迫ってきている。
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