[連載・クワイトファインプロジェクト]番外編 ノーザンダンサー四天王の結晶アルピニスタ

いまプロジェクトの方が大きな転機を迎えつつありますが、現段階でなかなか表に出せる情報がありません。しかし、そう遠くない将来に私のやろうとしていることを皆様にご披露する時が来ると思います。相手もあることで失敗するかも知れません。しかし、失敗も含めプロセスを可能な限り公開することで、物事が前に進むのです。

「競馬ファンの力で300年続く血統を守る、血統の多様性を守る」という前代未聞の取り組みを、より現実的な方法で皆様と共有できるよう、私も引き続き努めて参ります。


さて、今週日曜日に凱旋門賞が行われ、日本馬4頭が挑戦しましたが、今年も勝つことは出来ませんでした。

私は専門家ではないので詳しい論評は控えますが、毎年、凱旋門賞勝ち馬の血統表を見る度に思うことを、今年もまた強く思いました。

やっぱりノーザンダンサーだな……と。

今年の勝ち馬アルピニスタは、父フランケルも母Alwildaもノーザンダンサー同系配合です。そして、五代血統表には父系からサドラーズウェルズ、ダンジグ、ニジンスキー、リファールとノーザンダンサー後継の主流4種牡馬が綺麗に並んでいます。ある意味、ノーザンダンサーの血の結晶と言えるでしょう。

それをどう思うかは皆様それぞれお考えがあると思います。ここで大きな議論をするつもりはありません。私個人の考えを示すことも、あえて控えたいと思います。ただ、タイムマシンがもしあるなら、50年後のヨーロッパのサラブレッドはどんな血統になっているのか、正直見に行きたいです。おそらくノーザンダンサーが今以上にどんどん濃くなっていくのでしょう。リファールやニジンスキーだって50年後に続いている保証はないですし、サドラーズウェルズ一人勝ちの状況でどんな風にサイヤーラインが続いていくのでしょうか。

──そして、我が国の馬産。

読者の皆様にとって「今の日本におけるノーザンダンサー系の代表的種牡馬とは?」と聞かれたら何と答えるでしょうか。
難しい質問ですよね。今なら強いて言えばハービンジャーになるんでしょうけれど、有馬記念馬ブラストワンピースが種牡馬入り出来なかったように、ハービンジャー系として今後血を拡げていくようにも感じられません。

私はいわゆるダビスタ世代なので、いつか日本馬に凱旋門賞を勝って欲しいとは思っていますが、それは憧れとかではなく、「スピード追求型馬産への一定の歯止め」として考えています。今の日本は主流がサンデーサイレンス系とキングマンボ系ですからほとんどがアメリカ血統なので、アメリカの大レースを目指した方がいいのかも知れませんし、そんな意見も聞こえてきます。しかし、私はアメリカかぶれでも何でもないですが、申し訳ないけれど似たような血統構成の繁殖牝馬しかいない日本と、ホーリーブル系やマッチョウノ系、ティズナウ系などブルードメアサイアーの血統も多様なアメリカとでは勝負にならないと思います。

……答えは出ません。現実の世界は、いますぐ強い馬を送り出すというビジネスとしての要請が強いですから、中長期的な馬産の在り方などを議論している余地はないのかも知れません。でも、どこかで議論はした方がいいと思います。

ディクタスとメジロマックイーンがサンデーサイレンスと共に送り出した「理想的な配合」の代表オルフェーヴルが世界の頂点に立つ寸前でノーザンダンサー同系配合馬に交わされた2013年から9年。今年の凱旋門賞はノーザンダンサーW同系配合の馬に圧倒されました。
それが現実です。
でも私は、血統は多様であるべきだと信じています。信じて闘い続けます。

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