マーメイドステークスってどんなレース?

1996年に行われた牝馬競走体系の整備に伴って新設された、3歳以上の牝馬による重賞競走です。
創設時は別定戦で行われていましたが、2006年よりハンデキャップ戦に変更されました。

マーメイドステークスを制した馬

1997年の覇者エアグルーヴは、その年の天皇賞・秋を制しました。また、娘のアドマイヤグルーヴは2004年に、グルウェイヴは2012年に制し、親子制覇を果たしています。

2006年(この年は京都開催)のこのレースを制したソリッドプラチナム。
大種牡馬ステイゴールドの産駒初重賞タイトルが、ソリッドプラチナムのこのレースでした。

今年の主な出走馬

サラス(牝5 栗東・西村厩舎 54Kg 松若騎手騎乗)

昨年のこのレースを制したサラス。その後は休養に入り、前走・新潟大賞典(15着)からの巻き返しを狙います。

父のオルフェーヴルは牡馬三冠をはじめG1レースを6勝。凱旋門賞でも2着に入りました。種牡馬としても、ラッキーライラック(大阪杯)やエポカドーロ(皐月賞)を送り出しています。母のララアはアメリカのG1レース・スターレットステークス(当時はハリウッドスターレットステークス・ダート約1700m)を制しました。

昨年はパールステークス(3勝クラス)で3着からの出走で、51Kgのハンデを活かしての勝利。しかし、スタート後に窮屈になり後方からの競馬で、3、4コーナーでも馬群の大外を回るロスのあるレース運びをしながらの勝利で、強い競馬を見せました。重賞勝ち馬ですが、ハンデが54Kgとそれほどキツくなく、マーメイドステークス初の連覇が見えてきます。

センテリュオ(牝5 栗東・高野厩舎 55Kg 福永騎手騎乗)

昨年のマーメイドステークスで1番人気に支持されたセンテリュオ(結果は4着)。
その後、エリザベス女王杯で4着に入るなど重賞戦線で活躍しましたが、今回、初の重賞タイトル獲得を目指します。

父はディープインパクト。全兄のトーセンスターダムは日豪で活躍した馬です。日本ではきさらぎ賞など重賞競走を2勝、オーストラリアへ移籍後はオーストラリア競馬シーズン前半を締めくくる重要な競走であるエミレーツステークスなどG1レースを2勝しています。

ポイントとなるのは、重馬場に適性があるのかという点です。
重馬場で行われた1月・愛知杯を振り返ると、中団もしくは先行する競馬を得意としていた馬でしたが、1コーナーを回る際には最後方に置かれるなど、いつものレースぶりではなかったように見受けられました。ストライドの大きい馬ですから、馬場に脚を取られてしまったのが一因でしょう。また、重賞競走を制していないセンテリュオにとってトップハンデの55Kgを背負わされるのも気になります。

しかし、センテリュオにとって心強いのは、デビュー戦以来となる福永祐一騎手とのコンビ。福永騎手は日本ダービー、鳴尾記念と2週連続重賞制覇中です。同じ阪神芝2000mで行われた鳴尾記念での騎乗ぶりを見ると、阪神芝2000mでの勝ち方を熟知した乗り方でした。
福永騎手がどうやってセンテリュオを勝利に導くのかが注目したいところです。

ナルハヤ(牝6 栗東・梅田厩舎 51Kg 藤田騎手騎乗)

過去10年のデータを見ると、前走で3勝クラス(旧1600万下)を走った馬が5勝しています。
さらにこの5頭のうち3頭が、前走パールステークスで惜敗した馬でした。
パールステークスは新型コロナウイルスの影響で今年は従来の京都競馬場から新潟競馬場へとコースは変わりましたが、傾向は変わらないと思います。そこで、浮かび上がるのがパールステークス2着のナルハヤです。

父のサクラプレジデントは、現役競走馬時代、中山記念など重賞競走を3勝をあげています。
種牡馬になってからは京王杯スプリングカップなど重賞3勝をあげたサクラゴスペルを送り出しています。
母のカルナアヴァンセは未出走に終わりましたが、母方の曾祖母トリッキーコードは香港マイルなどG1レース2勝をしたハットトリックの母として知られています。

馬主は俳優の陣内孝則さん。陣内さんが所有した馬は天皇賞・春を制したアドマイヤジュピタの母ジェイズミラクルなどがいますが、重賞競走に出走した馬は1996年の京都4歳特別(現在は廃止)のマイアミプリンス(10着)以来、24年ぶりとなります。

ナルハヤと藤田菜七子騎手とのコンビは、これまで10戦して1勝2着3回3着3回と、手が合っているように見えます。直線に坂がある阪神コースの適性が問われますが、2勝クラスで勝っています(この時は浜中騎手騎乗)し、レースの展開を占う意味ではナルハヤの動向にも注意が必要です。

なお、前走パールステークス組からはリンディーポップ(牝5 美浦・金成厩舎 50Kg 藤懸騎手騎乗)、9着のパルクデラモール(牝5 美浦・鹿戸厩舎 50Kg 川又騎手騎乗)、12着のマルシュロレーヌ(牝4 栗東・矢作厩舎 50Kg 高倉騎手騎乗)が出走します。これらの馬にも注意が必要でしょう。

エアジーン(牝4 美浦・堀厩舎 52Kg 川田騎手騎乗)

3勝クラスの馬で注目したい馬がもう1頭います。抽選で出走権を獲得したエアジーンです。

父のハービンジャーはイギリスのG1レース・キングジョージ6世&クイーンエリザベスステークス(芝約2400m)を制覇。子供には有馬記念を制したブラストワンピース、秋華賞、イギリスのG1レースナッソーステークスを制したディアドラがいます。母のラスティングソングは未勝利に終わりましたが、祖母のハルーワソングの子供は新潟記念を制したマーティンボロやラジオNIKKEI賞を制したフレールジャックがいます。さらにハルーワソングの娘のハルーワスウィートの子供にはヴィクトリアマイル連覇したヴィルシーナ、ドバイターフなどG1レース2勝をあげたヴィブロス、ジャパンカップを制したシュヴァルグランがいます。

エアジーンは3勝クラスを2戦していますが、それだけでなく、戦ってきたメンバーが後に活躍している点にも注目です。
3月のスピカステークスでは2着となりましたが、勝ったワイプティアーズは都大路ステークスで4着と健闘。3着のレッドサイオンは3勝クラスの春興ステークスを制覇。4月の湾岸ステークスでは3着となりましたが、勝ったキングオブコージは目黒記念(G2)を制覇。5着のゴールドギアも目黒記念で5着に入るなど、戦ってきたメンバーがオープンクラスでも互角の勝負をしています。
牡馬相手に善戦しているエアジーンなので、52Kgのハンデで牝馬相手に出走できるのは恵まれた条件になります。川田騎手が減量してこのレースに臨む辺り、陣営の本気度が伺えます。

その他では、3勝クラスの烏丸ステークスを制したミスマンマミーア(牝5 栗東・寺島厩舎 53Kg 小崎騎手騎乗)、福島牝馬ステークス2着のリープフラウミルヒ(牝5 美浦・相沢厩舎 54Kg 国分優騎手騎乗)、中山牝馬ステークス2着のリュヌルージュ(牝5 栗東・斉藤崇厩舎 53Kg 団野騎手騎乗)、愛知杯3着のレイホ―ロマンス(牝7 栗東・橋田厩舎 52Kg 鮫島克駿騎手騎乗)が出走します。また、今年デビューした泉谷楓真騎手はオスカールビー(牝5 栗東・矢作厩舎 49Kg)で初めて重賞競走に騎乗します。

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