ライバル対決、それは競馬の醍醐味。 - 『ウマ列伝 ライバル達の名勝負』を読んで

ライバル達の名勝負

──あなたにとって、『競馬界のライバル対決』といえば、どのレースでしょうか。

この質問に対し、1つのレースを即答出来る方はなかなかいないと思う。正直、筆者もひとつに絞って回答することは出来ない。

これまでの競馬界の歴史における『ライバルたちの名勝負』がどれも魅力的であり、感動的であり、唯一無二であり、比較することなど出来ないからだ。

名勝負においてライバル関係というものはスパイスのように刺激的で、より味わい深く楽しめるものに高めてくれている。それだけに、ライバル関係というものは、競馬の醍醐味のひとつと言っても過言ではないだろう。

ライバル達の名勝負を1冊にギューッと濃縮した『ウマ列伝 ライバル達の名勝負』が、この度発売された。

画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: 91cCqOMg4L._SL1500_-719x1024.jpg

https://www.eiwa-inc.com/smp/book/b639883.html

5種類のライバル対決

この本においては46組のライバル関係が紹介されている。46組を集めてもなお、惜しくも漏れてしまったライバル関係は多く存在していると思うが、こればかりはキリがなく、企画された方の苦労が想像出来てしまう。

当時を知る競馬コラムニストたちによるその時の雰囲気・空気感が伝わるエッセイと、豪華なオールカラーの写真とともに楽しむことが出来る一冊だ。

さて、その46組のライバル関係だが、おおきく5種類にわけて紹介されている。

2強対決

1つ目は『2強対決』だ。

『タマモクロス対オグリキャップ』芦毛対決や、『メジロマックイーン対トウカイテイオー』の天下分け目の決戦に代表される、名馬2頭のライバル関係が16組取り上げられている。

先日引退したイクイノックスと、今も現役のトップで走り続けているドウデュースのライバル関係も取り上げられ、最近競馬ファンになった方、これからより深く競馬を楽しんでいきたい方も楽しめることは間違いない。

3強対決

2つ目は『3強対決』だ。

『オグリキャップ対スーパークリーク対イナリワン』の"平成三強"や、『ビワハヤヒデ対ウイニングチケット対ナリタタイシン』の"BNW"に代表される三つ巴の戦いが10組紹介されている。

ウマ娘でも描かれていた『スペシャルウィーク対キングヘイロー対セイウンスカイ』、『テイエムオペラオー対アドマイヤベガ対ナリタトップロード』ももちろん紹介されており、ウマ娘ファンにも是非ご覧いただきたい。

三冠馬対決

3つ目は『三冠馬対決』である。

競馬において最高峰の栄誉とも言える『三冠』。

そんな三冠馬たちが時代の巡り合わせで1つのレースに集結する奇跡を『三冠馬対決』として紹介している。

『ミスターシービーVSシンボリルドルフ』、『オルフェーヴルVSジェンティルドンナ』、『アーモンドアイVSコントレイルVSデアリングタクト』と、いずれも贅沢すぎる奇跡の実現であった。

牡牝対決

4つ目は『牡牝対決』である。

女性騎手の活躍が珍しくなくなってきたのはここ数年の話だが、馬の世界では牡馬と牝馬が昔から同じレースで熱いレースを繰り広げてきた。だからこそ生まれた、牡馬と牝馬のライバル関係が紹介されている。

女帝誕生となった『エアグルーヴ対バブルガムフェロー』や、先日、定年にともない解散となった安田隆行厩舎の同厩対決『ロードカナロア対カレンチャン』など、競馬だからこそ実現したとも言える牡牝対決のドラマが6組紹介されている。

牝馬2強対決

5つ目が『牝馬2強対決』である。

牡牝の対決がある一方で、牝馬限定競走があるからこそ存在する"牝馬の世界"におけるライバル関係が10組紹介されている。

その対決も、例えば3歳牝馬路線~エリザベス女王杯で繰り広げられた『アドマイヤグルーヴ対スティルインラブ』もあれば、牡馬の混合レースの舞台に及んでまで牝馬2頭によるライバル対決が繰り広げられた『ウオッカ対ダイワスカーレット』など、激しいオンナ達の戦いの記憶と記憶が集結している。

インタビューなどの企画も盛りだくさん!

先に挙げた46組のライバル対決以外に、同書ではオリジナルの企画も掲載されている。

佐藤哲三さんインタビュー

目玉企画のひとつが、佐藤哲三元騎手へのインタビュー。その中では、騎手から見た"ライバル"について語られている。

例えばタップダンスシチーとともに藤沢和雄厩舎の最強馬2頭を相手にGIで熾烈な戦いを走り抜いた時代について、愛馬との日々やライバル馬についての話はここでしか読めない貴重なエピソードが展開されている。

他にも佐藤哲三元騎手が騎乗した名馬とライバルの話がとてもリアルで、ライバル対決を体感することが出来る。

架空のライバル対決

2つ目は『架空対決』である。

誰もが想像したことある、あの馬とあの馬はどちらが強いのか──。

同書ではそんな架空の対決についても、独自の視点で語られている。

答えが出ない答えをぜひ想像しながら楽しんでいただきたい。

さいごに

さて、今回紹介した『ウマ列伝 ライバル達の名勝負』ですが、筆者も一部の記事をお手伝いさせていただきました。

個人的な話になりますが、いわゆる書籍に文章を寄稿することは、これが初めてのことです。拙い文章で、携わっていただいた方には色々とお手間をかけてしまったかもしれませんが、校正と素晴らしい写真が添えられることにより、なんとか完成に至ることが出来たことを感謝します。

この記事では、あえて読者目線で書籍を読ませていただき、改めて競馬におけるライバル対決の面白さ、奥深さを味あわせていただきつつ書かせていただきました。

中身を書いてしまうとネタバレになってしまうので、内容は紹介程度に留まらせていただきましたが、ぜひとも『ウマ列伝 ライバル達の名勝負』購入時の参考にしていただき、お手に取っていただく後押しになればと思います。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

写真:かず、かぼす、Horse Memorys


昭和から平成、そして令和における「競馬界のライバル」を写真とともに46例掲載した一冊、『ウマ列伝 ライバル達の名勝負』。

画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: 91cCqOMg4L._SL1500_-719x1024.jpg
製品名ウマ列伝 ライバル達の名勝負
価格定価:1,250円(税別)
ISBNISBN-10 ‏ : ‎ 4867303348、ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4867303344
判型ムック本(21 x 0.9 x 29.7 cm)
ページ数112ページ
出版社英和出版社



目次

Part I 2強対決
オグリキャップVSタマモクロス
トウカイテイオーVSメジロマックイーン
ミホノブルボンVSライスシャワー
ナリタブライアンVSマヤノトップガン
テイエムオペラオーVSメイショウドトウ
アグネスフライトVSエアシャカール
ネオユニヴァースVSゼンノロブロイ
グラスワンダーVSスペシャルウィーク
キズナVSエピファネイア
ドゥラメンテVSキタサンブラック
イクイノックスVSドウデュース
コパノリッキーVSホッコータルマエ
オジュウチョウサンVSアップトゥデイト

Part II 3強対決
オグリキャップVSスーパークリークVSイナリワン
アイネスフウジンVSメジロライアンVSハクタイセイ
ビワハヤヒデVSウイニングチケットVSナリタタイシン
スペシャルウィークVSキングヘイローVSセイウンスカイ
サイレンススズカVSエルコンドルパサーVSグラスワンダー
サクラローレルVSマヤノトップガンVSマーべラスサンデー
テイエムオペラオーVSアドマイヤベガVSナリタトップロード
ロジユニヴァースVSリーチザクラウンVSアンライバルド
アグネスタキオンVSクロフネVSジャングルポケット
エフフォーリアVSコントレイルVSグランアレグリア

Part III 三冠馬対決
ミスターシービーVSシンボリルドルフ
オルフェーヴルVSジェンティルドンナ
アーモンドアイVSコントレイルVSデアリングタクト

Part IV 牡牝対決
エアグルーヴVSバブルガムフェロー
フラワーパークVSエイシンワシントン
ロードカナロアVSカレンチャン
アーモンドアイVSダノンプレミアム
ジェンティルドンナVSゴールドシップ
イクイノックスVSリバティアイランド

Part V 牝馬2強対決
メジロドーベルVSキョウエイマーチ
メジロドーベルVSエアグルーヴ
スティルインラブVSアドマイヤグルーヴ
ウオッカVSダイワスカーレット
アパパネVSブエナビスタ
ハープスターVSレッドリヴェール
ジェンティルドンナVSヴィルシーナ
ブエナビスタVSレッドディザイア
アーモンドアイVSグランアレグリア
ソダシVSサトノレイナス

あなたにおすすめの記事