[平安S]改修後初の京都ダート重賞。前走で9馬身差勝利を収めたグロリアムンディらが集結。 - 重賞プレビュー

改修後初の京都ダート重賞に実力馬が終結

20日の京都メインはダート重賞の平安Sが行われます。改修後の京都競馬場での初めてのダート重賞ということで、より一層の注目が集まります。6月28日の帝王賞を見据えてか、過去には多数の実績馬が出走しています。過去3年だけでも、オメガパヒューム、ゴールドドリーム、マルシュロレーヌ、テーオーケインズ、メイショウハリオといったG1馬が出走していることから、注目度の高いレースと言えます。コース自体は変わっていませんが、新しくなった京都のダートコースでどんなレースを見せてくれるのか注目です。

今年の平安Sの見どころ

今年の平安Sは現時点で帝王賞へ向かうと表明している馬はいませんが、昨年の帝王賞を勝ったテーオーケインズが『状態がよければ』という条件付きで帝王賞への参戦を表明しています。昨年ほど体調が万全でない場合や回避した場合は、このレースの成績上位馬が出走に向かうかもしれません。また、今後のために賞金を加算したい馬が集まったメンバー構成となっています。1900Mという長めの距離で底力が問われる一戦になるのではないでしょうか。

実績的には昨年末の東京大賞典で2着だったノットゥルノが上位ですが、59キロの斤量や結果が出ていない中央競馬のダートでどんな走りを見せるのかのいう疑問符が残ります。同馬に対してハギノアレグリアス、グロリアムンディ、ヴァンヤールといった重賞制覇まであと一歩といった馬たちがどう挑んでいくのか、という構図になるでしょう。斤量差からくる能力比較やダート適性の差がどう出るのか判断が難しいレースと言えます。

また、馬場状態も気になります。先週の京都は雨の影響で重馬場での開催でしたが時計がかかるダートでした。水はけがよくなったためか、雨が降っても時計がかかるダートというのが今の京都のダートの傾向なのかもしれません。その点は覚えておきたいですね。

平安S 注目馬紹介

グロリアムンディ - 前走は圧巻の9馬身差勝利。長距離ダートなら互角以上に戦える。

前走のダイオライト記念では、9馬身差の圧勝劇を見せたグロリアムンディ。揉まれてしまうと脆さを見せる同馬は、2走前のチャンピオンズカップでは1番枠でどうしようもなく12着と大敗しています。前走のダイオライト記念も1番枠でどうかと思われましたがレースの後半から最内を通って上がっていき、直線では後続を突き離しました。

少しばらけた馬群ではありましたが、控えて後方から進み、ラストは最内から一気に上がっていくという競馬ぶりは、レベルが一枚上だと感じさせます。今回もスムーズに走れさえすれば、勝ち負けできる存在なのではないでしょうか。

ノットゥルノ - 昨年の東京大賞典ではウシュバテソーロの2着。59キロ、中央でも力を見せられるか。

実績的には上位なのが、ノットルノでしょう。JDDで勝ち、現4歳世代のトップに立った同馬。昨年末のチャンピオンズカップでは、スローな流れからペースが一気に上がった時に置かれてしまいました。勝ち馬のジュンライトボルトが近くにいたので力の差が出てしまった印象を与えましたが、もっとペースが流れる方が向くタイプなのも確かです。

前走の川崎記念では道中で接触もあって、ある意味では参考外。2走前の東京大賞典では後に川崎記念、ドバイワールドカップを勝ったウシュバテソーロの2着ですから、力があるのは確かです。今回は59キロ、あまり結果が出ていない中央のダート重賞でハードルは高いですが、メンバー唯一のG1級タイトルを持つ馬として、底力を見せられるでしょうか?

ハギノアレグリアス - ここで賞金を加算したい1頭。管理するのは、京都を得意とした四位調教師。

先に挙げた2頭は能力も実績も十分ではありますが、中央のダートが合うかどうか、という疑問もあります。

京都ダート1900Mという舞台が一番合うと思われるハギノアレグリアスも、注目の1頭です。

近走の安定度はメンバートップと言えるほどで、みやこS・東海Sで2着は中央のダート重賞をいつ勝ってもおかしくない戦績ですし、前走の名古屋大賞典ではケイアイパープルとの競り合いをアタマ差制して勝利と充実ぶりが素晴らしいです。

右回りの1900Mはおそらくベストの条件ですので、レコード勝ちの勢いのまま重賞を制してもおかしくありません。

管理する四位調教師は騎手時代に平安Sを3連覇したこともある縁の深いレース。京都のイメージも強い同氏に、に改修後の京都の重賞を制してほしいと願うファンも多いのではないでしょうか。

メイショウフンジン - 先行有利の京都ダート戦。距離短縮で見直したい1頭。

先週の京都ダートは、全体的に先行馬が有利の傾向。金曜に雨が降っても時計のかかるダートという独特な状態で、見た目以上にタフな馬場だったことが窺えます。今週も傾向自体は大きく変わってこないと見るならば、逃げ・先行馬に妙味があるでしょうから、メイショウフンジンにも注目したいところです。

3走前のアルデバランSで先手が取れるようになって成績が向上した同馬。展開に恵まれた面もあったとはいえOP、リステッドを連勝。2番手からの競馬もできるので、先行しつつ立ち回りの巧さとスタミナをいかすこともできます。

前走のダイオライト記念は若干距離も長かったと印象がありますし、距離短縮は向くでしょう。すんなり先行できればそのまま押し切ってしまう可能性もあるのではないでしょうか。

ロードヴァレンチ - 若武者・永野騎手が見せる積極的な逃げ。このメンバーにどれだけ通用するかに注目。

逃げ・先行馬からもう1頭、ロードヴァレンチにも注目していきます。

3連勝で挑んだマーチSでも積極的に逃げて4着。直線半ばまで粘っていたので、重賞でも戦える力を見せたと言えます。マーチSは雨で不良馬場でのレースだったので『時計のかかるダートでどのくらい走れるか?』『初めての1900Mの距離でどうか?』という面はありますが、アップダウンの多い函館や中山で好走してきた馬ですから、平坦の京都なら距離延長をこなせる可能性もありますし、時計のかかるダートは寧ろ合うかもしれません。

何が何でもハナを切る馬ですのでメイショウフンジンが2番手に控える展開になりそうなのも好都合。結果的に距離が長かったということになるかもしれませんが、積極的なレースを見せてくれるのは間違いないでしょう。

管理するのは現役時代に『逃げ』で競馬ファンに親しまれた中館師。管理する馬にも逃げ切りを期待したくなるものではないでしょうか。

ヴァンヤール - 前走での経験を糧に流れを味方につける。

レースの展開としては、ロードヴァレンチが逃げて、メイショウフンジンが2番手という展開が濃厚でしょう。1900Mの距離とはいえ積極的に先行していくらずです。

先行馬が有利な京都ダートの傾向を踏まえると、速い流れでもある程度位置を取って早めに前を捕まえにいく形ができる馬に展開が向くのではないでしょうか。前走のアンタレスSでその流れを予習しているヴァンヤールに展開が向きそうです。

アンタレスSでは逃げたプロミストウォリアを半馬身差まで追い詰める2着と健闘しました。斤量差がありますが、プロミストウォリアが2着に2馬身差をつけて東海Sを勝っていることを考えれば、能力的には東海Sで2着のハギノアレグリアスと互角に戦えてもおかしくはありません。周りの左右、1900Mという距離に問題がないですし、近走の充実ぶりを考えればここでの好走もありそうです。逃げてしぶとく残る馬に対して、ジリジリと差を詰めて交わし切れるかどうか、というところではないでしょうか。


ダートの大一番・帝王賞に向けて中央馬の前哨戦とも言える平安S。改修後のダート重賞という事で注目されていますが、このレースの後も気になるところです。

また、このレースが京都のダートレースの物差しになるでしょう。地方で実績を挙げた馬か、中央でキャリアを積んできた馬か…という点もあり、見どころの多いレースです。そんな平安Sを楽しむためにこの記事が参考になれば幸いです。

写真:かぼす

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