今年、ナミダノキスとのコンビで石川優駿とサラブレッド大賞典の金沢競馬3歳二冠を制して大きな飛躍を遂げた柴田勇真騎手。この柴田騎手が人生で初めて名前を知った馬は、社会現象ともなったあの馬だった。
「中学生くらいにディープインパクトの引退レース(有馬記念)を親がテレビで見ていて、すごい馬が引退するんだなって」
そう、ディープインパクトである。
ただし、ディープインパクトの名をここで初めて知ったがそこから興味を持ってメチャクチャ見るようになった、という事はなかった。しかし同じ頃、競馬へ興味が向かう別のモノと巡り合う。
「スターホースって言うゲームを中学生の頃によくやっていました。競馬が好きと言うよりもゲームが好きで。ゲームから(競馬に)入ったんですよね」
スターホースはゲームセンターにあるアーケード競馬メダルゲーム。
このゲームには過去の実在の競走馬が登場するが、ゲームを楽しんでいるうちにアイドルホース、好きな競走馬が誕生する。
「ゲームしていて逃げ、大逃げをする馬が面白く感じていて。逃げ馬の動画をyoutubeで検索していたらサイレンススズカを見つけて好きになりました」
最初に好きになった馬は、異次元の逃亡者・サイレンススズカ。
柴田騎手は逃げ先行と前へ行く戦法が得意と言う。サイレンススズカを重ねる事もあるのだろうか。
サイレンススズカを好きになった中学時代の柴田騎手。
中学卒業後は騎手をめざして、と言う事はなく高校へと進学。
「中卒で騎手になれる事も知らなくて。高校を中退して、という事も考えず卒業してからなろうと。大学や専門学校に行くような感じだった」
進路の一つとして選んだ騎手への道。そこを歩むとなって改めて競馬を調べていると新たなアイドルホースと巡り会う。
「調べていたらオルフェーヴルを知りました。一番好きになって、本格的に騎手になりたいと思いました」
金色の暴君オルフェーヴル。サイレンススズカとは対照的に鋭い末脚で三冠やグランプリを制した、言わずと知れた名馬である。彼の存在が騎手への道を決定づけたのだった。
ちなみに、柴田騎手の得意な戦法は逃げ先行だが、
「好きなのは差し追い込み。後ろから追い抜いて行くのが良いですよね」
好きこそ物の上手なれ。前からも後ろからもいける万能騎手が誕生する日も近いかもしれない。
そんな柴田騎手。
今のアイドルホースはもちろん。
「ナミダノキスが一番」
金沢デビュー以来変わらぬ二冠コンビ。来年以降も目が離せない。
永遠に色褪せない名馬たちの記憶を綴った新書
無傷の10連勝でダービーを制し、その17日後に急死した「幻の馬」トキノミノルから70余年。
父譲りの美しい栗毛をなびかせ大レースに挑み続けたナリタトップロード、人気薄から何度も勝利を重ねた"奇跡"のステイヤー・ヒシミラクル、爆発的な末脚で二冠を達成して引退すると、わずか5年の種牡馬生活で活躍馬を輩出、早すぎる死が惜しまれるドゥラメンテ、世界ランク1位を獲得した新時代の史上最強馬イクイノックス、名手との絆で不運と挫折を乗り越えた現役トップのドウデュースなど。
昭和の名馬から現役世代まで、時代を超えて愛される156頭の名馬たちの蹄跡をこの1冊に!
書籍名 | アイドルホース列伝 超 1949ー2024 |
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著者名 | 著・編:小川隆行+ウマフリ |
発売日 | 2024年09月25日 |
価格 | 定価:1,350円(税別) |
ページ数 | 320ページ |
シリーズ | 星海社新書 |
紙面構成 - ドウデュースにリバティアイランド、メロディーレーンにキズナにドゥラメンテ。昭和の名馬シンザン・トキノミノルから現代の名馬まで156頭を紹介
第1章 その走りが伝説になる 2020年代
パンサラッサ 比類なき大逃走、二刀流の国際GⅠ馬
イクイノックス 三冠牝馬すら寄せ付けない衝撃の歴代最強馬
ドウデュース 夢に照らされる、競馬の「主人公」
ミックファイア 期待を背にひた走る、22年ぶりの南関三冠馬
リバティアイランド 一体どれほど強いのか、完全無欠の三冠牝馬 など25頭
第2章 忘れたくないあのときの夢 2010年代
ヴィクトワールピサ 勇気を与える胴白、青縦縞、袖赤、青一本輪
キズナ 逆境に打ち勝つ希望の末脚
モーリス 落札価格は約160万円、砂漠で見つけた宝石
ドゥラメンテ “d u r a m e n t e” に走りぬけた、早逝の二冠馬
メロディーレーン 小さな体に満つ、父母のくれたスタミナ など42頭
第3章 色褪せない新時代の記憶 2000年代
クロフネ 日本競馬の眠りをさました白い〝黒船〟
ヒシミラクル 駆けだしたら決して止まらない穴馬ステイヤー
ネオユニヴァース 熱いハートとクレバーな頭脳、魅惑の二冠馬
スティルインラブ 勝負強さと反骨心で手にした17年ぶりの偉業
ドリームジャーニー 父の血を感じる、愛すべき不器用なアイドル など35頭
第4章 黄金時代のスターたち 1990年代
ダイイチルビー 1頭に焦がれた、輝けるお嬢様
ヤマニンゼファー 良い意味で期待を裏切り続けた不屈の挑戦者
サクラローレル 度重なる故障を乗り越え摑んだ年度代表馬
メイセイオペラ 史上唯一、中央GⅠを制した岩手の伝説的王者
ナリタトップロード 強豪相手に惜敗続きも人に愛された実力派 など28頭
第5章 遙かなる伝説の蹄音 昭和の名馬
トキノミノル 「幻の馬」の記録が伝える凄み
シンザン 類稀なる生命力を示した、伝説の三冠馬
カブトシロー 69戦を走り抜いた古武士は小柄な万能タイプ
スピードシンボリ 未踏の地を求め続けた偉大なチャレンジャー など26頭