今年で71回目を数える伝統のマイル重賞・東京新聞杯。
首都・東京を舞台に春のマイル戦線への飛躍を誓う16頭が激突した。

過去にこのレースを勝利したリスグラシューやインディチャンプはそれぞれの道で輝き、世界に羽ばたいた。今年は目立った実績馬が居らず、混戦メンバーの様相を呈していた。今年冬の東都決戦を制するのは果たしてどの馬か。

レース概況

16頭が揃った今年の東京新聞杯。

最内を取ったダイワキャグニーや前走で意表を突いた逃げを披露したエントシャイデンなど、展開予想は混迷を極めた。

穏やかな冬晴れのもと向こう正面でのゲートインが終わり、レーススタート。
スタートではサトノウィザードとエントシャイデンが出遅れるも他の各馬はまずまずのスタート。
まずは押して1番のダイワキャグニーが先頭に立つ。連れて2番手は明け4歳馬のトリプルエースが付け、3番手にトラインとエメラルファイトが続いた。
その後ろにはカラテやヴァンドギャルド、ショウナンアレスが追走し、人気各馬は前よりのレースを選択した。

馬群は縦長も先行勢はポジションの奪い合いとなった。
欅を超えるころには先行勢はびっしりと固まって直線コースへと向く。
直線に向くと逃げたダイワキャグニー、番手のトリプルエースとエメラルファイトが並んで追い出す。馬場の真ん中からは1番人気のヴァンドギャルド、外からはカテドラルとシャドウディーヴァが追い込んでくる。

残り200m時点でも、横一線の大混戦。
外からカテドラルが差し脚を伸ばす中、馬群を割って突っ込んでくる1頭の馬がいた。

黄色い勝負服のカラテだった。

内から伸びるカラテに外から迫るカテドラル。2頭が並んでゴールに飛び込んだ。
映像では厳しい勝負だったが大きなガッツポーズを見せたのはカラテ鞍上の菅原明良騎手であった。
これが人馬共に重賞初制覇。さらにオーナーの小田切光氏とカラテの父トゥザグローリーもJRA重賞初制覇と、メモリアル尽くしの勝利となった。

各馬短評

1着 カラテ (菅原明良騎手 5人気)

カラテが3連勝で重賞初制覇となった。
道中は先団5番手を追走。直線に向くと広がった馬群の隙間を縫って前へと迫り、カテドラルとの壮絶なたたき合いを見事制して勝利をもぎ取った。

ここまで2連勝は中山コースで、速い上がりへの対応がカギとなったが鞍上の好騎乗も光った。
メモリアルな勝利にふさわしい、巧みな勝利だった。

2着 カテドラル (田辺裕信騎手 12人気)

このレースでは人気を落としていたカテドラルだったが、豪快なレースで接戦の2着となった。
道中は後方寄りを追走し、追い込み勝負に賭けたカテドラル。

直線ではヴァンドギャルドの外から追い込み一旦は先頭に立つも内からカラテに差されて僅差の2着となった。一昨年の3歳マイル戦線の主役候補はここから逆襲ののろしを上げる。

3着 シャドウディーヴァ (岩田康誠騎手 3人気)

カテドラル同様後方からの追い込みに賭けたシャドウディーヴァが3着となった。
道中はカテドラルとほぼ同じ後方寄りの追走。直線では馬場の外寄りから猛チャージを掛けるも3番手での入線となった。

しかしながら人気馬の中では最先着となり、府中適性の高さを証明した。
昨年の府中牝馬ステークスも2着となっており東京では惜しいレースが続いている。今後の走りにも注目だ。

総評

今年の東京新聞杯は、改めて無観客が本当に残念に感じるほどのメモリアルレースとなった。
鞍上・菅原明良騎手のガッツポーズからも、その嬉しさとこのレースに賭けた思いが感じ取れた。

35期生では斎藤新騎手と先月初重賞を制した団野大成騎手に続く3人目の重賞制覇騎手となった。ハイレベル世代の一角を担う19歳の若人は、カラテと共に私たちにもっと大きな夢を見せてくれるに違いない。

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