「障害レース、かっこいい!」「馬って飛ぶんだね!」 初めて障害レースを観戦した競馬ファンが、1レースですっかりその虜になっている――そんな光景を目にするのは少なくない。こと最近、そのような機会が増えているようにも感じる。 前回の記事では障害馬や障害騎手の貢献を綴ったが、今回はその世界に魅了された障害ファンと、障害界を盛...
川井 旭
神奈川県横浜市出身。
薬学部卒業後、研究職を経て出版社勤務の傍らライターとして活動中。執筆ジャンルは競馬から芸能まで多岐に渡る。
主に障害競走や馬術に関心があり、モットーは「人馬への敬意」。
川井 旭の記事一覧
昨今、競馬ファンによる障害レースへの関心が高まっている── ふと、そう感じた。 2016年・最優秀障害馬には満票でオジュウチョウサンが選出。また平地・障害両方での活躍が認められ、熊沢騎手が特別賞を授賞した。 さらにはイベント等でも同馬のグッズが作られたり、ニュースやコラムなどでも障害馬や障害騎手が取り上げられる機会が増...
2017年9月16日、阪神ジャンプS。雲が晴れた瞬間だった。陣営が、ファンが待ち望んでいた瞬間だった。そしてその太陽は、いつにも増して沢山の人々の笑顔に囲まれていた。 人に笑顔をもたらす競走馬。馬と人を、人と人を、固い絆で結ぶ競走馬。 それが、障害王者アップトゥデイトだ。 彼を愛する陣営とファンでウィナーズサークルが沸...
その蹄跡をもって、ホースマンたちの道標となった名ジャンパーがいた。平地・障害の垣根を越え、今もなお、未だ見ぬ景色へ人々を導く名ジャンパーがいた。 2013年11月30日、名馬は空へと旅立った。しかし、彼の輝きが色褪せる事は決してない。その名馬は、名をマジェスティバイオといった。 2011年4月2日。 マジェスティバイオ...
2006年5月28日、日本ダービー当日。1頭の3歳馬が東京競馬場のゴールを先頭で駈け抜けた。彼は、その素質に大きな期待をかけられた競走馬であった。 彼が勝ったのはダービーではなく、東京5Rの500万下だ。しかし後に競馬ファンは知る事となる。その素質馬が秘めた可能性を。2006年ダービーデーの、もう一つの物語を。 その競...
今から30年ほど前、ライバコウハクという1頭の競走馬が障害界を席巻していた。 1986年の中山大障害・春(現在の中山グランドジャンプ)での勝利や京都大障害を春秋連覇するなど、大活躍を見せていた名馬である。 しかし運命とは時として残酷なもの。 1987年12月26日、中山大障害。1年前の春に栄華を極めた地で行われるそのレ...
ジャンプの頂点を極めた中山大障害馬が、1頭のやんちゃな馬に戻っていく。のどかな風景の中で愛情を一身に受けた、一見すると平穏な日々。しかしその馬は、永くないであろう余生を過ごしていた。障害王者が強靭な精神力で、生命の限り生き抜いた日々。そこにあったのは「残り僅かな余生を、充実したものにしよう」というスタッフの尽力だった。...
彼はいつも、笑顔に囲まれている。馬と人が、人と人が固い絆で結ばれている。アップトゥデイト。2015年の中山グランドジャンプ・中山大障害を制した、史上初の同年春秋ハードル王である。 芦毛の馬体につぶらな瞳。純真無垢な少年のような愛らしいルックス。まるで観客に愛想を振りまいているかのような仕草。だが、彼のレースぶりは、外見...
一際目を惹く、華麗な飛越。スピードに乗った、軽快な走り。一瞬にして、目を奪われた。一瞬にして、その飛越の虜になった。 障害馬サナシオン。母ジェダイト(=翡翠)の宝石言葉である「癒し」を名に持つ障害競走馬。翡翠は時として武器としても用いられる。彼もまた、飛越すべき障害へ果敢に向かっていく──そんなスピードジャンパーであっ...
2014年、中山大障害。 表彰台に上がる事のなかった1人の障害騎手が、ウィナーズサークルで、優勝馬レッドキングダムに寄り添っていた。自身の騎乗馬が敗れたにも関わらず、引き手を持ち、満面の笑みで鼻面を撫で、まるで自分の事のようにその勝利を喜んで。レッドキングダムを障害馬として育てあげた、西谷誠騎手である。その確かな信頼関...
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語り継がれし「名馬」たち
レース回顧
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