[青葉賞]キタサンブラック産駒の大物候補スキルヴィングら豪華メンバーが揃ったダービー前哨戦。 - 重賞プレビュー

ダービーと同じコースのダービートライアル。
大舞台への出走権は誰の手に?

29日土曜の東京メインは、ダービーTRの青葉賞が行われます。
このレースと5月6日の京都新聞杯が終われば、いよいよダービーに出走する馬がほぼ決まりと言えます。

ダービーを勝つことを夢見て、まずは晴れの舞台に出走するための激しい戦いです。
青葉賞は、長めの距離に適性がありつつもなかなか適鞍に恵まれなかった馬や、成長がやや遅めで3歳春に急成長した馬などが集う傾向にあります。
今年は、まだキャリアの少ない馬が多い出走メンバーになりました。
各馬がどういう馬か、という能力把握は必須といえるでしょう。

先週から開催の東京の馬場はどうか?

東京開催は先週からスタート。
例年の春の東京開催は2か月間の開催と、長めの開催となります。
今年は4月22から、6月25日の宝塚記念週までの10週間の開催になるので、その期間の使用に耐えうるように、かなり良好な馬場状態で行われることが想定されます。

今年も例年通り、高速馬場での開催に。ただ、通常の開幕週はそれほど内有利ではなく外からの差しも決まるものですが、今年は明らかに内有利の馬場でした。青葉賞も、先週と同様に内有利の高速馬場と考えるべきではないでしょうか。

若葉S、ゆりかもめ賞を振り返る。

上述の通り、今年の青葉賞はキャリアが少ない馬が多いメンバーが集まりました。
重賞好走馬も少なく、まだどんな馬か判断のつきにくい馬が中心となりそうです。

そこで、有力馬が多く出走していたレースを2つ取り挙げて簡単に回顧を行うことで、どんなレースになりそうか?という推測をしていきたいと思います。

若葉S (3月18日 3歳リステッド 阪神芝2000M)

勝ちタイム:2分02秒7(やや重)3着:ティムール、4着:ハーツコンチェルト、5着:マイネルエンペラー

前半1000M:1分4秒0、後半1000M:58秒7

やや重馬場とはいえ、前半1000M通過が1分0秒4とかなりスロー。
残り800Mからペースが上がって、残り600Mからの3ハロンが34秒2といういわゆるスローからのヨーイドンの競馬となります。逃げたラスハンメルが2着に残る前残り展開で、勝ち馬も道中2番手で進んだショウナンバシットでした。

3,4,5着は少し離れての競り合いに。
上り3ハロン最速だったティムールが競り勝ち3着を確保。
1番人気のハーツコンチェルトは4着、3番人気のマイネルエンペラーは5着でした。

ゆりかもめ賞 (2月5日 3歳1勝クラス 東京芝2400M)

勝ちタイム:2分24秒8(良)1着:スキルヴィング、2着:サヴォーナ 

前半1000M:1分00秒0、上り4ハロン:47秒4、3ハロン:35秒2

逃げたフォーサイドナインと2番手のウェイビーが3番手以降を離す展開になり、前半1000M通過は1分00秒0と2400Mのレースとしては速い流れとなりました。

そこからもペースを落とさずに逃げて、残り400Mまで粘っていましたが、残り400Mで後続に追いつかれてそこからは各馬が横に広がっての競り合いに。残り200Mで1番人気のスキルヴィングが抜け出して2着に3馬身差をつける完勝。

2着は馬群の真ん中から伸びてきたサヴォーナ、そこから1馬身差離れた3着が葉牡丹賞3着のミヤビ、6着が後の若葉Sで2着のラスハンメル。

スキルヴィングの強さが目立ったレースでした。

青葉賞 注目馬紹介

スキルヴィング - 圧勝劇だった前走。キタサンブラック産駒の有力馬がまた1頭。

上でゆりかもめ賞を取り挙げましたが、その勝ち馬であるスキルヴィングは当然ながら注目が集まります。

スタートでは出遅れて道中は後方からの競馬になりましたが、直線では外から長くいい脚を使って突き抜けました。ここでは能力が完全に上だったという事でしょう。

ゆりかもめ賞の6着が、若葉Sで2着のラスハンメル。若葉S組に対しても能力上位なのではないでしょうか。
トライアルレースらしくペースが流れても、長く良い脚を使えることは確かなので、自分の走りができれば勝ち負けでしょう。キタサンブラック産駒の大物がまた1頭出てくることに期待が高まります。

サヴォーナ - 2400Mのスペシャリストとなって今度は逆転を狙う。

ゆりかもめ賞で2着のサヴォーナも注目の1頭です。

ゆりかもめ賞では勝ったスキルヴィングに完敗でしたが、その後、ゆきやなぎ賞・アザレア賞と2400Mのレースを使ってきました。ゆきやなぎ賞はハナ差の2着でしたが、アザレア賞では勝利。その2戦はいずれも上がり最速と、2400Mの距離で切れ味が出てきたと言っていいでしょう。

2400Mでの安定感も出てた今なら、スキルヴィングとの差も縮まっているかもしれません。
京成杯4着の実績からもここでは力上位。改めて重賞での走りに注目です。

ハーツコンチェルト - 東スポ杯1番人気の素質は伊達ではない。

若葉S組からの注目馬はハーツコンチェルトです。

新馬戦での8馬身差の圧勝から、2歳馬の登竜門として有力馬が集う東スポ杯で1番人気に推されましたが、出遅れなどもあって3着に敗れてしまいます。続くホープフルSでも7着、年明けの若葉Sで後方から追い込むも4着と、素質が発揮されていない印象を受けます。

それでも新馬戦での圧勝劇や東スポ杯での走りから、重賞級の力があるのは間違いありません。
新馬戦と同じ左回りで距離を伸ばした今回は、力を発揮できる可能性は十分にあります。
本来なら皐月賞でも上位候補になっていたはずの馬です。自身の力を出せたら、ここでも勝ち負けでしょう。

マイネルエンペラー - 長距離ならばゴールドシップ産駒から。近親にはユーバーレーベン。

長距離レースならば、ステイゴールド一族、特にゴールドシップ産駒に注目でしょう。
このレースでも、マイネルエンペラーに期待が集まります。

若葉Sでは5着でしたが、スタートで出遅れて、スローの瞬発力勝負になってしまったため、展開が向かなかったことによるものです。こういうところも「ゴールドシップ産駒らしいなぁ」と思いますが、スタミナをいかせる持続力勝負や消耗戦になれば、上位を狙える資質を持っているのも事実でしょう。

今回はダービーへのトライアルという事ですし、内が有利な高速馬場ということを考えれば、道中スローペースで流れて残り600Mでヨーイドンの競馬になる可能性は低いと見ています。ある程度ペースが流れて、最後は底力勝負になれば浮上する可能性もあるはずです。

2走前の中京3歳1勝クラス芝2200Mでは、後に若葉Sを勝つショウナンバシットの2着に入っていますので、左回りの方が向いていると見ていいでしょう。積極的に先行して粘り込む競馬を期待したいですね。

グランヴィノス - 姉にヴィルシーナ、兄にシュヴァルグランがいる良血。血統の潜在能力はトップクラス。

血統的な魅力という点では、グランヴィノスも注目です。
姉にヴィルシーナ、兄にシュヴァルグラン、オーナーは大魔神こと佐々木主浩オーナーと、血統の実績・知名度では文句なしのG1級とも言える同馬。加えて父は、勢いが止まらないキタサンブラックですから競馬ファンからの期待は相当なものがあります。

新馬戦では上り3ハロン33秒8の切れを見せての快勝。
大きな期待がかかりましたが、続く京都2歳Sでは6着に敗れてしまいました。明確な敗因が不明なだけに残念な結果と言えます。今回は大型馬の休養明けでどのくらい上積みがあるか判断がつきませんが、血統的な底力とスタミナのある馬を育てることに定評のある友道厩舎の底力に期待したいところです。

兄のシュヴァルグランは東京芝2400Mのジャパンカップを勝っていますが、同じコースのダービーは未出走。
それだけにグランヴィノスのダービー出走への想いは強いのではないでしょうか。
鞍上にレーン騎手を迎えて、舞台は整いました。あとはその潜在能力がどのくらい発揮できるか、というところです。

ヨリマル - 『青葉賞は大寒桜賞の上位馬を狙え』の、この1頭。

青葉賞については近年では『青葉賞は大寒桜賞の上位馬を狙え』と囁かれています。
大寒桜賞とは高松宮記念週の中京で行われる3歳1勝クラスの芝2200Mのレースです。
このレースで上位に入った馬が次走の青葉賞で好走することが多くなっているのです。

15年の勝ち馬タンタアレグリアや16年の勝ち馬のレッドランメルトは続く青葉賞で2着、17年の勝ち馬アドマイヤウイナーは青葉賞3着、そして19年の勝ち馬リオンリオンは青葉賞勝ちと関連性の高いレースになっています。昨年の大寒桜賞も、3着のフェーングロッテンが後にラジオNIKKEI賞を制していますので出世レースとも言える大寒桜賞。引き続き、今年の勝ち馬ヨリマルも注目と言えるでしょう。

レースでは不良馬場の中、道中3番手を追走して馬場の真ん中を通って早め先頭に立ち、そのまま押し切りました。かなり馬場が悪い状態でのレースだったので、道中はかなりスローペースで流れて上り3ハロンだけのレースになりましたが、馬場適性の高さと豊富なスタミナをいかした勝ちっぷりでした。

ちなみに、大寒桜賞2着のシルバーティムールは続く山藤賞(3歳1勝クラス 中山芝2000M)で2着でしたので、ヨリマルは1勝クラスなら力上位だったと言えそうです。青葉賞はおそらく高速馬場の良馬場で行われるので全然馬場が違いますが、スタミナと底力が問われる展開になれば互角以上に勝負できるのではないでしょうか。

この他にも、弥生賞ディープインパクト記念で4着のアームブランシュ、若葉Sで3着のティムールなどもいてメンバーが揃った青葉賞。ダービーへの出走権を目指して有力馬が集まってきたと言えるのではないでしょうか。激しい出走権争いを見て、いよいよダービーの期待が高まりますし、翌日の天皇賞春から始まる春のG1レース6連戦へ向けてワクワクする気持ちにもなれるのではないでしょうか。この記事が皆さんの参考になれば幸いです。

写真:かぼす

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