[地方レース回顧]佐賀のキングと夏の王座へ~2021年・サマーチャンピオン~

佐賀競馬場1400m戦のサマーチャンピオン、文字通り夏の交流重賞として開催されます。
今年はJRAから4頭、地元佐賀競馬から7頭が参戦し11頭立てでの開催になりました。

ところが、先週末に新潟競馬場で騎乗していた丸山元気騎手に新型コロナウイルスの陽性反応が出てしまった影響で、サクセスエナジー、ラプタス、イメルの3頭は急遽乗り代わりでの参戦になりました。

先週札幌競馬場で騎乗していたため参戦できた武豊騎手と佐賀競馬の騎手たちによるレースは、好天の良馬場で始まりました。

レース概況

各馬揃ってゲートを出ると、飛田騎手がイメルを押して位置を取りに行きます。
2番枠から出足の速さを活かしてラプタスが逃げ、イメルが2番手、武豊騎手がその2頭を見る位置にコパノキッキングを誘導して3番手で1コーナーへ。

サクセスエナジーは倉富騎手が控える構えで4番手、その隣にはハッピーハッピーと田中直人騎手が続きます。
テイエムチェロキー、テイエムノサッタが中段、フォークローバーとエイシンテキサスがその後ろで並び、オイカケマショウが後方から、殿にエルプシャフトの隊列で向こう正面に入ります。

第2コーナーに入るところでサクセスエナジーが外に膨れてしまい、前の3頭と追いかけるハッピーハッピー、サクセスエナジーの2頭、後方グループの3つの隊列に分かれて向こう正面へ。

ラプタスは向こう正面でも軽快に逃げるいつもの走りを見せ、イメルとコパノキッキングは仕掛けどころを伺います。
ハッピーハッピーも懸命に追いかけますが、向こう正面で既に7馬身の差がついてしまします。ロスがあったサクセスエナジーは倉富騎手が2コーナーから追いなおし、前の3頭を捉えるべく先団に向かいます。

先行3頭は4コーナーに入り、飛田騎手がイメルに鞭を入れ、武豊騎手も追い出しますが、先頭のラプタスは手ごたえに余裕をもって最後の直線に。

残り200mで鮫島克也騎手がラプタスに鞭を入れ、逃げ切り体勢に入ります。
ここまで追いかけていたイメルが手ごたえ一杯になり、その外からコパノキッキングが交わして2着かと思われましたが、向こう正面も追い通したサクセスエナジーが最後に内をついてコパノキッキングをクビ差交わして2着に上がりました。

コパノキッキングは2年連続の3着、イメルは4着、テイエムチェロキーが中段で粘っていたハッピーハッピーをかわして5着に入りました。

各馬短評

1着 ラプタス

主戦の幸騎手から「キングシャーク」鮫島克也騎手への乗り替わりで挑みました。
とにかくマイペースで逃げられるかが勝負の馬で、これまでは捕まってしまうと脆いところもありましたが、2走前のポラリスステークスでは控えて番手からでも勝利しました。

前走のかきつばた記念では、黒船賞を勝って勢いに乗っていたテイエムサウスダンを逃げで封じ込めての連覇達成、5歳になって成長著しい馬と言えるでしょう。

今回は2番枠から楽に逃げることが出来ましたので、初の斤量58.5キロも苦にせず、終わってみれば7馬身差の圧勝でした。

次戦以降もマイペースを守れるメンバー構成かどうかが勝敗を分けそうですが、斤量は苦にしないので、今年は更に勝ち星を重ねそうです。

2着 サクセスエナジー

550キロ近い超大型馬で、中央のオープン競走なら59キロのハンデも気にせず勝ち切ってしまうパワーの持ち主です。交流競走でも4勝しているように小回りコースも苦にしない馬です。
前走の黒船賞で5着に敗れたあと、喘鳴症の手術を行ったのでほぼ半年ぶりのレースになりました。

サマーチャンピオンでは良績の無い1番枠、そして松山騎手から倉富騎手への乗り代わりの影響もあってか、JRAの4頭の中では離された4番人気での出走に。

スタート後に倉富騎手とうまくコンタクトが取れなかったのか、1コーナーで外に膨れてしまいましたが、その後は持ち直し2着に食い込みました。

3着 コパノキッキング

昨年に続いて、サマーチャンピオンでは武豊騎手とのコンビで参戦しました。

今春は海外遠征を敢行し、リヤドダートスプリントを見事勝利。昨年より0.5キロ重い59キロの斤量を背負って逃げるラプタスをマークするレースを選択しました。

最後の直線では先行していたイメルを実力で交わしたもののサクセスエナジーの末脚に交わされてしまい2年連続の銅メダルでした。

1周コースの1400m戦では勝つときに見せる末脚が発揮しきれないのかもしれません。
また、今回は海外帰り初戦でしたから、ここを使って例年通り大井競馬場の東京盃に進むのであれば改めて期待したいところです。

4着 イメル

前走新潟競馬場のNST賞でオープンに初挑戦し、出足がつかなかったものの最速の末脚を繰り出して3着を確保しました。サマーチャンピオンでは福永騎手と初コンビの予定でしたが、乗り替わりにより佐賀競馬のスーパールーキー、飛田愛人(ひだ まなと)騎手との初コンビでレースを迎えました。

今回はゲートを出てから積極的に位置をとれたので、逃げるラプタスに食らいついていきますが、最後はばててしまい4着でレースを終えました。
4コーナーまで見せ場を作ってレースを進めることが出来ましたが、上位3頭より恵まれた斤量55キロでしたので、やはり上位勢には実力負けしてしまったように見えます。

オープンに入るまでもじっくり歩を進めてきた馬なので、重賞初挑戦でコパノキッキングの半馬身差での4着であれば重賞初挑戦としては上出来だったのではないでしょうか。

レース総評

感染拡大が続く新型コロナウイルスの影響が競馬界にも出る中でイレギュラーともいえる一戦でしたが、それがかえって騎手の腕の見せ合いになったように見えました。

マイペース逃げを信条とするラプタスの持ち味を引き出した鮫島克也騎手はもちろん、向こう正面から追い通して休み明けのサクセスエナジーを2着まで押し上げた倉富騎手、重賞初参戦のイメルを強い相手に積極的に挑ませた飛田騎手、それぞれの騎乗ぶりも光るレース。

最後に、新型コロナウイルス感染が確認された丸山元気騎手の回復と、次回ダートグレードの白山大賞典のころには、今よりも感染状況が収まっていることを願います。

写真:りんりん

あなたにおすすめの記事