早いもので9月も後半。中央競馬ではJRAアニバーサリーを含む3日間開催となり、2020年産駒達の新馬戦も11戦行われました。
ここではその11レースの新馬戦で、世代全体のうち3割前後しか勝ち上がることができない狭き門を突破した2歳馬達をご紹介していきたいと思います。
2022年9月17日(土)
中山4R ダ1800 晴・良 10頭
イルディヴィーノ
牡馬
キンシャサノキセキ×クローバーリーフ
母の父:タニノギムレット
所属:美浦)稲垣幸雄厩舎
生産:ノーザンファーム
鞍上:Cルメール騎手
470㎏ 3番人気 5枠5番
ここまで今年の新馬戦は2勝と、例年に比べやや苦戦している印象があったキャロットファーム所属馬から、7月10日のラヴェル以来となる新馬戦ウィナーが誕生しました。
好スタートを切ったイルディヴィーノは勢いそのままに先頭へ。
最初はやや力んでいるようにも見えましたが単独で逃げの体勢に入ってからは落ち着いた様子でレースを進めます。
早めから好位をキープしていた1番人気ラフエイジアンが最終コーナーから直線にかけて距離を詰めていこうと仕掛けていきますが、イルディヴィーノも粘りを見せてその差はなかなか縮まらず。
そのまま最後まで粘り切り、アタマ差で勝利を手に入れました。
勝ち時計は1分55秒2。
5年目の稲垣厩舎は、今年の新馬戦初勝利。
まだ幼いところもありその分伸びしろ充分。次走の走りも楽しみな1頭です。
中京5R 芝1200 曇・良 10頭
トレンディスター
牝馬
ファインニードル×ハンドスター
母の父:パラダイスクリーク
所属:栗東)高柳大輔厩舎
生産:船越牧場
鞍上:川田将雅騎手
494㎏ 1番人気 3枠3番
流行の星になることを願って命名されたというトレンディスター、関係者の方々の期待に応えて堂々デビュー戦勝利です。
良いスタートを切ると楽に先頭に立ち、そのまま逃げの体勢に入ったトレンディスター。
マイペースで道中を進むと、直線に入って追い出されてからもしっかりと反応。
上がり最速33.5秒の脚を使い、2着アトモストリミッツに3馬身差をつける完勝でした。
勝ち時計は1分08秒9。
今年の新種牡馬であるファインニードルにとっても嬉しい新馬戦初勝利となりました。
今回はスプリント戦でしたが、距離を伸ばしていくことも検討しているそうで、今後のローテーションにも注目です。
中山5R 芝1800 晴・良 13頭
ティファニードンナ
牝馬
ドゥラメンテ×オピュレンス
母の父:Giant's Causeway
所属:美浦)木村哲也厩舎
生産:三嶋牧場
鞍上:Cルメール騎手
492㎏ 2番人気 8枠13番
土曜最後の新馬戦、やや頭を上げながらも外枠から悪くないスタートを切ったティファニードンナは、素晴らしい二の脚を披露して積極的に前へ。
内から前へ行ったミスターキングとスノードームを先に行かせ、3番手で折り合いやや外を回りながらレースを進めます。
最終コーナーを曲がり直線に入ると、ミスターキングを交わした1番人気スノードームと一騎打ちの体勢に入り、ここから約200mの追い比べへ。
着差こそクビ差でしたが、ノーステッキのまま上がり最速の末脚でこの1戦を制しました。
勝ち時計は1分50秒1。
母の母Rags to Richesが2007年に牝馬として102年ぶりにアメリカクラシック三冠の1つベルモントステークスを勝っているという良血馬。
ルメール騎手も凄く良い馬、走りそうと高評価で距離延長も問題なさそう。
ダノンキングリーやメイショウベルーガの生産牧場として知られる三嶋牧場から、新たな大物候補が誕生しました。
2022年9月18日(日)
中京4R ダ1400 晴・良 13頭
ルーカスミノル
牡馬
シャンハイボビー×セラミックアート
母の父:フジキセキ
所属:栗東)本田優厩舎
生産:本間牧場
鞍上:荻野極騎手
510㎏ 12番人気 3枠3番
この世代が日本での供用開始における初年度世代であるシャンハイボビーの産駒が、12番人気からの激走を見せました。
ゴドルフィンのGun Runner産駒ディキシーガンナーが単勝1倍台と人気を集めた新馬戦、ルーカスミノルは好スタートを切ると内枠も活かしつつ積極的に前へ。2〜3番手で折り合います。
直線に入ると逃げ粘りを狙うミルトハンターをスッと交わして先頭へ。
抜け出しをはかったところで外から1番人気ディキシーガンナーが迫りかけますが、ルーカスミノルはここでグッと加速。そのまま2馬身差をつける完勝でした。
勝ち時計は1分25秒7。
7年目24歳の荻野騎手は、これが今年の新馬戦初勝利となりました。
中山4R 芝1200 雨・良 16頭
スピードオブライト
牝馬
ロードカナロア×サイレントソニック
母の父:ディープインパクト
所属:美浦)相沢郁厩舎
生産:桜井牧場
鞍上:石川裕紀人騎手
420㎏ 1番人気 7枠14番
桜井牧場生産のロードカナロア産駒が1番人気に応えました。
16頭立ての14番と外枠からのスタートとなったスピードオブライトでしたが、良いスタートを決めるとジュエルマドンナ・ペインティトブルーと3頭で先頭集団を形成しレースを進めます。
最終コーナー回り直線で先頭に立ったスピードオブライトは、良馬場発表とは言え雨の降った中山の直線を力強く走り抜き、追い込んできた2着馬マルチャンを3/4馬身抑え込んでの粘り勝ち。
勝ち時計は1分10秒2でした。
2018年の皐月賞馬エポカドーロを出しているユニオンは、これが今年の新馬戦初勝利。
調教では気の強いところがあるそうですが、今回はそれが前向きな形で出ました。
その名の通り良いスピードを持っているスピードオブライト。今後は距離延長も検討されているようで、レース選択とその走りに注目です。
中京5R 芝2000 晴・良 11頭
ハーツコンチェルト
牡馬
ハーツクライ×ナスノシベリウス
母の父:Unbridled's Song
所属:美浦)武井亮厩舎
生産:ハシモトファーム
鞍上:松山弘平騎手
492㎏ 1番人気 7枠8番
単勝1.9倍の1番人気に推されたハーツコンチェルトは、7枠からスタート。
良いスタートを切っていましたが積極的に前へいくことはせずに、7〜8番手辺りで折り合います。
脚を溜める作戦かと思われましたが、スローペースを察知したのか残り1000m付近で早くも外目から進出を開始。
直線に入った頃には2番手まであがり、残るは先頭アルナージェインを追いかけるのみという展開になりました。
加速を続けるハーツコンチェルトは残り200mを切ったところで先頭に。
そこからは鞍上松山騎手も追っていませんでしたが、最後まで軽快に脚を伸ばし、上がり33.9、勝ち時計2分01秒6、8馬身差をつける快勝でした。
マキシマムドパリらが所属したグリーンファームはこれが今年の新馬戦初勝利。
次走は未定とのことですが、クラブの看板候補誕生で今後の活躍が楽しみですね。
中山5R 芝1600 曇・稍重 16頭
メインクーン
牝馬
ハーツクライ×イマーキュレイトキャット
母の父:Storm Cat
所属:美浦)林徹厩舎
生産:社台ファーム
鞍上:Mデムーロ騎手
430㎏ 2番人気 7枠14番
G1レーシング所属馬が、7月24日以来の新馬戦勝利をあげました。
後方からのスタートとなったメインクーン、焦らず3コーナーまでは後方3番手に控えレースを進めます。
残り600を切ったところで大外を回りながら一気にポジションを上げていき、直線に入ったところでは8-9番手で、横に広がった馬群の一番外にいました。
ここからメインクーンは稍重になった中山の急坂を力強く登坂、内で競り合うライバルたちをまとめて抜き去っていき、最後は2着馬スノーファンタジーに1と1/4馬身差をつけました。
勝ち時計は1分38秒6。
外を回りながら長く良い脚を使えており距離延長も問題なさそう。
強い勝ち方で、次走にも注目の1頭です。
2022年9月19日(月)
中京4R ダ1800 曇・稍重 12頭
テレパシー
牝馬
ドレフォン×ストック
母の父:キングカメハメハ
所属:栗東)石坂公一厩舎
生産:桜井牧場
鞍上:和田竜二騎手
492㎏ 7番人気 4枠4番
台風の影響が心配されつつ無事開催となった19日の中京競馬。この日最初の新馬戦は7番人気のドレフォン産駒が制しました。
好スタートを決めたテレパシー。しかし和田騎手が懸命に動かしていった割には二の脚があまりつきません。
それでも内枠であったことにも助けられ、差のない3〜4番手を確保しました。
そのまま内でレースを進めていましたが、最終コーナーを回りながら進路を外へ。
直線は3コーナー辺りからずっと前にいたデイトナモード、ドゥラリアルとの追い比べとなりますが、一番余力が残っていたのがテレパシーでした。
勝ち時計は1分55秒6。
5年目39歳の石坂公一調教師は、これが今年の新馬戦初勝利。
前日のスピードオブライトで今年の新馬戦初勝利を挙げていた生産・桜井牧場は、嬉しい2日連続の新馬戦勝利となりました。
中京5R 芝1600 曇・稍重 14頭
オーシャントライブ
牡馬
ルーラーシップ×パープルセイル
母の父:フジキセキ
所属:栗東)高柳大輔厩舎
生産:ノーザンファーム
鞍上:吉田隼人騎手
446㎏ 12番人気 4枠6番
2015年のローズS勝ち馬タッチングスピーチの半妹リッスンアップや、重賞2勝馬ソロルの半妹スパークルスカイが登場した新馬戦。勝ち上がりを決めたのは12番人気のルーラーシップ産駒オーシャントライブでした。
後方からのスタートとなったオーシャントライブですが、他馬と並んでじわじわとポジションを上げていき、最終コーナーでは先頭集団のすぐ後ろにつけます。
直線に入った時点では前に8頭ほどがいましたが外から追走し、残り200を切る辺りから一気に加速。
先行から勝利目前となっていた2着馬カレンパンピナップをクビ差で差し切りました。
勝ち時計は1分36秒6。
幼さがあり、使いながら良くなるタイプだと思われていたそうですが見事な走り。
秋から冬にかけての更なる成長に期待です。
中山5R 芝1600 晴・稍重 12頭
ヒップホップソウル
牝馬
キタサンブラック×ダンスファンタジア
母の父:ファルブラヴ
所属:美浦)木村哲也厩舎
生産:社台ファーム
鞍上:松山弘平騎手
502㎏ 1番人気 8枠12番
社台レースホース所属馬から、今年5頭目の新馬戦勝ち馬誕生です。
大外からのスタートとなったヒップホップソウル。スタートはタイミングが合わなかったのか、後方からになります。
その後のレース展開には色々な選択肢があったかと思われますが、松山騎手とヒップホップソウルはそのまま外を回りながらポジションを上げていくことを選択。そして残り800m、3コーナー付近では早くも先頭2頭の後ろにつけるという立ち回りを見せます。
一気に並びかけるかという勢いでしたがここで一息。ここまでで脚を使い、沈んでいってしまうという流れが頭をよぎりましたがヒップホップソウルは違いました。
直線に入り先行していたノーブルジャック、ブレイゼストに外から並びかけると坂を力強く伸びていき、最後は追い込んでいた2着馬フェルドランスに4馬身差をつけて1番人気に応えました。
勝ち時計は1分38秒6。
鞍上松山騎手もスピードがあって良い馬と高評価で、次走はどのようなレースを見せてくれるのか楽しみな1頭です。
中山6R 芝2000 雨・稍重 10頭
ネビュルーズ
牡馬
ジャスタウェイ×スターズアンドクラウズ
母の父:Makfi
所属:美浦)鹿戸雄一厩舎
生産:ノーザンファーム
鞍上:横山武史騎手
462㎏ 2番人気 2枠2番
この世代がクラブ発足初年度となるインゼルレーシングから、2頭目の新馬戦勝ち馬が誕生しました。
内枠から良いスタートを切ったネビュルーズは、1枠から逃げたメイショウエースのすぐ後ろにつける形で折り合いレースを進めます。
そのままの形で4コーナーを迎えると、コーナーを回りながらメイショウエースを外から交わし、直線では追い上げてきたパクスオトマニカとの競り合いに。
この勝負を上がり最速の35.4の末脚で退け、最後は3馬身差をつける快勝でした。
勝ち時計は2分03秒6。
鹿戸調教師からも緩さが残る中での勝利で、まだまだこれからの馬と高評価。
鞍上・横山武史騎手は6月18日以来となる久々の新馬戦勝利となりました。
以上、今週のメイクデビュー勝ち馬11頭を見ていきました。
この仔達がこれからどのような成長を見せてくれるのか、また今週末の新馬戦ではどんな仔達がデビューしてくるのか、週末を楽しみに待ちたいと思います。
写真:タイガーマスクG、かぼす、Aska