クラシックの主役はここで決まる!?
今年は例年以上に皐月賞に直結しそうな雰囲気も。
本日は、東京競馬場で共同通信杯が行われます。
共同通信杯といえばクラシックに直結するレースで、クラシック路線で非常に重要なレースと言えます。
過去にはミスターシービー、アイネスフウジン、ナリタブライアン、エルコンドルパサー、ジャングルポケットといった名馬が勝っていますし、近年でもイスラボニータ、ディーマジェスティ、エフフォーリアがこのレースを勝った次戦の皐月賞を連勝するなど、昭和から令和まで多くの名馬を輩出してきた由緒あるレースです。
特にディーマジェスティ、エフフォーリアあたりは、このレースを勝った後に評価が上がり、世代の中心となっていった印象もあります。
3歳牡馬クラシック路線を語る上で大注目のレースですし、今年の3歳牡馬路線はいまだ主役不在の大混戦です。例年以上にこのレースの勝ち馬が後に飛躍する可能性が高いと言えるでしょう。
共同通信杯 有力馬紹介
ダノンザタイガー - 東スポ杯2着の真価が改めて問われる一戦に。
才能豊かなメンバーの中でも注目を集めているダノンザタイガーでしょう。
母がアメリカのG1馬という世界的な良血で、セレクトセールで2億7000万円の高値で取引された同馬。デビュー前から関東のダービー候補と囁かれる評判馬でした。
2戦目で未勝利戦を勝ち、3戦目は出世レースの東スポ杯を選択。道中は後方の外目を進み、直線でも外を回して伸びてきましたが、中団内目をうまく捌いてきたガストリックに届かず2着という結果でした。負けたとはいえ、外を回して届かずという競馬で能力そのものが高いことを示しましたが、勝利することはできなかったばかりか、3着ハーツコンチェルトの方がより後方、外を回しつつ上がり最速で伸びてきたので、そちらの方が大物感があるという評判になり、東スポ杯2着でありながら微妙な評価になってしまった印象もあります。
さらに、東スポ杯を勝ったガストリックが次走のホープフルSで惨敗する一方で、東スポ杯で4着だったドゥラエレーデがホープフルSを勝つことになったので、東スポ杯の評価がより判断しにくいものになってしまいました。競馬ファンの中には『22年の東スポ杯は例年ほどレベルが高くないかも?』と思うファンもいるほど。そんな中で行われる共同通信杯は自らの立ち位置を確認する場でもあるでしょう。
強敵揃いのこのレースを勝てば改めて関東3歳牡馬のトップとして皐月賞に挑むことになるでしょうし、大げさな表現かもしれませんが、ここが競走馬としての分岐点とも言えるレースになるのではないでしょうか。
ファントムシーフ - 新たな相棒と組んで勝利を盗めるか。
前走のホープフルSで4着だったファントムシーフは、今回ルメール騎手とのコンビで参戦です。
ホープフルSではスタートで隣のハーツコンチェルトと接触したものの、中団の内目を追走。ただ、前半からスローの展開で内にはスペースが無く、直線で進路をこじ開けるようにして出てきて4着まで浮上しました。不利が重なったので力負けではないでしょう。
今回はルメール騎手を確保できたのは大きいですし、長くいい脚を使う同馬にとって東京コースは真価を問われる舞台になりそうです。スローからの瞬発力勝負になったとしても、新馬・野路菊Sと上り3ハロン33秒台の脚を出していますので対応可能のはず。母ルパン2の名前から連想してファントムシーフと名付けられたようですが、名前に似合わず堂々と勝利をもぎ取れるでしょうか。
レイべリング - 朝日杯組の評価を探る上でも注目の1頭。
3歳牡馬クラシック路線が混戦と言われている理由に、明確にレベルが高いというレースが見当たらないことが挙げられます。
前述の東スポ杯は、勝ち馬が次走のホープフルSで惨敗。そのホープフルSも前残り決着で今後の参考になりにくい面があり、どのレースがレベルが高く、クラシックにつながるのか分かりにくい面があります。
そこで「では、昨年の朝日杯はどうだったのか?」と考えるファンもいるでしょう。
朝日杯3着馬のレベリングも判断がつきにくい1頭です。朝日杯では直線で勝ったドルチェモアを目標に馬群の中から抜けてきましたが、外から追い込んできたダノンタッチダウンに差されての3着。競馬の内容自体は勝ち負けを競えていましたので3着だったとはいえ一定の評価はできますし、この馬が今回どんな走りをするかで朝日杯のレベルの高さが判明すると考えていいでしょう。
朝日杯で先着したドルチェモア(NHKマイルカップ出走予定)やダノンタッチダウン(次走皐月賞出走予定)の評価も定まるのではないでしょうか。レイべリングは初の1800Mで不安はあると思いますが、東京コースは新馬戦で上り3ハロン33秒9を出して勝ったコースなので切れ比べでも互角に戦えることでしょう。
何より、厩舎の先輩でもあるエフフォーリアが飛躍のきっかけにしたレースでもありますので、その再現を目指したいところでしょう。
タスティエーラ - 遅れてやってきた『世代の主役』となれるか。
今年の3歳牡馬路線に明確な主役がいないと言われるならば、新興勢力に期待したくなるのは必然でしょう。
昨年の共同通信杯を勝ったダノンベルーガは新馬戦を勝って1戦1勝で共同通信杯に挑んで連勝。その後はG1こそ勝てなかったもののハイレベルな走りを見せてきました。そのローテを再現させたいのがタスティエーラです。
新馬戦では今回と同じ東京芝1800Mで道中2番手から進んで早めに抜け出し、後続に3馬身半差をつけての完勝でした。幼い面が目立ちましたが勝ちタイムは非常に優秀ですし、まだ伸びしろが大きいとなれば、このメンバーでも思わせます。父のサトノクラウンは堀厩舎で管理していたという事もあり、力も入るでしょう。昨年と同様に堀厩舎が『遅れてきた大物』をここで勝たせることになっても不思議ではありません。
コレペティトール - 連勝中の勢いそのままに。
このレースは前走でG1や重賞を使ってきた馬が多いですが、連勝で挑むのがコレペティトールです。
初勝利は今回と同じ東京芝1800Mの未勝利戦。道中は外目の4,5番手を追走して、直線では外から差し切りました。続く1勝クラスのこうやまき賞でも中団の外目を追走し、直線で大外から伸びてきて差し切っての勝利。その勝ちっぷりは勝負強さと大物感を感じました。
外を回りながらも長くいい脚を使えるのでいかにも東京向きの脚質ですし、能力そのものは安定していますので、今回も力は出し切れそうです。今回は「重賞級のメンバーに混じってどうか?」というところが気になるところですが、こうやまき賞で2着に負かしたサトノヴィレが先々週のクロッカスS(東京芝1400Mのリステッド競走る)で2着だったので、それに競り勝ったコレペティトールは既にOPで通用するレベルはありそうです。
あとは世代トップの力があるかどうかというところでしょう。乗り替わりが多い一戦で、松山騎手の継続騎乗はプラスに働くのではないでしょうか。
今年の3歳牡馬クラシック路線は非常に混戦ですが、このレースを勝った馬が皐月賞でも有力になるのは間違いありません。加えて、東スポ杯2着のダノンザタイガー、朝日杯FS3着のレイべリング、ホープフルS4着のファントムシーフが揃って、『どのレースがレベルが高かったのか?』という判断材料にもなります。このレースが終われば、これまで分かりにくかった3歳牡馬の勢力図も見えてくるのではないでしょうか。
このレースからクラシックロードが始まるとも言える由緒正しきレース。ここを勝って大きく飛躍するスターホース誕生の場面を楽しみにしたいですね。この記事が皆さんの参考になれば幸いです。
写真:かぼす