![[連載・片目のサラブレッド福ちゃんのPERFECT DAYS]福ちゃんポストカードを販売開始(シーズン1-42)](https://uma-furi.com/wp-content/uploads/2025/04/postcard-scaled.jpg)
福ちゃんのポストカードを販売開始しました。プレゼントにするべきかどうか悩みに悩んで、ようやく踏み切りました。これまでの(碧雲牧場の好意によって制作された)キーホルダーやマグネットと同じように、無料で贈ることもできたのですが、今回はポストカードと引き換えにお金(1000円+消費税)をいただく形にしたのです。
正直に言うと、ポストカード自体は制作コストがそれほどかかりませんので、無料でプレゼントし続けることは可能でした。写真は高校の同級生であるスミヨンことPhotostudの住吉が撮ってくれて、それをポストカードの大きさに収め、印刷会社に依頼すれば良いのです。500枚印刷して5000円ぐらいですから、今回6種類のポストカードをセットで販売しましたので(1枚は秘密のおまけとして)、1枚10円×6種類=60円、そこに封筒代(1枚10円)と郵送費(約140円)を合わせたものが経費になります。STORESという販売サイトを利用して売ると、手数料が5.5%ですから50円が差し引かれます。大ざっぱに計算しても、1000-(60+10+140+50)=740円が、ポストカードが1組売れたときに残ります。もちろん、僕の手元に入るわけではなく、福ちゃんの養育費として全額を碧雲牧場に渡すためです。福ちゃんが来年1歳になってからは、預託費が月7万円かかりますので、100人の方々がポストカードを買ってくれたら1か月分の預託費になります。とてもありがたいことですね。
僕の中で葛藤があったのは、福ちゃんは(もちろん特別な存在ではありますが)普通の当歳馬であり、競走馬を目指している以上、他の馬たちと同じように、馬主である僕が預託費を払って育ててもらうのは当然のことだからです。競走馬になれない、繁殖牝馬にもなれるかどうか分からない状態であれば、皆さんからの寄付や援助を受けつつ生きる道をつくっていければと思っていましたが、今は状況が少し違ってきています。生産者の端くれとして、自分が生産して、本来の目的である競走馬を目指す以上は、自らの責任で福ちゃんを育てるべきです。誤解される言い方かもしれませんが、小眼球症を患っていることをダシにして恵んでもらったお金で福ちゃんを育てるのは筋が違うと僕は思うのです。あくまでも福ちゃんは片目なだけであって、普通の馬たちと何ら変わらないのですから。
それでも今回、販売に踏み切ったのは、福ちゃんマグネットを無料プレゼントした時のアンケートに多く寄せられた、「福ちゃんグッズを販売してください!」という声に応えるためです。これまで僕たちは、福ちゃんを温かく見守って、応援してくれて、YouTubeを観てコメントまでくださることに対する感謝の気持ちを込めて、キーホルダーとマグネットを無料でプレゼントしてきました。与えられたものに対して、何らかの形でお返ししようという、自分の気持ちばかりが先行していたのです。
福ちゃん宛てのお守りをいただくこともあれば、キーホルダーやマグネットの御礼にと果物を届けてくださる方々もいました。それでも、ほとんどの人たちは、もらってばかりだと感じていたのかもしれません。アンケートに耳を澄ませると、私たちにも何らかの具体的な形で応援させてもらいたい、という静かだけれどもはっきりとしたメッセージが聞こえてきました。福ちゃん応援団の一員として、福ちゃんのために何かをしたいという強い気持ちがアンケートに滲んでいました。福ちゃんのためにお金を出させてほしいということです。
孫に何かを買ってあげたいという気持ちに近いかもしれません。もらうばかりではなく、自分が出したいのです。してあげたいのです。応援や見守るという気持ちを具体的な形にするひとつの方法が、現代社会ではお金を出すということなのです。僕はまだ孫はいませんが、妹や友だちの可愛い子どもたちのためにならいくらでもお金を出したいと思いますので、それを拒否されると困惑してしまうでしょうね。
ただ、実際にやってみて、YouTubeにおけるスパチャは何か違うと思いましたし、広告収入も遠回りすぎると感じました。スパチャはそもそも30%が抜かれてしまいますし、数字だけが移動する印象しか受けませんでした。だからこそ感謝も一瞬で、何も残るものはありません。広告も動画の始まりに関係ない広告を見せて、その代わりに1再生0.1円ぐらいが入ってくるという、そこには何のやり取りもない、何も生まれない仕組みです。僕はどちらも違うと感じて、せっかくチャンネルを収益化できたにもかかわらず、すぐにスパチャも広告もストップしました。もらえるお金はもらっておこうという考えは僕にはありません。そうして突っ張って、損ばかりして生きてきましたので、このままいかせてください(笑)。
物をつくって、買ってもらうのは悪くないと思いました。福ちゃんを商売道具にしてしまうのは申し訳ない気持ちもありつつ、福ちゃんのグッズがほしいというニーズがあるのであれば、それを作り、その対価として利益を得るのは商売の仕組みです。今回はポストカードというものをお金と交換するわけですが、そこには感謝のやりとりが生じ、物が残ります。しかもポストカードを書いて誰かに送ってくれたら、それを受け取った人も福ちゃんについて知ってもらえるのです。僕たちの間の感謝の交換のみならず、外の世界の誰かにも届く可能性を秘めているのです。我ながらポストカードは良いグッズだと思います。
結果的に、100名を超える方々がポストカードを購入してくれました。2組、3組とまとめて購入してくれる方もいれば、何と10組の大口購入もありました。やってみて分かったのは、無料プレゼントしたキーホルダーやマグネットには応募しなかった人も多く購入してくれているということです。無料でもらうのは気が引けるけれど、こうしたフェアトレードであれば気持ちを伝えやすいという方も多いのでしょう。もちろん、どちらにも応募・購入してくださっている方もいますし、無料プレゼントならばという方もいるかもしれませんが、有料の方がより多くの方々に届けられたのは新しい発見でした。金額にもよるでしょうが、僕たちは何かをしてもらうばかりではなく、何かをしてあげたい生き物なのだと思います。そうした無償の愛に囲まれて、僕たちは生きているのです。
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