創設80年で新たなステージ迎えた東京ダービー。位置付けと見どころは?

2024年から日本のダート競馬が大きく変わった。「全日本的なダート競走の体系整備」と題して行われた大規模改革により、新たに生まれた「3歳ダート三冠」という路線。その中で第2関門を担うとともに、中心となるのが東京ダービーである。

同レースの歴史は古く1955年に創設。その後64年に成立した南関東三冠競走の基幹レースに置かれ、南関東限定重賞だった昨年も1着賞金5000万円と、地方競馬の中でも破格の扱いを受けていた。過去の勝ち馬を見れば、中央競馬への移籍後に天皇賞(春)と宝塚記念を制したヒカルタカイ、地方の歴史的名牝として中央のファンにも知られるロジータ、無敗三冠馬のトーシンブリザードやミックファイアなど多くの名馬が並ぶ。

創設から約80年にして迎えた新たなステージ。今後は「芝は日本ダービー、ダートは東京ダービー」を目指して、砂の3歳チャンピオンを決する一戦として位置づけられる。また、今回の改革にともなって、全国の○○ダービー(例:東海ダービー)と名の付くレースは、ばんえいダービーを除いて、○○優駿(例:東海優駿)へと名称が変更されている。全国交流レースも例外ではなく、西日本ダービー→西日本優駿、ジャパンダートダービー→ジャパンダートクラシック、ダービーグランプリ→不来方賞(旧来の不来方賞と統合)という徹底ぶり。「ダートの3歳頂点=東京ダービー」「ダートのダービー=東京ダービー」という構図が明確になった。

また、昨年まで7月に行われていたジャパンダートダービーとの“違い”という視点では、まず開催日が1ヶ月ほど早まっている。これにより、日本ダービーとほぼ同時期に行われるようになった。賞金も1着1億円へと大幅に増額。東京ダービーとの比較では5000万円、ジャパンダートダービーと比べると3000万円も増えている。日本ダービーの1着3億円にはさすがに及ばないものの、差はかなり縮まった。

一方で出走枠に目をやると、中央所属馬は4頭となった。ジャパンダートダービーが7頭だったので、3頭も減っている。また、羽田盃の上位3頭、ユニコーンSで2着以内となった上位1頭に優先出走権が与えられるため、すべての馬が権利を行使した場合、いくら賞金を積んでいても、ダート三冠競走に出走するには秋のジャパンダートクラシック(ジャパンダートダービーから改称、10月上旬に移設。中央所属馬は7頭まで出走可)まで待たなければいけない。とはいえ、今年が制度開始の初年度。今後、仕組みや出走可能頭数も、より良いものに変わっていくことだろう。

さて、今年の出走メンバーを見ると、一冠目の羽田盃を制したアマンテビアンコは中間で骨瘤の痛みがあって出走せず、岩手で7戦無敗だったフジユージーンも回避が発表されている。となれば、中心になるのは羽田盃で2着だったアンモシエラ。牝馬の東京ダービーVとなれば、11年クラーベセクレタ以来、史上6頭目の戴冠となる。また、ジャパンダートダービーを制した牝馬はおらず、そういった意味でも勝利すれば快挙だ。

地方馬では高知所属馬シンメデージーの果敢な挑戦に注目したい。ここまで5戦無敗。前走は園田の西日本クラシックに出走して、菊水賞馬(兵庫三冠の初戦)のオーシンロクゼロに3馬身半差を付ける圧勝だった。西日本地区では頭ひとつ抜けた存在であることは疑いようがなく、JRA所属馬や南関東所属馬を相手にどこまでやれるか。フジユージーンとの無敗馬対決が幻に終わったことは残念だが、将来の再戦を期待させたくなるような走りを披露してほしい。

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