[イベントレポート]コジュウチョウサンらの熱き戦い。富里競馬場をたずねて
石神深一・深道騎手や元騎手の横山義行さんも参戦! 富里カップ

2025年3月31日、千葉県富里市で開催された富里カップ。この取り組みは2023年から続いており、今回は第4回目となる開催である。

現役騎手の石神深一・深道騎手の親子や水沼元輝騎手、さらにはかつてゴーカイなどとのコンビで障害界を盛り上げた横山義行元騎手も参戦。SNSなどでもファンが盛り上がりを見せた。

今回は富里市市長もこのレースを観戦。行政からの注目度も高い中で行われた。本記事では、その模様をお届けする。

とみちゃん特別は新旧対決! 売り出し中の現役ジョッキーと元障害トップジョッキーの戦い!

早速はじまった第1レースのとみちゃん特別。参戦するのはコーカイ(横山義行元騎手)とコポロマーベリック(水沼元輝騎手)の2頭だった。

レース前にはコーカイがゼッケンをつけられた状態で寝ころび、馬体が草まみれになるというアクシデントが発生。「馬装整備により発走が遅れます」というアナウンスもあり、和やかな雰囲気となった中、レース名にもなっている富里市のゆるキャラ、とみちゃんが旗を振って、2頭がスタートの準備に入る。

スタートが切られると、外から勢いよく飛び出したコーカイがロケットスタートを決めて先頭に立つ。やや出脚が付かなかったコポロマーベリックは外から追いかけ、どこで加速するかといった感じで向こう正面を進んでいく。

勝負どころの3〜4コーナーでコーカイが再加速。コポロマーベリックもそれをとらえようと動いたが、ここで馬場に脚を取られたかやや躓く。チャンス到来とばかりに内へ誘導したコーカイだが、こちらも直線でつんのめる形に。それでもコポロマーベリックに差を詰めさせることなく、最後までリードを守り切ってコーカイが先頭で駆け抜けた。

勝利したコーカイを導いた横山義行元騎手は「調子も良くて、スタートも決められた。強いコーカイを見せられたと思う」と嬉しそうに語った。この2レース後に控える富里ショートジャンプにも出走する同馬にとって、上々の滑り出しと言える走りであった。

これがポニー競馬だ! グランプリで見せた『二世』の強さ

第1レースの開催から10分弱の休憩をはさみ、迎えた第2レースの富里記念。ポニー界の春のグランプリと銘打たれた一戦である。出走したのはコジュウチョウサン(石神深一・深道騎手)、ケイティコレバー(上野翔騎手)、ナリタブラリアンⅡ(石神龍貴君)の3頭。

特にコジュウチョウサンはファン投票で100万510票(!?)という、2024年に有馬記念でドウデュースが記録した47万8415票を大きく上回る、歴史的票数を集めての出走となった。

一方、対抗馬と見られていたナリタブラリアンⅡは騎乗予定の森安輝正騎手が欠場。乗り替わりに指名されたのは石神深一騎手の次男である石神龍貴君で、親子対決が実現することとなった。突然の乗り替わりとなったが、龍貴君は「コジュウの弱点は知っている」と不敵な笑みを浮かべており、父と兄に自信をもって挑む姿勢を見せる。

さらに新たな刺客として、コジュウチョウサンの僚馬であるケイティコレバーが障害界の名手・上野騎手を背に迎え参戦。これにより、富里競馬場では史上初となる3頭立てでのレース開催となった。

ファンファーレが鳴り、レースがスタートすると、コジュウチョウサンがダッシュよく飛び出してハナに立つ。1周目のスタンド前では拍手に迎えられて先頭をキープしていたが、1コーナー付近で内を進んだケイティコレバーに先頭を奪われ2番手に。ナリタブラリアンⅡはその後ろで構え、脚を溜めていた。

迎えた最終コーナー、やや遅れを取ったコジュウチョウサンが先頭争いから脱落し、コーナーワークでケイティコレバーが抜け出す。このまま決まるかと思われたが、大外から鞍上のGOサインに応えてナリタブラリアンⅡが進出。短い直線も関係なく一気にケイティコレバーを差し切り、P・G1初制覇のゴールへ。その走りは、まさに先代のナリタブラリアンを思い出させる末脚であった。

初騎乗ながら見事に相棒を勝利に導いた石神龍貴君は「最後の直線はとても気持ちよかったです。ブラリアンにはありがとうと言いたい」と馬上で満面の笑みを見せた。同時に、「この後は無敗で行きたい」と力強くコメント。3着に終わったコジュウチョウサンは、レース後にオーナーから「今後は障害に専念したい」とのコメントがあった。

障害競走なら負けられない! コジュウチョウサンが富里Sスモールジャンプ3連覇!

第2レースに続いて3頭立てでの競走となった富里スモールジャンプ。3連覇のかかるコジュウチョウサン(石神深一・深道騎手)に、第1レースに出走したコーカイ(横山義行元騎手)とコポロマーベリック(水沼元輝騎手)の2頭が挑戦。

2頭とも過去2回のスモールジャンプではコジュウチョウサンの後塵を拝しているだけに、このレースで雪辱したいという気持ちは強いはず。とはいえ、コジュウチョウサンも富里記念の敗北から巻き返したい一戦。三者三様の想いを胸に、スタートの時を迎えた。

レースがスタートすると、富里記念同様、コジュウチョウサンがダッシュ力を見せて一気に先頭に立つ。そのまま後続を3,4馬身離して迎えた向こう正面の障害を難なく越え、トップスピードで最終コーナーも回っていく。

コポロマーベリックとコーカイも必死に追うが、差は詰まるどころか開く一方。最終障害を山本直也アナウンサーの「踏み切ってジャンプ!」の実況と共に綺麗なフォームで飛越し、そのまま1着でゴール坂を駆け抜けた。2着のコポロマーベリックに大差をつけるその走りは、まさに「 『絶対王者ここにあり』を改めて示すものであった。

勝利した石神深一騎手は「想定通りのレースができた。コジュウチョウサンの強さを改めてお見せできたと思う」と相棒の強さを讃えつつも、息子の深道騎手に対して「まだまだ手綱の引きが甘い。もっとうまくできる」という辛口のコメントを残した。これに対して深道騎手は「次に向けて自分ももっと成長していきたい」と答えており、4連覇のかかる次回開催ではさらなる成長が期待できそうだ。

イベントを盛り上げた関係者たちのコメント

本イベントの関係者コメントは下記の通り。

■渡部貴文さん

「これが4回目の開催となりますが、毎度、かなりの盛り上がりを見せていて非常にうれしく思います。次回は一般のお客様もご来場される予定なので、今回以上に盛況となるイベントにしたいですね」

■林右典さん

「当日は紙面などが本格的に作られていて、楽しさと面白さを兼ね備えた素晴らしい取り組みだと感じました。自分は関西の方で馬事関係の取り組みをしていますが、そちらの方でもこのような取り組みができないか考えていきたいなと思います」

今後について

盛り上がる本イベントの流れはこれからも続いていく。まずは5月5日に「とみさと未来ウマフェスタ」を開き、今回出走したポニーたちの一般公開をはじめとするイベントが開かれる。当日はお披露目会以外にも様々な催しが開催される予定で、「馬の街である富里市を知ってもらういいきっかけになれば」と我妻さんは語る。

また、将来的には富里市がポニーを購入し、コジュウチョウサンと戦うという「対決イベント」も模索されているとのこと。

他の市町村からポニー界の絶対王者に挑む刺客がどのような馬となるのか、今後のポニー界の動きからますます目が離せない。

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