[2024年新種牡馬特集]サートゥルナーリア、アドマイヤマーズ、フィエールマン、ウインブライト。今年初年度を迎える、現役時代マイル~長距離で活躍した新種牡馬たち

2023年のJRA2歳馬リーディングはキズナが1位、エピファネイアが2位となった一方で新種牡馬スワーヴリチャードがモーリスやロードカナロアを抑えて3位となりました。この他にもブリックスアンドモルタルが9位、ニューイヤーズデイが10位に入るなど2023年に産駒がデビューした新種牡馬の活躍が目立ちます。

2024年に入ってからもスワーヴリチャード産駒のアドマイヤベルがフローラステークスを制し、アルアイン産駒のコスモキュランダが弥生賞ディープインパクト記念を制して皐月賞でも2着に入るなど新種牡馬の勢いが衰えませんでした。

2024年~2025年のペーパーオーナーゲーム(以下:POGと略)で大きなポイントは、種牡馬を引退したハーツクライの産駒が1頭もいない事です。またダイワメジャーがプライベート種牡馬となり、血統登録された産駒数が35頭と前年の69頭より大きく減らしています。この辺はPOGの戦略を練る上でも大きな影響がありそうです。

2024年に初年度産駒を競馬場に送り込む種牡馬の中にはスワーヴリチャードの様にブレイクする種牡馬はいるのでしょうか?

今回は競走馬時代に芝のマイルから長距離で活躍した馬から4頭を取り上げます。
なお、セリ市での落札価格は税込の価格とさせていただきます。

サートゥルナーリア

父:ロードカナロア 母:シーザリオ
血統登録された産駒数:142頭

2024年に産駒がデビューする新種牡馬の中で最も注目が集まる馬が、2019年の皐月賞などを制したサートゥルナーリアではないでしょうか。

サートゥルナーリアはキャロットクラブの所有馬だったこともあり、今年2歳を迎えるサートゥルナーリア産駒にキャロットクラブの馬は5頭います。注目は母が桜花賞2着のクルミナルの2022(馬名はレイニングを予定 牡 母:クルミナル 美浦:国枝厩舎)でしょうか。半姉のククナがアルテミスステークスなどで2着、半兄のアライバルがスプリングステークスで2着とコンスタントに活躍馬を出しているので、大物が現れてもおかしくはないはずです。

セレクトセールなどのセリ市でも、サートゥルナーリア産駒は高値で取引されています。2022年のセレクトセール当歳馬部門で金子真人オーナーが3億3,000万円で落札したジェゼロ(牡 母:ラルケット 栗東:須貝厩舎)はマイルチャンピオンシップを制したステルヴィオの半弟です。現2歳世代のサートゥルナーリア産駒で落札価格が1億円を超えた馬が6頭いるあたり、サートゥルナーリア産駒の評価の高さが伺えます。

サートゥルナーリアに不安があるとすれば、日本ダービー4着、天皇賞・秋6着と東京競馬場での勝利が無い事です。当時の東京競馬場のG1レースの本馬場入場は地下馬道でダートコースを横切っての入場で、サートゥルナーリア自身もイレ込み気味に入場していたのを思い出します。この辺は父のロードカナロアや兄のエピファネイア達でも見られた気性の強い面が出ているのではないかと思います。

サートゥルナーリア産駒は芝コース向きの傾向にあるでしょう。ただ、キングカメハメハ系の種牡馬ですので、ダートでもある程度は走れることは推測できます。サートゥルナーリア自身が2歳の6月にデビューしたので、2歳の早い時期から走れる馬が出てくるかもしれません。サートゥルナーリアは芝2400mの神戸新聞杯を勝っていますが、マイルから2000m辺りの距離がベストだったはずです。また、前述の通り、気の強い馬が出てきて、スプリント路線の大物が登場する可能性も十分ありそうです。

アドマイヤマーズ

父:ダイワメジャー 母:ヴィアメディチ
血統登録された産駒数:62頭

2019年のNHKマイルカップや香港マイルなどを制したアドマイヤマーズ。ダイワメジャーの後継種牡馬としての期待も高い新種牡馬です。現2歳のアドマイヤマーズ産駒は生まれ故郷のノーザンファーム生産馬が21頭など、社台グループ生産馬が全体の半分近くを占めています。

セレクトセールでは1億円を超えたアドマイヤマーズ産駒が2頭いました。2023年のセレクトセール1歳馬部門でTNレーシングが1億5,950万円で落札したビッキーファースト(牡 母:ポロンナルワ 栗東:武幸四郎厩舎)は、叔母に2016年のオークス馬シンハライトがいる馬。2022年のセレクトセールで藤田晋オーナーが1億5,950万円で落札したバニーラビット(牡 母:トレジャリング 栗東:武幸四郎厩舎)は、叔母のメロメロ(Melo Melo)が2023年のフランスのG1レース・ヴェルメイユ賞で2着に入った馬です。

初年度種付け料が300万円という事もあって一口馬主でも募集価格の最高値が4,000万円と比較的安価である事も、アドマイヤマーズ産駒の現段階での特徴ではないでしょうか。姉に大阪杯などを制したラッキーライラックがいるライラックスアンドレースの2022(牝 母:ライラックスアンドレース 栗東:松永幹夫厩舎)はサンデーレーシングが総額4,000万円で募集されています。

アドマイヤマーズ産駒も、芝コース向きの馬が多く出てくる傾向にあるでしょう。ダイワメジャーはサカラートなどダートコースを得意とした馬を出していますが、アドマイヤマーズの母系にはヨーロッパで結果を残した種牡馬が揃っているので、ダートはあまり得意ではない可能性があります。

また、アドマイヤマーズ自身は2歳の6月にデビューしているので、早い時期から走る馬が出てくることが見込めます。距離はマイルがベストでしょうが、配合次第によってはスプリントや2000mまではこなせる馬が出ることでしょう。

フィエールマン

父:ディープインパクト 母:リュヌドール
血統登録された産駒数:72頭

天皇賞・春連覇や菊花賞を制したフィエールマン。
フィエールマンの子供も今年デビューします。

生まれ故郷のノーザンファームでの生産馬が16頭いるのが大きな特徴です。ノーザンファーム以外の牧場で目立つのは「テソーロ」の冠号でお馴染みの了徳寺健二オーナーが所有するリョーケンファーム生産馬。こちらも、フィエールマン産駒は9頭と目立っています。一方、社台ファームなどノーザンファーム以外の社台グループの生産馬が1頭もいないのがアドマイヤマーズとは異なった点ではないでしょうか。

長距離で結果を残しているフィエールマン。ただ、敗れはしたものの2020年の天皇賞・秋では上がり3ハロン32秒7の末脚を炸裂してアーモンドアイに迫ったのを見るに、中距離でも活躍馬が出てくるのではないかと想定されます。

セレクトセールで1億円を超えたフィエールマン産駒は2022年のセレクトセール当歳馬部門でダノックスが2億3,100万円で落札したシャンブルドットの2022(牡 母:シャンブルドット 厩舎:未定)。叔母はフランス1000ギニーを制したイルーシヴウェーヴがいる良血馬です。他にも2023年のセレクトセール1歳馬部門で柳橋仁機オーナーが6,820万円で落札したカピオラ(牝 母:ベルアリュールⅡ 栗東:武幸四郎厩舎)。半姉は2017年のヴィクトリアマイルを制したアドマイヤリードなどがいます。

種付け料が200万円という事もあってか、一口クラブでもフィエールマン産駒が多く見られます。シルクホースクラブが総額4,000万円で募集したトレジャーステイトの2022(馬名はビリングスを予定 牡 母:トレジャーステイト 美浦:手塚厩舎)は半兄に毎日杯を制したピースオブエイトがいる良血馬。フィエールマンの現役時代に所属した手塚厩舎には他のフィエールマン産駒もいますので、『手塚厩舎のフィエールマン産駒』には注目です。

フィエールマン産駒も、芝が得意な馬が多く出てくると予想されます。長距離は勿論得意ですが、天皇賞・秋で見せた瞬発力を見ると2000m辺りを得意とする馬が出てもおかしくはありません。フィエールマン自身が3歳の1月デビューと遅かったのを見ると、2歳より3歳、3歳より古馬に大成する産駒が出るのではないでしょうか。

ウインブライト

父:ステイゴールド 母:サマーエタニティ
血統登録された産駒数:66頭

2019年の香港カップなど香港のG1レースを2勝したウインブライト。
ウインブライト産駒も今年デビューします。

引退後はビッグレッドファームで種牡馬入りしたウインブライト。現2歳のウインブライト産駒を見ますと、ビッグレッドファーム生産馬が15頭、ウインブライトが産まれたコスモヴューファームの生産馬が8頭、岡田スタッド生産馬が8頭と、この3牧場だけで合計31頭と目立っています。

ウインブライトと同じウインレーシングクラブの所属馬が8頭と目立っています。ウインレーシングクラブのウインブライト産駒の注目馬は、募集価格が1,500万円だったウインアレース(牡 母:ウインアルテミス 美浦:畠山厩舎)。母のウインアルテミスはこれまで3頭の子供を送り出しましたが、全てJRAのレースで勝利を挙げています。特にウインアグライアは2021年の若駒ステークスなど3勝を挙げる活躍を見せました。

セリ市でのウインブライト産駒で最も高値が付いたのが、2023年の北海道セレクションセールで「テーオー」の冠号でお馴染みの小笹公也オーナーが3,080万円で落札したテーオーミリカン(牡 母:ミッキーパール 栗東:宮厩舎)。叔父には2011年の天皇賞・秋を制したトーセンジョーダンなど活躍馬が多くいます。

ウインブライト産駒も芝の競馬に適した馬が多く出るでしょう。ウインブライト自身は古馬になってから活躍のピークを迎えていますが、2歳の6月にデビュー、3歳時にはスプリングステークスを制するなど、早くからもポテンシャルを見せていました。母馬との配合や牧場での調教過程次第では、2歳の早い時期にデビューする馬が出てくると思います。戦績を見ると、芝1800m~芝2000mで良績を挙げている様に中距離で活躍しそうな馬が出てくると考えられます。中山競馬場で好成績を挙げているので、中山競馬場で活躍する馬が出てくるとファンも盛り上がりそうです。

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