[愛知杯]マリアエレーナ、アートハウス、アンドヴァラナウト…歴代屈指の好メンバーが難解ハンデ戦に集結! - 重賞プレビュー

年明けの開催が終わって今週から通常の開催になる中央競馬。小倉開催も始まって3場開催になりました。改めて競馬を楽しんでいきましょう。

今回は14日土曜日に行われる愛知杯についてお話していこうと思います。

愛知杯はレアな条件が重なって難解な重賞に?

愛知杯は、1月の中京開催における、古馬牝馬のハンデ重賞(芝2000M)です。元々、古牝馬における芝2000M以上の重賞のレースは少なく、G1のエリザベス女王杯と、G3の愛知杯とマーメイドSしかありません。それに対して1400M~1800Mの重賞は8つと、数の違いからして差は歴然です。

そして愛知杯においては1800M以下の牝馬重賞で好成績を挙げてきた馬達は苦戦傾向にあり、逆にその距離ではやや切れ不足だったような馬たちが穴をあけたりしています。

そもそも、牡馬と互角以上に戦える中距離牝馬は2月の京都記念や、3月の中山記念を経てドバイなどの海外のレースを選択する馬が多い傾向にあります。もしG3のハンデ重賞である愛知杯に出走すると斤量も重くなってしまいますし、次のレースに向けてはレース間隔も中途半端な時期と言えます。

そうした背景から、愛知杯はG1・重賞クラスでは苦戦気味の馬たちが斤量差を生かして勝利を掴みたい、というレースになっています。今年の愛知杯での斤量差は6.5キロ。馬の状態を加味した能力比較をするのは非常に難しいレースと言えるでしょう。

難解なレースを解く鍵は馬場状態と進路取りにあり?

レースの開催条件だけでもレースの難解さが見て取れますが、さらに厄介なのが今の中京の馬場状態です。

8日に行われたシンザン記念では少頭数ながらも各馬がばらけて進み、直線では内を空けて進む各馬が多い中でライトクオンタムが外から豪快に差し切りました。他のレースでも直線で内を空けて進む馬が多くいましたが、考えてみれば昨年の12月の開催(3週間)があったので、芝にはそれなりのダメージが蓄積されていてもおかしくはありません。天候次第では、さらに馬場コンディションがかなり悪化する可能性が高くなっています。渋った馬場適性と騎手の馬場コンディションの判断、進路取りも勝敗を大きく左右する要因になりそうです。

今年の愛知杯出走馬は例年よりもハイレベル?

そんな愛知杯ですが、今年は混合G3レベルでも好勝負できるほどの実力をもった牝馬が揃った印象です。そんな有力馬達を紹介していきましょう。

注目を集めるのは、マリアエレーナです。

2走前の小倉記念では牡馬を相手に2着に5馬身と圧倒的な差をつけての勝利。加えて3着に負かしたジェラルディーナはエリザベス女王杯を制し、有馬記念でも3着に入ったことで大ブレイクを果たしました。

前走では牡馬の一線級が集まるG1天皇賞秋に出走し、7着と健闘。昨年の愛知杯も2着でしたので、コース適性は証明済みですし、何よりここ数戦の地力強化が著しいと言えます。56.5キロとはいえ、牝馬同士のG3なら力上位と言える馬なのは間違いありません。

明け4歳馬で注目なのが、アートハウスです。

騎乗する川田騎手が、母のパールコードでG1を取れなかった事から、オークス・秋華賞で同馬とのコンビを選んだというエピソードは有名です。

残念ながら3歳でG1を勝つことはできませんでしたが、愛知杯と同じ中京芝2000MのローズSでの勝ちっぷりを考えるなら、牝馬同士のレースであれば力が上という印象でした。そして55キロの斤量は、やや恵まれた印象です。

改めてG1取りを目指すためにも、ここは負けられない一戦です。

牝馬同士の戦いという点では、アンドヴァラナウトにも注目です。

昨年の秋華賞3着の後は、G1でこそ結果は出せませんでしたが、阪神牝馬Sでは2着、府中牝馬Sでは3着と、牝馬重賞で安定した力を見せています。

さらに、一番の魅力は血統面。母グルヴェイグはダイナカール、エアグルーヴと続いてきた名牝の血統です。先週のシンザン記念では半弟のクファシルが悔しい結果に終わりましたが、同じ池添学厩舎のお姉さんがリベンジ! というのもロマンが感じられます。

この馬自身も、昨年の愛知杯では1番人気ながら敗れてしまったので、そういう意味でもリベンジに力が入ることは間違いありません。

中京芝2000Mでは21年のローズSで勝っていますのでコース適性はあるはずで、あとは56キロの斤量と馬場適性がどうか…というところでしょうか。

馬場状態によって混戦ムードが漂うほど注目されるのが、昨年の勝ち馬のルビーカサブランカと武豊騎手でしょう。

昨年は空いた内をスパッと抜ける好騎乗での勝利でしたが、昨年と同様に内を空けて進む馬が多くなりそうな今年も同様に最内を抜けて来る可能性はあります。今年に入ってからの武豊騎手は中京競馬場の馬場をより一層深く把握したような乗り方をしているように感じられます。

雨で馬場状態が読みにくくなればなるほどレジェンドの判断と手腕が冴えるのではないでしょうか。今年は55キロと斤量が増えますが、前走は牡馬といるチャレンジカップで2着。12月、1月は6戦して4勝2着2回とこの時期が得意ですし、今年もあっと言わせる可能性たっぷりです。

まだ底を見せていないという点では、連勝中のルージュエヴァイユも注目です。

この馬の魅力は、直線での素晴らしい瞬発力。

前走のユートピアSでは、残り200Mを切っても前との差は3馬身ほどありましたが、そこから急追してゴール前で差し切りました。上り3ハロンは32秒9という究極の数字。

重賞ではまだ結果が出ていませんが、昨年のオークスでは5番人気に推されたほど。長い直線で、大外一気で差し切る可能性も十分です。連勝中の勢いそのままに重賞制覇してしまうかもしれません。

牝馬のハンデ重賞という事で難解な愛知杯ですが、今年のこのレースはこの先も重賞・G1で戦えそうなメンバーが揃ったと言えます。

天気や斤量差で人気馬が総崩れという可能性も大いにあるので、非常に悩ましいレースになるのは間違いないでしょう。

この記事が皆さんの参考になれば幸いです。

写真:だしまき、かぼす、shin 1

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