①2009年5月25日にうまれた。エアソミュール、サンビスタらと同級生。
②お父さんはシンボリクリスエス、お母さんはミルフィオリ。
突然ですが、この情報だけでどの馬のことを言っているか分かってくれた方はいらっしゃいますでしょうか。
もしいらっしゃったら、私としては本当に嬉しいのですが……
今はもう引退してしまった馬です。
ラストランは2016年11月10日の、門別9Rでした。
……そろそろ、誰の事なのか発表しましょう!
焦らしてしまって、すみません。
その子の名前は《ミルドリーム》
馬名の由来は『母名より+夢』。
可愛くてヤンチャで、瞳がとっても印象的。
ちょっと不思議ちゃん?な一面がある気もします(笑)
“不思議ちゃん”と言えば、以前、乗ってくださっていた江田照男さんの言葉に
『前半は死んだふりしていないと伸びないタイプ』
というものがありました。
ヤンチャで、とっても頑張り屋さんでしたが、そういうなかなか難しいところもある子だったのかもしれませんね。
デビューは2011年8月の新潟。
4コーナーから最後の直線……頑張りましたが2着。
初勝利は9月の阪神2歳未勝利戦でした。
ここで、もうひとつの名前の由来を。
お母さんの名前ミルフォリとかけて、更に!
「ミルコ(デムーロ騎手)に乗ってほしい!」
……だから『ミル』をつけた。
これはオーナーである平井さんの言葉です。
そして……その結果、どうなったと思いますか?
角居厩舎からデビューし、新馬戦から5走目で迎えた2012年2月《すみれS》。
その背には、ミルコが!!その「もうひとつの名前の由来」の事は角居先生もご存知なかった事でしょう。
私には、オーナー平井さんの熱い思いが伝わったとしか思えません。
そんなミルドリームのレースで、イチバン私の印象に残っているのは
《菊花賞》
です。
スタートしてからずっと、あの勝負服を着たジョッキーを背に走るミルドリームを、目を離さずに見つめていました。
このレースを勝ったのはゴールドシップです。
でも!
私にとってはミルドリームのレースなんです!
大観衆のなかに、そんな観客がいても良いと思います。
3コーナーを過ぎたあたりから、最後の直線に向けてゴールドシップと並んで上がっていくミルドリーム。
叫びました。
どれだけ叫んだかわかりません。
今でも、このレースは何度も繰り返して見ています。
それから少しして、ミルドリームは繋靭帯炎を発症します。
休養は1年以上。
中央競馬から引退し、門別で走る事になります。
その影ではオーナーに対する心ない言葉も耳にしました。
何も考えずに、何も悩まずに、ミルドリームの現役続行を決めるはずなんてないのに……
応援してきた子が怪我などをすると、いつも思う事があります。
好きな子が無事に引退して幸せな余生をと願うのは当然の事。
でも、もしその子が引退をせずにこれからも走る事になったら、ファンとして無事を願い──そして、心から全力で応援する!ファンである自分が、その子のために出来る事だと思うのです。
それを全力で!!というのが私の考えです。
今、ミルドリームは元気に暮らしています。
オーナーの平井さんも、今でもミルドリームを大切に、そして愛していらっしゃいます。
怪我もありましたが、今も愛されているミルドリームはきっと幸せだと、私は信じています。
“ミルドリーム”
この子に会えた事。
応援出来た事。
今も、私の宝物です。
そして、たくさんの勇気と元気をくれたミルドリームに、感謝の気持ちでいっぱいです。
ありがとう!!
ミルドリーム!!
写真:太田 邦宏