チャンピオンズカップってどんなレース?

「世界に通用する強い馬作り」を目指すべく、1981年に芝2400mの国際招待競走「ジャパンカップ」が誕生しました。ダート競走においては、1995年に中央競馬・地方競馬相互間の交流が飛躍的に拡大され、ダートグレード競走で活躍した馬がドバイやアメリカのダート競走に挑戦するようになりました。

これにより、ダート競走においても「ジャパンカップ」と並ぶ国際競走を開催しようという機運が高まり、2000年に日本初のダートの国際招待競走「ジャパンカップダート」が東京競馬場・ダート2100mで創設。その後、2008年には舞台を阪神競馬場・ダート1800mに移行しました。

2014年に日本調教馬を中心としたダート最高峰の競走としての位置付けを明確にする観点から、国際招待制を廃止し、馬や関係者の遠征にかかる諸費用をJRAが負担しない国際競走としたうえで、中京競馬場・ダート1800mを舞台に行われる「チャンピオンズカップ」へリニューアルしました。

なお、今年からチャンピオンズカップの優勝馬には来年2月にサウジアラビアで行われるサウジカップへの優先出走権が付与されます。

今年の見どころ

前年覇者・クリソベリル、トランセンド以来の連覇なるか

昨年のこのレースを制したクリソベリル(牡4 栗東・音無厩舎)。
勝てばトランセンド(2010年・2011年)以来の連覇となります。

昨年は無敗を貫いたクリソベリルですが、2月のサウジカップでは7着と初めての黒星を喫しました。
その後、3月のドバイワールドカップに出走を予定していましたが、新型コロナウイルスのためレース自体が中止に。
しかし、帰国後は流れを再度引き寄せて、6月の帝王賞を優勝、前走のJBCクラシックも優勝するなど、国内のダート路線では無敗の戦績を残しています。

JBCクラシックを振り返ると、逃げたダノンファラオの3番手を道中キープ。
4コーナーから抜け出すと、2着のオメガパフュームに0.5秒(2馬身1/2)差を付ける快勝を見せました。ラスト600mのタイムがメンバー中最速の36.8秒と唯一の36秒台をマークした辺り、国内のダート戦線では頭一つ抜けたとみてよいでしょう。騎乗した川田将雅騎手も成長に期待を寄せているようです。

ダート戦線はチャンピオンズカップの他にも12月29日に大井競馬場で行われる東京大賞典(ダート2000m)がありますが、JBCクラシック快勝後、陣営は「年内はチャンピオンズカップのみ」という方針を表明。さらに、早くも来年のサウジカップへの出走を宣言しています。
昨年のチャンピオンズカップの走破時計は1分48秒5と、ダート1800mで行われるようになった2008年以降では最も速いタイムを叩き出すなど、スピード面でも勝っている馬ですから、海外のダートでも活躍できる逸材でしょう。ここは本レースをしっかりと連覇して、サウジカップへの弾みをつけたいところです。

怪物候補生・カフェファラオが、強さを見せられるのか

ここ2年のチャンピオンズカップの傾向として、一昨年はルヴァンスレーヴが、昨年はクリソベリルが制するなど3歳馬の活躍が見られます。
今年も3歳馬からはシリウスステークスを制したカフェファラオ(牡3 美浦・堀厩舎)が出走します。

昨年のデビュー戦を2着に1.6秒(10馬身)差を付ける圧勝を演じたカフェファラオ。
続くヒヤシンスステークスではスタートで出遅れたものの快勝し、さらに3戦目のユニコーンステークスは2着に0.8秒(5馬身)差を付けました。しかし7月のジャパンダートダービーでは初めてのナイター開催での競馬や前の馬が蹴り出した砂をかぶることに嫌気を刺し7着と大敗しています。

前走のシリウスステークスでは中団を追走。
4コーナーでも8番手を追走しましたが、騎乗したルメール騎手がゴーサインを出すと馬もすんなり反応し、そのまま勝利しました。2着のサクラアリュールに0.1秒(3/4馬身)差と着差は僅かでしたが、自身のラスト600mのタイムがメンバー中2位の36.9秒を繰り出しています。
2度の坂越えを経験する中京ダート1900mを勝った点から、同じ中京ダート1800mでも適性を見せると思います。

クリストフ・ルメール騎手とのコンビ続行はこの馬にとって追い風です。JRAのG1レースでは4連勝中(天皇賞・秋、エリザベス女王杯、マイルチャンピオンシップ、ジャパンカップ)のルメール騎手を背に圧巻のパフォーマンスを見せられるのか。楽しみな一頭です。

前哨戦を制したサンライズノヴァ&クリンチャーの存在も侮るなかれ

前哨戦の武蔵野ステークスを制したサンライズノヴァ(牡6 栗東・音無厩舎)とみやこステークスを制したクリンチャー(牡6 栗東・宮本厩舎)の存在も侮れません。

昨年のマイルチャンピオンシップ南部杯を制したサンライズノヴァ。
今年はフェブラリーステークス、かしわ記念を3着と健闘しています。
7月のプロキオンステークスでは出走メンバー中、唯一の59Kgのハンデを背負いましたが、直線一気の追い込みを見せて快勝しました。その後、連覇を狙った南部杯では4着に敗れましたが、前走の武蔵野ステークスでは58Kgのハンデを克服し直線一気の脚を見せています。

今回のポイントは距離が200m延長する事です。
これまではダート1400mからダート1600mのレースをメインに走っていましたが、ダート1800mのレースに出るのは一昨年のチャンピオンズカップ(6着)以来、約2年ぶりの出走となります。
距離延長にどう対応するかですが、陣営は距離延長に自信を持っているようです。
今回も直線一気の末脚が炸裂しそうです。

さらに、2018年の京都記念を制し、2017年の菊花賞2着、2018年の天皇賞・春3着と芝でも結果を残したクリンチャー。昨年は日経賞の7着が最高のように芝戦線では苦戦を強いられてきました。
そこで、ダート戦線に矛先を変えると、初のダート戦だった2月の仁川ステークスで2着に入るなど結果を残してきました。しかし、ダート戦線でもなかなか勝ち星をつかみ取る事はできませんでした。

迎えたみやこステークス。初騎乗の川田騎手は、クリンチャーを3,4番手の好ポジションに付ける競馬を披露。直線に入るとすぐに先頭に立ち、2着のヒストリーメイカーに0.5秒(3馬身)差を付ける快勝でした。京都記念以来2年9か月ぶりの勝利を得ました。

川田騎手がクリソベリルに騎乗するため、今回は三浦皇成騎手が手綱を取ります。三浦騎手とのコンビでは2018年の天皇賞・春で3着に入るなど健闘を見せております。川田騎手が披露した先行策で三浦騎手も同様の競馬を見せて、人馬共に初のG1レース制覇を狙います。

他にも、実績馬が多数出走します。

昨年のJBCクラシックと今年の川崎記念を制したチュウワウィザード(牡5 栗東・大久保厩舎)。ドバイ遠征が中止になり、帝王賞、JBCクラシックは共にクリソベリルの3着に敗れましたが、ダート戦線では安定した実績を残している馬です。今回は戸崎圭太騎手とのコンビで悲願のJRAのG1レース制覇を狙います。

2017年このレースを制し、昨年にも2着に食い込んでいるゴールドドリーム(牡7 栗東・平田厩舎)。
今年は海外遠征もあって勝ち星から遠ざかっていますが、良馬場のパワー勝負なら経験にモノを言って力でねじ伏せる可能性は十分です。今回は和田竜二騎手とのコンビで出走します。

マイルチャンピオンシップ南部杯を制したアルクトス(牡5 美浦・栗田厩舎)。
南部杯ではダート1600mの日本レコードとなる1分32秒7をマーク。200mの距離延長が不安視されるところかもしれませんが、南部杯の前半1000mのタイムが57秒3の速い競馬を4番手で追走しての強い競馬を見せました。今回も田辺裕信騎手とのコンビで挑みます。やはり注目の一頭です。

フェブラリーステークスを制したモズアスコット(牡6 栗東・矢作厩舎)。
南部杯はアルクトスとは0.1秒(クビ)差の2着に健闘。前走の武蔵野ステークスはメンバー中唯一の59Kgのハンデを背負わされ7着と敗れましたが、引退レースに華を添えたいところです。
この秋からコンビを組んでいる横山武史騎手とのコンビで挑みます。

芝G1レースのホープフルステークスを制し、今年のエルムステークスを制したタイムフライヤー(牡5 栗東・ 松田厩舎)。前走の武蔵野ステークスでは最後の直線で前をカットされて5着に敗れました。
こちらも、巻き返しは十分に考えられます。今回は藤岡佑介騎手とのコンビで挑みます。

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