[京都記念]今年も波乱があるのか?ドウデュース、エフフォーリアら実力派が激突。 - 重賞プレビュー

実績馬の貫録勝ちか? 大波乱か? 
先を見据えて勝てるほど甘くないハイレベルGⅡ

今週から阪神開催が始まり、開幕週となる今週は京都記念が行われます。

創設は1942年とかなり古いレースで、過去にはタケシバオー、テンポイントといった伝説の馬が勝利。それ以降もビワハヤヒデ、テイエムオペラオー、ナリタトップロードといった強豪が勝利してきた格の高いレースですが、近年は波乱傾向もある一癖あるレースになっています。

今回はその要因を探りつつ、今年のメンバーについて紹介していきたいと思います。

前哨戦は叩き台として海外遠征を見据え過ぎると苦戦も…

このレースは近年波乱傾向にあると書きましたが、その要因のひとつが後の海外遠征を見据える陣営が多い点でしょう。3月にドバイミーティングがあるので、前年のG1戦線で戦ってきた実績馬が年明け初戦という事で別定戦のG2・京都記念を選択する場合が多くあります。状態8割でこのレースを使って次走の海外遠征で状態をピークにする…という青写真を描いて挑んだ実績馬が、人気を背負っていながら敗れてしまう、というケースが近年見受けられるようになりました。

具体的な例を挙げますと、2014年の京都記念で1番人気に推された名牝ジェンティルドンナ。前年の天皇賞秋2着の後、初のJC連覇を達成した圧倒的な実績をもっての参戦でしたが、6着に敗退。休み明けで56キロの斤量、冬場の荒れた状態でのやや重馬場が合わなかった面もあったとはいえ、実績から考えれば物足りない結果でした。その後のドバイシーマクラシックでは勝利している点を考えれば、京都記念は叩き台だったかどうかは分かりませんが、彼女の実力をはかる上では参考外のレースだったと言えるでしょう。

2015年の京都記念はダービー馬のキズナと桜花賞馬のハープスターの一騎打ちムード。実力馬は他にも参戦していたものの、2頭の力が抜けていると思われていました。キズナは次走で天皇賞春を、ハープスターはドバイシーマクラシックを予定していてその壮行レースのような雰囲気でしたが、レースは道中2番手を進んだラブリーデイが早め先頭で押し切りレースレコードで勝利。その一方でキズナは3着、ハープスターは6着でした。骨折明けでプラス22キロだったキズナはともかく、ハープスターはいつもより前目の位置で進んだものの直線で斜行するなど同馬らしい走りができず、続くドバイシーマクラシックも8着と敗れてしまいました。

実績ある上位人気の馬が敗れてしまうという2例を挙げましたが、いかに実績馬とはいえ、先を見据えた年明けの緒戦を実力通りに勝つのは案外難しいもの、というのがお分かりいただけたと思います。

それでは今年はどうなのか、その出走馬たちを紹介していきます。

京都記念 有力馬紹介

ドウデュース - ここはドバイへの叩き台か。馬体含めて素軽さが戻っているかに注目。

今年最大の注目馬はドウデュースでしょう。昨年はダービー勝利後フランスに遠征し、ニエル賞4着、凱旋門賞19着という結果。馬場が合わなかったのは確かですが、ちょっと物足りなかったのは確か。今年はここを使って次戦はドバイターフ(芝1800M)を予定しているそうなのですが、前に書いたように京都記念ではこういう『次走で海外遠征を予定している実績馬』というのは判断が難しいのは確かです。このレースが目標ではないですし、大食いキャラな馬の性格上、日本にいた時よりも馬体増になっている可能性が高いので、開幕週の馬場を考えれば差してくるも届かず。という可能性が大いに考えられます。ただ、地力は明らかに上で調整も順調。昨年のダービーでイクイノックスを負かしていることを考えれば状態8割でも貫録勝ちしてもおかしくありません。

エフフォーリア - リベンジを目指す実力派。

このレースでリベンジをしたいのがエフフォーリア。

昨年は大阪杯、宝塚記念でまさかの敗戦。関西への遠征に向けた調整がうまくいかなかったとのことですが、その後長期休養に入り、年末の有馬記念で5着と復調してきました。

年が明けて再び関西遠征という事で不安があるのは確かですが、リベンジに燃える陣営の熱意と勝負気配は年明け初戦とは思えないほど。

実績と地力で上位なのは確かなので「自分の力を出し切れるか?」という点に注目が集まります。

先週の東京新聞杯で鹿戸厩舎のウインカーネリアンが勝利し、今勢いのある鹿戸厩舎。その勢いに乗ってというところでしょうし、21年シーズンのような強いエフフォーリアの復活を望むファンも多いのではないでしょうか。

キラーアビリティ - 馬具の改善で以前とは違う一面を見せるG1馬。

キラーアビリティもこの京都記念をいい形で後のG1につなげたい1頭です。

2歳時はホープフルSを勝ちましたが、3歳時の昨年は皐月賞、ダービーで力を出し切れず、秋初戦のアルゼンチン共和国杯で8着と結果が出ずに悔しい思いをしました。

ただ、叩き2戦目の中日新聞杯で復活の勝利と、まだまだこれからというところを見せたと言えるでしょう。道中は後方を進みながらも直線ではゴチャつく馬群の中を抜けてきて勝ち切りました。進路狭くなる場面もありましたが、それでも勝ち切ったところに勝負強さを感じます。

以前は折り合いに課題があった同馬でしたが、馬具を工夫して折り合いが改善したのも良かったようです。上位人気2頭が不安が残るなら相対的に浮上するのは間違いないですし、前走重賞勝ちにもかかわらず56キロの斤量は有利。不安や死角が少ない馬と言えるでしょう。

ユニコーンライオン - 開幕週の馬場を味方につけたい1頭。

2014年、15年の京都記念の例を書きましたが、その2年はいずれも先行馬が金星を挙げています。

加えて今年の京都記念は開幕週。かなり速い馬場になっている可能性もありますし、休み明けの馬が多いメンバー構成ではそんなに先行激化するとも思えず、逃げ・先行馬が有利になる可能性も十分ありそうです。

そんな展開で注目なのがユニコーンライオンです。21年の宝塚記念で2着したコースで再びマイペースで先行できれば面白い存在になりそうです。鞍上も当時と同じ坂井騎手ですし、積極的な競馬をして伸びない後続を尻目に押し切ってしまうというのは過去の京都記念でもあった光景です。

その再現で、今年もあっと言わせる存在になってもおかしくありません。

ウインマイティー - 引退間近の恩師に勝利を贈れるか。

阪神コースという点で期待したいのが、ウインマイティーです。

阪神コースは6戦して2勝、3着1回と好成績。しかもその2勝が、オークスの有力な前哨戦の忘れな草賞とマーメイドSです。どちらのレースでも内目をうまく立ち回っての勝利でしたが、今回の京都記念でも先行する馬と中団、後方から追い込んでくる馬がいる中で、内々を立ち回って上位に入る可能性は十分ありそうです。

対牡馬との力関係はどうか、という点もありますが、昨年秋の京都大賞典では3着と健闘。勝ったのが後にJCを勝つヴェラアズールですし、2着のボッケリーニはG1でこそ結果は出ませんでしたが、G2では4戦して1勝、2着2回、3着1回と安定した結果をあげている実力派。今回は芝2200Mですが、阪神コースなら牡馬相手も互角に戦っても不思議ではありません。

また、天候の影響で馬場が渋ればチャンスも広がるのではないでしょうか。

3歳春時はオークス3着など結果を残したものの、スランプだった同馬。昨年のマーメイドSで復活の勝利を経て再び第一線に立つ姿には勇気づけられること間違いありません。

また、管理する五十嵐調教師は今年の2月末で定年による引退。

日経新春杯で逃げ切ったテイエムプリキュアや、最近では今村騎手騎乗で日本レコードでの勝利したテイエムスパーダといった、インパクトのある重賞勝ちが印象的でした。

ウインマイティーも山あり谷ありの現役生活といえる1頭。
感情が入る一戦になるのではないでしょうか。厩舎解散前の渾身の仕上げで激走も期待できそうです。
そういった点も含めて、注目しましょう。

インプレス - 連勝の勢いそのままに。

このレース最大の惑星が連勝中のインプレスではないでしょうか。

3歳シーズンの昨年はクラシックに縁がありませんでしたが、昨年の秋に2勝クラス、3勝クラスを阪神で連勝。特に前走の尼崎Sでは直線手前ではスローペースの展開で最後方から大外を回し、横一線の差し比べを制しました。その勝ちっぷりは豪快でしたし、OPでも通用しそうな雰囲気もありました。

一気に相手が強化されたここが試金石になりますが、連勝中の勢いそのままに重賞まで勝ち切ることができるでしょうか。


多くの実績馬がここで今年初戦を迎える事で注目度が高い京都記念。

ただ、様々な思惑や状態などが絡んですんなり決まりにくいレースでもあります。G1馬が大敗した過去もありますので簡単ではないのは確かです。この先の大レースにも影響を与えるレースになるのは間違いありません。

『勝負事はふたを開けてみるまで分からない』を地でいくようなレース。競馬の醍醐味を存分に味わえる一戦になるでしょうし、この記事が皆さんの参考になれば幸いです。

写真:かぼす

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