[重賞回顧]長距離も強い4歳世代。文句なしの4連勝で駆け上がる盾への道~2022年・ダイヤモンドS~

72回目を迎える伝統の長距離重賞ダイヤモンドSは、数少ない3000m以上のレース。過去には、スピードシンボリやダイシンボルガードといったGI馬が勝利し、平成以降は、スルーオダイナ、ユウセンショウ、フェイムゲームなど、いぶし銀のステイヤーたちが連覇を達成した。

年に一度の特殊な条件で、リピーターが出やすいのが特徴。しかし、今回の14頭はいずれもダイヤモンドS初出走で、重賞勝ち馬も不在。混戦が予想されたものの、そのうちの3頭に人気が集まった。

1番人気に推されたのが、5歳馬のレクセランス。3歳時は三冠レースに皆勤し、ここまで重賞未勝利ながら、前走の万葉Sでは勝ち馬と同タイムの2着に惜敗。若手のホープ、横山武史騎手を鞍上に迎え、念願の重賞制覇を目指していた。

僅差で続いたのが、強い世代といわれる4歳馬のテーオーロイヤル。初勝利まで4戦を要したものの、GⅡの青葉賞で4着に好走すると、そこから一気の3連勝でオープン入り。今回は3ヶ月ぶりの実戦ながら、4連勝と重賞初制覇が懸かっていた。

3番人気のヴェローチェオロも、同じく4歳馬。こちらは、2勝目を挙げるのに8戦を要した。その後は、京都新聞杯と菊花賞で5、6着に好走し、その前後には条件戦をきっちりと勝利。テーオーロイヤルと同様、連勝での重賞初制覇を狙っていた。

レース概況

ゲートが開くと、最内枠のグレンガリーが好スタート。そのまま、逃げの手に出た。一方、ダッシュがつかないトーセンカンビーナは、後方からの競馬を余儀なくされる。

2番手にアンティシペイトが続き、3番手はテーオーロイヤルを中にして、ゴーストとヴェローチェオロの3頭が横一線。その後ろは6頭が一団となり、後方はさらに3頭が固まって、スタンド前へと入った。

最初の1000m通過は1分1秒6。平均より少し遅い流れでも、グレンガリーのリードは4馬身で、先頭から最後方までは、およそ12馬身。その後、ゴール板を通過したところからグレンガリーのリードが広がり、向正面では7馬身差。さらに、2番手のアンティシペイトと3番手ゴーストの差も、4馬身に広がった。

2000m通過は2分4秒9で、この1000mは1分3秒3と、長距離らしく少しペースダウン。ただ、中だるみと呼ぶほどペースは落ちず、全体が20馬身ほどの縦長となってレースは3コーナーへ。

ここで、テーオーロイヤルがポジションを1つ上げ、レクセランスがマークするようにその直後へと上昇。2番手と3番手以下の差は縮まるも、逃げるグレンガリーのリードは変わらず。その後、4コーナーでようやく4馬身差まで縮まり、最後の直線勝負を迎えた。

直線に入ると、2番手に並びかけるところまで上がっていたテーオーロイヤルが、坂下で一気にスパート。坂の途中で先頭に立つと、残り200m地点でリードは2馬身に広がる。

追ってきたのは4頭で、馬場の真ん中からヴェローチェオロとヴァルコス。そして、外からランフォザローゼスとトーセンカンビーナが末脚を伸ばすも、テーオーロイヤルの勢いは全く衰えない。

最後は、ゴール前で菱田騎手が手綱を緩めながらも、後続に2馬身半差をつけ1着でゴールイン。混戦の2着争いはランフォザローゼスが制し、そこから半馬身差の3着に、トーセンカンビーナが続いた。

良馬場の勝ちタイムは3分30秒1。テーオーロイヤルが4連勝で重賞初制覇。天皇賞・春を頂点とする長距離路線に、堂々と名乗りを上げた。

各馬短評

1着 テーオーロイヤル

ロングスパートから、役者が違うと言わんばかりの内容で、あっさり重賞の壁を突破してみせた。

過去10年の当レースで、前走条件戦に出走した馬や、前走1着馬の勝利はなく、距離短縮のほうが得意のリオンディーズ産駒が、距離延長で勝利。これら、すべての逆境や過去の傾向を覆したあたり、テーオーロイヤルが大物になる可能性を秘めている。

血統面に目を向けると、母の父はマンハッタンカフェ。他に、テーオーケインズや、トーラスジェミニ、プリンスリターン、ミスニューヨーク、テーオーロイヤルの半兄メイショウハリオ、そしてレイハリアなど。夏以降、活躍馬が続出。

また、父リオンディーズとの組み合わせでは、園田の交流重賞、兵庫チャンピオンシップを制したリプレーザや、現3勝クラスのテーオーラフィットを輩出。この世代のリオンディーズ産駒で、最多獲得賞金馬はもちろんテーオーロイヤルだが、前者が3位、後者は7位。この組み合わせはニックスの可能性があり、今後も注目したい。

2着 ランフォザローゼス

11番人気ながら2着に激走し、波乱を演出。2019年の青葉賞以来、14戦でわずか一度しか掲示板に載れなかったものの、一気の距離延長で結果を出した。

その間には障害練習を取り入れ、さらに去勢するなど、なんとかしようと試みたのは、今週定年を迎える藤沢調教師と厩舎関係者たち。テーオーロイヤルとはやや差があったものの惜しい2着で、そこにベテランの田中勝春騎手が騎乗していた点も感慨深かった。

とはいえ、父がキングカメハメハで、母の父はディープインパクト。そして、母の母がエアグルーヴという超良血馬。あと1、2回好走があっても驚けない。

3着 トーセンカンビーナ

ここ2戦のように出遅れなかったものの、二の脚がつかず後方からのレース。それがなければ、2着はあったかもしれない。ただ、長期休養から夏に復帰して以降、徐々に復調し着順を上げている。

ディープインパクト産駒らしい瞬発力タイプというよりは、長くいい脚を使えるのが特徴。それでも大箱、直線の長いコースが向きそうで、東京2500mの重賞でよどみない流れになったとき。もしくは、コーナーが緩やかで大きなカーブになっている、札幌芝2600mに出走した際は、好走があるかもしれない。

レース総評

レースラップを1000mごとに区切ると、1分1秒6-1分3秒3-1分1秒1で、最後は11秒9、12秒2。また、最も遅いラップが1400mからの13秒1で、その次と最初の1ハロンが13秒0。逆に、それ以外はすべて12秒台か11秒台のラップ。大きく緩むことがなく、結果、勝ち時計はダイヤモンドSが3400mになってからレース史上2番目の好タイムだった。

2022年に入って最初に行なわれた3000m以上のレースは、1月の万葉S。ここはゴールドシップ産駒の4歳馬マカオンドールが勝利し、ダイヤモンドSを勝ったテーオーロイヤルも4歳馬。そして、今週日曜日の松籟S(阪神芝3200m)にも、菊花賞3着のディヴァインラヴや、ゴールドシップ産駒のプリュムドールなど、有力な4歳馬(しかも牝馬)が控えている。

一方、ダイヤモンドSの傾向に目を向けると、圧倒的に強いのが8枠。過去10年で5勝し、勝率は25%で、複勝率は実に50%。今回、11番人気で激走したランフォザローゼスだけでなく、2020年、単勝325.5倍で勝利したミライヘノツバサも8枠16番。この傾向は、来年以降も覚えておきたい。

また、過去の勝ち馬の中には、その後、目黒記念やアルゼンチン共和国杯、阪神大賞典で連対した馬が複数いる。過去10年で見ると、2013年の勝ち馬アドマイヤラクティは、同年のアルゼンチン共和国杯と翌年の阪神大賞典で2着。フェイムゲームは、目黒記念とアルゼンチン共和国杯の両方を勝ち、ユーキャンスマイルも阪神大賞典を制した。

今後は未定のようだが、テーオーロイヤルが、今後3つのGⅡで好走してもなんら不思議ではなく、天皇賞・春に出走しても、十分有力候補になるだろう。また、今のところ父のような気難しいところを見せておらず、長距離を主戦場としたとき、この点は大きなアドバンテージとなる。

写真:かぼす

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