下村獣医師から、ダートムーアとスパツィアーレの動画が送られてきました。僕が足を骨折したばかりに、もうかれこれ3か月も彼らに会いに行けておらず、代わりに下村さんが様子を見に行ってくれたのです。僕はまるで単身赴任先で会えない子どもの動画を観る父親のように、スマホの画面に食らいつきました。ちなみに、下村獣医師のことを僕たちは...
治郎丸敬之
「ROUNDERS」編集長。単なる馬券検討ではなく、競馬の持つ様々な魅力を広く伝えていきます。好きな馬はヒシアマゾン、ブラックホーク。敬愛するジョッキーは野平祐二、安藤勝己騎手。週刊Gallopにて「超・馬券のヒント」、一口馬主DB、キャロットクラブ会報誌にて連載中。著書に「馬体は語る」、「馬券は語る」(主婦の友社)
治郎丸敬之の記事一覧
翌朝、ふさぎ込んでいた気持ちは昨日よりはましになったものの、希望半分、落胆半分という気分です。まずは碧雲牧場まで行って、実際に片目の彼女に会い、ダートムーアにお疲れさまと伝え、牧場の皆さんや下村獣医師と話し合おう。話はそれからだと気持ちを奮い立たせ、羽田空港まで向かいました。新横浜駅からバスに乗り、高速に入ってしばらく...
僕の気持ちを察したのか、スパツィアーレは今回も受胎しなかったようです。「治郎丸さん、すいません。またダメでした…」と慈さんは、自分が悪いわけではないのに、恐縮して電話をかけてきてくれました。むしろ4回もスパツィアーレを連れてスタリオンまで行ってくれて、無駄足に終わってしまい、こちらが申し訳ない気持ちです。受胎しないこと...
「無事に女の子が産まれたのですが、目の病気のようで、左目が見えません」 想定外の言葉に、僕は言葉を失いました。獣医にも診察してもったところ、小眼球症という病気で、眼球が普通よりも小さく、光に対する反射がないとのこと。涙は普通に出ているようですが、光が見えていない。左目が失明した状態です。そして何よりも僕たちにとって残酷...
僕は「週刊Gallop」に「超・馬券のヒント」というコラムを連載しています。ヒントになったり、ならなかったりしながら、かれこれ9年間にわたって続けてきました。単なる馬券予想ではなく、競馬の奥深さや物語を伝えられたらいいなと思い、毎週2000文字を書き連ねてきたのです。Gallop編集部から「連載は終わりにします」と言わ...
2023年の千葉サラブレッドセールは参加するつもりが一切なく、開催されることすら前日に知りました。その程度の認識ですから、どのような馬たちが上場されるのか知らず、当日もライブ映像を見ることなく過ごしました。昨年の千葉セリからは、スプリングステークスの勝ち馬であるべラジオオペラが出ていますので、今年も活況が予測されます。...
碧雲牧場の慈さんからコールバックがあるまでの30分間、僕はあらゆる悪い状況を想定しました。思いつく限り並べてみると、①ダートムーアかスパツィアーレのどちらかが病気になった、もしくは怪我をした(最悪死んでしまった)、②ダートムーアの娘かスパツィアーレの息子のどちらかが病気になった、もしくは怪我をした(最悪死んでしまった)...
翌日、整形外科に行ってレントゲン撮影をしてみると、やはり足の骨が折れていました。あのときに聞いた、パキっ! という音は幻聴ではなかったと妙に安心しつつ、生まれて初めての骨折に心の底ではショックを受けてしまいました。小さい頃は捻挫しても大したことにならなかったのに、まさか骨折するまでとは…。 人生の悲哀を浮かべた僕の表情...
「スパツィアーレは受胎していませんでした」 碧雲牧場の慈さんからそう告げられました。文字だけを見ると、無慈悲に感じられるかもしれませんが、サラブレッドの生産においてはよくあること。もちろん、一発、いや一回で受胎するに越したことはありませんが、子どもは神様からの授かりものであることは馬も同じですから、いくらタイミングを見...
慈さんがとねっ子を、優駿スタリオンステーションのスタッフの方がスパツィアーレを、馬運車から引いて来ました。直接種付け場に行くのではなく、まずは当て馬が当てられ、きちんと発情があるかどうかを確かめられます。発情が来ていければ、無駄打ちになってしまうからです。普段、無駄打ちばかりしている僕たちと違って(笑)、できる限り互い...
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